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狼狽える義人

 午後八時に俺が仕事から帰ると、部屋の中は真っ暗で人の気配を感じない。愛佳に好きな気持ちは無いと本心を打ち明けたので、出て行くことは予想していた。浩司の元に帰ったなら、それで構わないと考えていたのだが、ダイニングテーブルの上に置かれたA四のコピー用紙を見て、俺は青ざめた。


(好きでも無いのに、今まで付き合ってくれてありがとう。私は出て行きます。

 浩司君の元には帰りません。この世界から消えてしまうので、探さないでください。

                                   愛佳)


 この世界から消える? どういう意味だ? まさか……。


 俺はすぐ、愛佳にラインを送った。だが、既読にならないブロックされているのか? 電話も掛けてみた。呼び出し音が鳴るが愛佳は出ない。


 どこに行ったんだ……まさか自殺しようとしているのか?


 真っ先に、夫である浩司に連絡しようと考えたが、スマホを持つ手が止まる。なんと説明すれば良いのか? 愛佳が出て行った理由を説明する勇気が出ない。まず瑠美に電話しよう。そこで愛佳と連絡が付けば、浩司に知らせる必要も無くなるかも知れない。


 俺は保身に走り、瑠美に電話を掛けた。


 だが、結局瑠美も気連絡がつかなかったみたいだ。最悪の事を想像して、俺は心臓を掴まれたように苦しくなる。


 やはり、あとは浩司に連絡するしかないのか……。俺はスマホで浩司に電話を掛けた。

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― 新着の感想 ―
[一言] お話は面白いけれど男性サイドみんな奴隷みたいですね。 自分以外の他の男を好きな女、他の男と寝た女なんてそこまで価値ないですよ。子供でもいれば別だけれど。
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