第十七話 artillery repair unit -砲台修理部隊-
数時間の運転の後、一輝達は前線付近へと到着すると荷台が開き戦場へと降り立つ。
前線からは離れているものの銃声と爆発音が鳴り響き、一輝達の近くのビルにヘリコプターが突き刺さり悲鳴が上がる。
「……リバー街道って一回制圧したんですよね?」
「そうだよ~……でも、このざまだねぇ~」
太刀川は担架で運ばれていく兵士と台車で運ばれていく穴だらけのアーマーにため息をつきながら太刀川は苦笑いを浮かべた。
また、民間人も巻き込まれたのかバリケードの向こう側で残された家族を助けに行こうと飛び出そうとする民間人を兵士が取り押さえている。
「ふん、戦場は軍人のステージだ……民間人にはご理解いただきたいな」
「おっさん、戦場をあんま華やかそうに言ってくれるなよ」
「なんだと?」
突如後ろからかけられた声に反応したヘンリーはショットガンを引き抜くが、後ろにいたのはボロボロのジョーであった。
「大丈夫ですか?」
「よう拓ちゃん、やっと援軍か……これで腕の治療も受けられるぜ」
腕に大きなやけどを負っており、ジョーは腕をかばいながら笑顔を見せるとヘンリーは銃口でジョーを小突く。
「馬鹿め、普段傷など気にせんお前が後方まで下がったということは銃も握れんのだろう? さっさと直して戦場に戻れい!」
「はいはい、後は頼んだよ! ……カレンちゃんの事もな」
「いいよ~、じゃあ行こうか」
ジョーは額にも傷があり、止血はしたものの血の流れた跡が顔にあり痛々しい表情のまま一輝たちの横を通り衛生兵のいるキャンプへと歩いていく。
「……なぁ一輝……相当やばそうだな……一輝?」
通り抜けていくジョーを見ていたアルバは一輝に声をかけるも、上空を飛ぶ戦闘機が通って行ったのを見たまま動かず、アルバは不思議そうに声をかけた。
「……爆撃機か、両親を思い出すな」
「ん? ああ……そうか……嫌な事思い出させたな」
「いやいいさ、さっさとクローン共を始末しようぜ! こんな思いするのは俺だけで十分だ」
一輝がそう言うと、ヘンリーや太刀川は何も言わず先行しアルバもそれに続く。
激戦区へと入った一輝達は数人の技術者を連れ、残りを機械整備の為後方支援に回す。
「気をつけろよ、ここからは銃弾が飛び交う場所だ!」
ヘンリーは後方に技術者に言うと、技術者たちは一斉にざわめきだした。
「あの……我々は守られるんですよね?」
若手の技術者がヘンリーに沿う質問すると、近くで大きな爆発が起き質問をしていた若手の技術者は尻餅をつく。
だがヘンリーはそんな技術者を見てアサルトショットガンを引き抜くと、銃口を若手の技術者に近づけた。
「いいかよく聞け、ワシらは戦場にいるんだ! 勿論ある程度は守ってやる、だが自分の身は自分で守れ! いいな! その腰についてる銃の使い方ぐらいは知ってるんだろう?」
「は、はい……」
「ふんっ、太刀川! こいつらの仕事をさっさと終わらして帰還するぞ! こいつ等に死なれて地獄で文句を言われたらかなわん!」
「はいよ~」
ぶっきらぼうに命令された太刀川は、背中についているアンテナユニットの位置を変え展開するとクジャクの尾の様にアンテナを広げる。
「9(ナイン)―B全体位置把握したよ、敵兵の位置も調べる?」
「空中偵察は結城じゃないのか?」
「自分のイーグルトルーパ―で索敵しますか? いつでも飛べますよ」
「あはは、アタシの出番あげるよ~」
結城拓真の身に着けているイーグルトルーパーが折りたたんでいたプロペラを広げ、両足の足裏にあるブースターと併用して飛ぶ。
「アーマーって空飛べるんですね……」
「装甲を極限まで削ってやっとだけどね~、ピーキーすぎて常人じゃあんなの着れないよ」
「ただでさえケガ人なのに大丈夫なんですかね?」
「撃ち落されたら拾うだけだ、行くぞお前ら!」
ヘンリーが先行し瓦礫だらけのビルの中に入っていく。
後方に位置するだけあり、敵との戦闘はないものの今にも崩れそうなビルは時折天井から粉を降らし、スーツ型で頭部がむき出しの技術者たちは急いで防塵マスクを装備する。
ビルの屋上に着いた一輝達は屋上にある壊れた対空砲を見つけ、技術者たちは即座に作業を始める。
歪んだ銃身を取り換え、制御機器と太刀川のアーマーを接続し再起動をかけその間にヘンリーは予備パーツを取り付けた。
まるでピットインに入った車のタイヤを手際よく交換するかのように、対空砲の調整を終え一輝達はその様子に見とれる。
「器用だな……」
「ああ、僕達には到底理解できないな」
「どうしたの二人とも? もしかして気になることでもあった?」
「すごい手際だなと思いまして」
太刀川に声をかけられたアルバは、感心したような声でそう言うとヘンリーがその頭をたたいた。
「見てないで周囲を警戒せんか! どこに伏兵が居るかわからないんだぞ!」
「は、はい!」
二人は親指を立てアーマー着用時の敬礼を見せると、技術者たちやヘンリーはパーツ類を収納し、次の場所へと向かう準備を始める。
その時だった、慌ただしい通信が一輝達の耳に飛び込んだ。
〈こちら技試隊の結城です、前線のカレンさんと合流したのですが……敵にドールと思しき存在を確認したそうです〉
「ドール? どんな姿だ?」
〈巨大なユニットに接続されているようで、今前線部隊が次々と……うわっ!〉
通信機の向こう側から破裂音とともにノイズが混じる。
「おい! 聞こえてるか若造!」
「……こりゃ大変なことになったね~、ドールに巨大ユニットか……」
結城拓真からの通信にあれこれと予想を立てる三人だが、次はカレンからの通信が一輝達の耳に入った。
〈こちらカレン、前線部隊付近で結城と合流した……後方支援部隊が到着したならすぐさま前線に来てくれ、リバー街道の七丁目まで撤退する……そこで落ち合おう〉
「……だそうですが……」
「ワシらには砲台修理の任がある、支援は……」
〈小夜です、本部から入電でドールの撃破を優先事項に決定しました……後方支援組は前線の支援に、その際七丁目付近の砲台の修理後前線部隊と集合してください〉
「それ以外の砲台は?」
〈内藤さんたちに任せます、ヘンリーさん達はカレンさんと合流を……〉
「……了解した」
ヘンリーは突然の作戦変更に少し戸惑いながらも、通信を切ると予備パーツのいくつかを地面に置いた。
「太刀川、後続部隊にこの場所に予備パーツがあることを伝えておけ」
「了解~」
再びアンテナを開き、太刀川は指令を飛ばす。
「いいかお前ら! 少し早いが前線へと足を進めることになった! 最悪自分の身は自分で守れ! いいな!」
「はい!」
技術者たちの返事を聞いたヘンリーは先行しビルを降りると、遠くに見える爆炎が見える場所へと足を進めていった。
僕です。
深夜作業って翌日に響くのであまりしたくないんですけどね。
土日に暴れまくったせいで疲れた俺が悪いんですけどね!




