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Black Historia  作者: RPGropure
第一章 Resistance of Novalues -無価値なレジスタンス-
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第六話 riceball and first operartion -最初の作戦-

 酔いつぶれたせいか頭痛が朝一番に出迎えてくれるが、二度寝をする訳にも行かず痛む頭を押さえながら部屋を後にする。

 頭痛に襲われながら朝日の入り込む廊下を歩いていると、価値無し達が雑巾やモップを持って窓や床を掃除していた。


「皆朝早くからご苦労様」


「ん? ……ああ、結城さんおはようございます」


 真剣に窓を拭いていたのかセイが少し驚いたようにこちらを向く。


「おはようございます、結城さん……もしかして起こしてしまいましたか?」


 セツコがおどおどしながら結城に聞く。


「いや、そういう訳じゃないよ……所で何時から掃除してるの?」


「一時間ぐらい前ですね、昨日の夜早起きして掃除しようって決めまして……」


「なるほどね、じゃあ自分もやるかな……雑巾借りるよ」


 バケツに掛かっている新品の雑巾を一枚手に取り水につけてからよく絞り、窓を拭き始めるとセツコが慌てた様子で止めに入る。


「あの、結城さんのお手を煩わせるわけには……」


「いいよいいよ、君達だけにやらせるって言うのも心苦しいし」


 放棄されてから少し経っていたせいか窓のサッシの部分には埃が結構溜まっており、一度でいいので全ての部屋を掃除した方が良いのではないかと結城は思ったが、どれほどの時間があるか分からない現状で、この広い施設を少人数で掃除の為に時間を使い過ぎるのはどうかとも思える。

 結局皆で朝一でアジトの清掃を始め、皆でピカピカになった廊下を眺め朝食を摂りに向かう。

 食堂にはアンダーだけが居り、ちょうど料理が出来た所のようで机の上にフォークやスプーンなどを並べていた。


「お? 結城大丈夫か? 昨日だいぶ酔いつぶれてたと言うか何というか……」


「……え? 暴れてました?」


「あー、まぁなんだ……暴れてたと言うか……まぁ気にすんな、所で海斗は見てないか?」


「いや、見てないですけど……」


「あいつ昨日お前を介抱した後、電話が掛かって来てから寝ずになんか調べてたからな……部屋でぶっ倒れてないか見て来てくれないか?」


「分かりました」


 アンダーに海斗の部屋を教えてもらい、角にある小さな部屋の扉を開けると案の定キーボードに突っ伏したまますぅすぅと寝息を立てていた。


「海斗さん、起きてください朝ですよ」


 肩をゆすり海斗を起こすと、寝ぼけた海斗は顔にキーボードの跡が付いており頭を押さえながら気だるそうに起き上がる。


「ああ、結城か……すまない、少し顔を洗ってくる……」


「あ、はい……朝食は出来てるので、食堂で待ってますね」


「分かった、終わり次第向かうよ」


 ふらふらと海斗は洗面所に向かっていき、それを見送った結城は食堂に朝食を摂りに向かう。

 机には味噌汁とおにぎりが置かれており、他には漬物などが数種類並べられていた。


「海斗は寝てたか?」


 キッチンから顔を出し、アンダーは結城に尋ねる。


「ええ、キーボードの上で」


「だよなぁ……まぁ大方会社の方でなんかあってその対応に追われてたんだろ」


 海斗はCEOの息子であり役職者であるためそういう事もあるのだろう、だがレジスタンスと二足のわらじで上手い事やっているのは、海斗の器量が良いからなのだろうか。


「さぁ飯だ飯、朝は腹いっぱい食って午後に備えてくれ」


「今日の献立って日本食なんですかね?」


「おう、丁度朝近くの町を寄ったら米が売られててな……まぁ旧日本の飯は一度俺も作ってみたかったから、試してみたんだ」


「未だに文化的には根強い人気ですよね、日本文化」


「核戦争で更地になってなきゃよかったんだがな……」


 遥か昔に起きた核戦争により、日本どころか殆どの国が更地になり国境が消えた忌むべき時代。

 技術レベルが上がりすぎたが故に起きたハッキングテロにより沢山の国や文化が消失したが、未だに語り継がれている物は多い。


「アンダーさんが作る料理は何でも美味しいですよ」


「おいおい、まずは喰ってから言ってくれよ……まぁでも、ありがとうな」


 結城は席に着き、米を喰う。

 高級食材ではないが、工業地区では基本おじやになって出てきたのでこうして炊いた状態の米を喰うのは久々である。

 朝食を終え、皆が食器を戻し始めたころに海斗が食堂に入ってきて皆に指示を出す。


「お前らすまない、突然だが会議室に集まってくれないか……やる事が出来た」


 何事かと思い皆が急いで会議室に向かうと、モニターにはチェックマークの入った何かの見取り図が映し出されていた。

 そして海斗がその前に立ち、口を開く。


「さて、今日は皆に報告があるんだが……俺は情報収集のためにフォルンへ一旦戻ることになった……そこで、結城に施設を任せたい」


「自分ですか?」


「ああ、それと今日は君たちを解放する為の第一歩として早速潜入ミッションを始めたいと思う」


 後ろのモニターに大きく作戦内容が表示され、どうやら攻め込むのはフォルンの東の方にある軍港であり、目標は軍艦のデータと海上防衛施設のプログラムコードの奪取であった。

 軍港には幾つもの警報装置と多数の兵士が見張っているとのことで、特にその見張りの厳重な個所は赤いまるで囲われていた。


「君たちにはこの軍港の軍艦のデータと防衛システムのプログラムコードをハッキングしてもらう」


 それから海斗はレーザーポインターと図で詳しく作戦の概要を皆に伝えた。

 まず軍港北にある山に降下し、そこから軍港の裏手である貨物集積所に侵入する。

 その後集積所を通過した所にある船のドックの屋上から鎮守府の警報装置を飛び越えるように侵入し、先に警報装置を切った後見つからないように屋上から侵入しデータを奪取後、軍港から南に降りた所でボートを使い迎えに行き、貨物機で回収するとの事だ。


「このミッションには潜入に適したノインとハッキングのできるハチで行こうと思う」


「ハッキング? そんなの出来るの? アタシ?」


「君の使っていた8-Bにはハッキング機能が標準で搭載されている」


「へぇー、使ってて全然知らなかった!」


 口に手を当て、おどけた表情でビックリするハチ。


「質問がある、海斗さんがフォルンの偉い人間ならそんな七面倒なことをせずともデータを抜き取ることが出来るんじゃないか?」


 カトルが手を上げ海斗に質問する。

 確かに海斗ほどの権力を持っていればデータを抜くぐらい訳ない気もするが。


「俺は確かにCEOの息子で権力はある方だが、全権を持っているわけではない……俺が黙って動かせるのは精々小さな工場のライン位だな」


 苦笑いをしながら頭を掻く海斗。


「ではこの作戦の決行は夜九時頃だ! その前の七時ごろには準備を始める! ノインとハチは覚えておいてくれ」


「潜入の基礎は俺が教えてやる、後それ以外の奴らもこの後俺について来てくれ」


 アンダーが潜入について手ほどきをするようで、軍人だった頃の血が騒ぐのか少しテンションが高い様子だった。


「では、解散!」


 手を叩くと、皆アンダーの元に集まり部屋を後にする。


「結城、いいか?」


「はい?」


 何となく手持ち無沙汰だった結城は海斗に呼び止められた。


「この後俺は一旦本社に戻らないといけない、そこで入れ違いで助っ人が来るはずだ」


「え? 今日の作戦はどうなるんですか?」


「その助っ人と結城で作戦指示を出してほしい、その間に俺は少しやることがある」


 そう言って海斗は会議室を出る。

 作戦前のこの状態で海斗が何故急に本社に行くのか、そして最初の作戦を始めるのに何故このタイミングなのか疑問に思った結城だが、昨日の夜に掛かってきた電話が関係していて、何か考えや確証があっての行動なのだろうと思った結城は、その事を質問することは無かった。


おにぎりって旨いし飽きない食べ物だよね。


という訳で毎回アンダーさんが登場するたびに献立を考えるロプレさんです。

レジスタンスなのにいいものを食べられているのは、アンダーさんが全力で食事を振舞うためにあれこれ手間暇かけてる恩恵です、やっぱ料理人ってすごい!


って事でね。

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