第十二話 knight and luke -内藤とルーク-
ウルフ部隊と合流したベータ部隊はウィリーの指示に従い、ライアー街を警戒をしながらゆっくりと歩く。
ウィリーから武器を受け取り、アルバはサブマシンガンを構え一輝とウィリーは近接だけという状況ながら、撤退はしなかった。
しかし牛歩のごとく歩く歩く彼らはLOWの兵士にとって都合のいい的であり、高く積みあがった民家にかかる橋から射撃を受ける。
「私が片す、君らは警戒を解くな」
ウィリーはそう言うと、大きく飛び壁を蹴りまるで忍者の様に民家の間にかかる橋に到達すると、刀でLOWの兵士を真っ二つに切断し着地した。
銃弾を恐れることなく突き進み、無駄のない動きで敵を倒す仕草に一輝は思わず見とれる。
「すっげぇ……」
「……警戒を解くなと言ったんだが」
「あ、すいません」
呆れた声の無線にハッとなり一輝は謝るが、ウィリーは剣を構えると声を上げた。
「しゃがめ!」
『は、はい!』
二人は咄嗟にしゃがむと頭上から物がぶつかる音が聞こえ、すぐさまそれは剣と剣のぶつかり合う音だと気づく。
「だから気を抜くなと!」
「す、すいません!」
二人はその場から咄嗟に離れ、自分が居た場所を見ると片腕を失ったドールがその場で鍔迫り合いをしていた。
アルバはすぐさまサブマシンガンを構え、狙いを定め引き金を引くもドールはすぐさま横に逸れ、ウィリーの横を通り抜けるとアルバ目掛け一直線に突っ込んでくるが一輝は前に踏み出しドールをタックルで吹き飛ばす。
吹き飛ばされたドールは体勢を崩し、背後に居たウィリーはチャンスと踏み剣を構えるも、ドールの華麗なバク中により剣は空を掠めた。
「ちっ! 速い!」
再びドールは不利と踏んだのか、再び姿を隠しどこかへ消える。
それと同時に音を聞きつけたのか別部隊が物陰から現れ、三人を取り囲み銃を向けた。
「流石に数が多いか……二人ともこっちに寄れ、一気に抜けるぞ」
「この数を? 穴だらけになっちゃいますよ!」
「僕のサブマシンでどれだけ気を引けるかにかかってそうだな……」
三人は周りの様子を見ながら飛び込むタイミングをうかがう。
十数か所から向けられている銃弾をものともせず進めるアーマー型の一輝とアルバはウィリーの前に立ち、一歩目を踏み出すと突如一人の人影がLOWの兵士の首を飛ばし銃口は一輝達から逸れ、その隙に二人は一気に駆け出す。
咄嗟にLOWの兵士は三人に銃口を向け直すも、次は何処からか放たれた弾丸がヘルメットのバイザー部分を貫き割れ目から血を噴き出し後ろに倒れた。
「狙撃だ! 隠れろ!」
「もう遅ぇっての!」
剣を持つ人影は持って居る剣の刀身を更に光らせると鉄骨ごとLOWの兵士の体を真っ二つに切断し、数十人いたはずのLOWの兵士は物陰に隠れた一人だけになり撤退していく。
「一昨日きやがれ!」
「内藤さん!」
別部隊で行動していた筈の内藤が姿を現したことに驚く二人。
しかし内藤は笑顔を見せると遠くを指さした。
「俺だけじゃなくてルークも居るぜ」
「馬鹿、まだ敵が居るんだ! 俺の方を指さすな馬鹿!」
「あ? てめぇ何回馬鹿って言えばいいんだよ!」
「知るか、死ぬまで言ってやる」
「はんっ! スコープ覗いて引き金引くだけの仕事は楽だから言い放題ってか!」
「闘牛みてぇに後先考えず突っ込む馬鹿のお守りは疲れるぜまったく」
「んだとコラァ!」
「お? 怒ったか? 突っ込んで来いよ、穴開けてやるから」
「上等だ! バラ肉にしてそこら辺に吊るしてグアッッフェア!」
中指を立てながらルークの方に歩き出していた内藤だが、ウィリーに殴られると情けない声を上げながら吹き飛び地面を転がる。
「二度も言わせるな、気を抜くな馬鹿共」
「馬鹿“共”って俺らもっすか……」
「そもそもそれが始まりだ! ……所で何故別働隊がここに居る?」
「あふぉ……いま結構思いっきりなぐりまふぃたよね?」
「ああ、で?」
毅然とした態度で状況確認を行うウィリーにルークは無線を繋ぎ、状況を説明した。
「えっと……別動隊で地下への入り口を見つけたんですがどうやらジャミングをされたらしく長距離での通信が不可能で……ウルフ部隊の方たちには先に入って頂いて迎えに来ました」
「そうか、状況は理解した……それと狙撃手、後で私の前に立て……一発殴る」
「え? 俺も?」
突然の言葉にルークは呆気に取られ、合流した五人は別動隊が見つけた武器庫へと繋がるであろう地下への入り口を目指す。
数十分後、頬の腫れたルークは大きなガレージのような場所に着くと指を指した。
「ここでふ」
「ここか、案内ありがとう」
「いえいえ、ウルフ部隊の方が見つけてくれたんで」
「ではこれから中継拠点の破壊を行う、全員次こそ気を抜くなよ」
『はい!』
全員に喝を入れ、五人はガレージ内にある坂を下りレバーを操作しシャッターを上げると銃弾が一斉に五人目掛けて放たれる。
しかし内藤だけは怯むことなく突き進み、対弾性に劣るスーツ型の機動性を生かし地面を蹴り天井に到達するとすぐさま天井を蹴り急降下し、敵の布陣を崩す。
「内藤さん!」
「心配すんな! 俺が切って!」
内藤は敵の体勢が整う前に一斉に銃器を切断し、無力化を終えた兵士はとどめを刺す。
だが敵も兵士であり、複数人相手の内藤の隙を見つけるとすぐさま銃口を向けるが、ルークが放つ徹甲弾が無慈悲にその頭を吹き飛ばし弾丸は内藤を掠るも致命傷には至らない。
「俺が撃つ……って事だ」
「すげぇ……ふざけてても、戦力は一級品か……なぁ一輝」
「ああ、俺らも負けてらんないな」
「おい、どっちか今ふざけててもっつったか?」
『いえ、何も』
「そうか? 気のせいか」
内藤は首を傾げ地を這っていたLOWの兵士にとどめを刺すが、後ろでルークだけは笑いをこらえていた。
五人が入り口を制圧した頃、ノイズの混じった通信が五人の耳に届く。
〈こちらブラボー、聞こえるか!〉
「ああ、こちらアルファのウィリーだ」
〈ああ、隊長だったか……ブラボーは地下に逃げ込んだドールを追い掛けていたのだが……罠に嵌められたのかもしれない、シャッターが開かないんだ〉
「今何処に居る?」
〈E2ゲートを越した所です、武器庫から少し奥にあります〉
「了解した、開けられないか動いてみよう」
〈我々の方でも出る方法を探しておきます、ご武運を〉
通信は途切れ、五人はE2ゲートを目指し歩き出す。
ちょっと遅れた。
ちょっとね。
最近会う人会う人具合が悪くなってくの、ななななんでだろう。




