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21 周防 真人

 7体の石像が転がっている。


 一様に恐怖に歪んだ顔をしており、七条クレアはその顔とにらめっこしながら顔をしかめた。


「新ボスかしら……?」


 アラクネ、スキュラ、ラミア、ハルピュイア、≪女王の庭園≫の確認済みの4ボスに石化の状態異常攻撃をしてくるボスはいない。更に言うなら確認済みの全モンスターに石化攻撃をしてくるモンスターもいない。クレアが新ボスの出現と考えても無理はなかった。


「ユニークモンスターの可能性もある」


「あら、周防君。今回はご協力感謝致しますわ」


 全身赤い出で立ちの、真っ赤な槍を携えた青年が7体の石像を見据える。

 

 トップハンターギルドの一つと名高い赤備えのリーダー、周防すおう真人まさと。赤備えの名前の由来は、彼らが短い期間で異界攻略を進め、破竹の勢いでトップギルドの仲間入りしたからだ。少数精鋭で皆お揃いの赤い出で立ち。その姿がお茶の間にも露出し始めると自ずとそう呼ばれるようになった。ある有名なニュースキャスターが歴史好きで、「赤備えみたいだあ」とはしゃいだのが原因ともいわれている。


 それはさておき。


「ユニークモンスターの可能性もあるけれど――ボスの強化個体の可能性もあり得るわ。ありえそうなのは状態異常攻撃を多用するアラクネかラミア」


 異界のボスモンスターは倒しても一日で再出現するが、極稀に強力な個体が出現する。


「俺達が今日全討伐したからそれはないな」


「そうなると新ボスかユニークモンスターの可能性が高いけど……」


「近くにいないだろうか?」


 周防は周囲の闇を身を乗り出して見据える。どこか興奮した気配を感じ、クレアは溜息を吐いた。

 

 ――このバトルジャンキー。


 見た目はクールな感じで大変よろしいのに、中身はただの子供。湊のように可愛いのならそれも許せるのに。


 少し兄と似ていて、クレアとしては実に残念だった。


「石化は治せるのか?」


 そんな風に思われているとは露知らず、周防は手慰みに槍を器用に振り回しながらクレアに聞く。


「どうかしらね。私とあなたのとこのメンバーでも解けないわけだから」


「神楽姫は?」


 周防の言葉にクレアは眉を顰める。


「……まあ、そうなるでしょうけど」


「また図に乗りそうだな、あそこは」


「――この話止めましょうか」


 クレアの不機嫌な様子に気づいたのか、周防はあっさり頷き話を変える。不機嫌な様子に気づいたというよりは、どうでもいいことだと思っているのだろうが。


「こいつらに襲われていたハンターは見てないのか?」


「見ていないんじゃないの?」


 クレアの不明瞭な答えに周防は目を見開いて驚く。


「――聞いてないのか?」


「聞こうとしたんだけど、湊がお説教中だから遠慮したの」


 それにどうせ何も知らないと思うわよ、とクレアは投げやりに周防に言う。


「説教中?」


「危ないから≪女王の庭園≫に入るなって湊に注意されていたのに忘れて入って襲われたそうよ、彼らに」


 見に行く? とクレアは続ける。


「いい年したおじさんが女子高生に本気で説教されてる場面が見れるわよ。異界でもなかなか見れない光景でしょうね」


 クレアは実に良い笑顔を浮かべる。


「……まあ、無事で良かったじゃないか」


 嗜虐的な笑みのクレアの誘いを丁重に断り、周防はそう言ったのだった。


実は仮〇ライダーかTS魔法少女ものにするかで迷った経緯があります。

異世界に美少女として転移し、そのまま日本に戻ってきて最強美少女おじさんとして活躍するみたいな。機会があったらそれも書いてみたいですね。


応援よろしくお願いします。

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