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11 屋台

≪女王の庭園≫でゴブリンを見つけては、渡世と徳さんの2人はゴブリン達との熱い戦いに明け暮れた。


「うわっ!? このゴブリンのストレート重いっ」


 時にはハードパンチャーのゴブリンと戦い。


「――クリンチ!? この野郎……っ」


 時には技巧派のゴブリンと相対する。

 

 殴り殴られ、たまにフラグの立たない普通のゴブリンをタコ殴りにしていると、素手の戦いを受け入れてくれたファイティングゴブリンに少し情が湧く。拳で語り合った相手が最後の一撃で沈み、エーテルとなって消えるとき、どこか物悲しい。


 ついでに成果も物悲しい。今日出会った14体のゴブリンの内、ファイティングポーズをとってくれたのは6体。そして≪貧者のお守り≫を落としてくれたのがたったの2体である。


「………」


「………」


≪貧者のお守り≫はたったの2つしかドロップしなかった。その事実に打ちのめされたわけではないが、おじさん2人、声もなく胸を隆起させ、荒い息が辺りに響く。


 ハンターにあるまじき運動不足だった。


「……疲れたね」


「……はい」


 ペットボトルを傾け、空にする。予備の水はもうなかった。


「腹減りましたね」


「異界に来る前にも言ってたね」


 今度は本当だ。古典的な表現だが、腹と背中がくっつきそうである。


「――よしっ! じゃあ今日は屋台で食べようよ」


 そう言って膝を叩いて立ち上がった徳さん。


「屋台ですか?」

 

 渡世がよく利用する飲食店は、ゲートターミナル内の端っこでハンター協会が運営している食堂である。それ以外のターミナル内の飲食店はハンター以外にも人気が高く混雑している。

 まさにファンタジーの酒場のような店で騎士然としたハンター、魔法使いのようなハンター、まさに狩人ハンターといった風体のハンター、そんなハンター達が如何にもな場所で食事をとっている。この日本げんせで人気にならないわけがない。


 そういう飲食店なら渡世も協会の食堂帰りに横目で眺めていたが、屋台は初耳だった。


「美味いよ。しかも安いしね」


 徳さんは美味くて安い店を探すのがうまい。


「――お供します」


 渡世は間髪入れず、そう言ったのだった。


ゆるい話。


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