2話 まさかのパターン
「お?おお?ココハドコ?」
ここが病院ではないことは分かるが何処なのかは分からない。
「俺はスーパーで買い物をしていて、強盗に刺されて(今でも謎だ)、店長に救急車を…」
おぼろげに思い出すさっきの出来事。
「そうだ!俺は刺されて……」
服装は仕事終わりだったためビジネススーツを着ている。
だが、刺された痕は無く血も付いていない。
服を捲って確認したが傷跡もなく痛みも感じない。
「……天国?」
確かに現世では法に触れる事はしなかったし、地獄に行く理由はない。うん、きっとそうだ。自分勝手に解釈をする。
あ〜俺死んじゃったのかぁ…そりゃ初っ端死にたい言うたよ?言うたけどもホントに死にたい訳じゃないんだわ?
そんなことを考えていると遠くから何か近付いてくる。
「ん?なんだろう…天国仲間かな?それとも天使?」
近付くにつれその[正体]がハッキリ分かる。
体は人間、頭はスライム明らかに人ではない。
どちらかというと[魔物]に近い。
「クッ…殺られてたまるかっ…!!」
走りながらその[魔物]は呟いている。
これは関わって良いものか悠が考えている内に[魔物]は目の前まで来た。
「どけっ!!」ドンッ
どこかで聞いたようなセリフと共に突き飛ばされる。
「グフォッ…!!」
尋常ではない痛さそして目の前に表れる数値[-15]
またしても理解は追いつかない。
天国ってダメージ判定あるの?なんて思いながら、もう一度考える。
死ぬ→目が覚める→見たことない景色→天国?→NOT天国→もしかして異世界??
んなバカな!そりゃラノベにはよくあるけどまさかね?…でも[魔物]っぽいのいるし、ダメージ食らったし有り得るかもな…
大体こういうのはチート標準装備で無双できるんだよな!進〇ゼ〇で見たことあるやつや!!
そうと決まれば…
「ようよう[スライム?]さんよ〜、よくも突き飛ばしてくれたね〜?痛い目みたいのかなぁ?」
悠は目の前を駆け抜けていこうとする[スライム?]を挑発する。
すると[スライム?]は立ち止まり、
「ああん?雑魚に用はないんじゃああ!」
右手にスライム状のオーラを纏い殴りかかってきた。
さっきは油断したが今回は大丈夫、だって俺は異世界転生したチート装備なのだから!
悠は腕を組み仁王立ちした状態で[スライム?]の攻撃を受けた。
ドゴォッと鈍い音がして悠の体は宙に舞う。
は?なに?チート装備ちゃうの?なんでやねん!
別に俺は関西人ではないがツッコミする時に出てしまう、エセ関西弁使ってごめんね関西の方。
目の前にダメージであろう数値が表示される[-25]
やっぱりあの数値はダメージか…どこか自分のHPを確かめる方法は…と考えていると左上に数値が浮かび上がっていることに気付く。
「10/50……?あと10しかないじゃないか!!弱っ!俺弱っ!!」
あと一撃でまた死んでしまうのか?さっき転生したばかりですけど〜??
「はぁ?何言ってるんだ?これで終わりだァァア!!」
[スライム?]はお構い無しに続けて攻撃をしかけてくる。そりゃそうだよね[スライム?]には関係ないもんね。
終わった…そう思った瞬間、「グベォッ」発音しにくい言葉を発しながら[スライム?]は消滅した。
「おい、大丈夫か?」
さっきまで[スライム?]が居た後ろ側に人影がある。
「あ、え、はい何とか、あべぶ」
あ〜コミュ障治してぇ〜と悠が考えていると、助けてくれた人物が自己紹介をしてきた。
「俺の名前は成松雪」
成松雪そう名乗る人物はジロジロとこちらを見ながら続けて
「もしかしてキミも異世界転生してきた?」