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最奥の間へ

ひと月余り過ぎ、王都の春祭りシーズンに入り連休となった。


城で行われる恒例行事のパーティーが開催される。

今回は、皇太子であるアーサー兄上の婚約者のお披露目も兼ねている。

その為、私も一時的に王家に戻り出席しなければならない。


兄上の婚約者は隣国の姫君だ。

長女であるが、隣国では国を治める資格があるのは男でなければならい。

幸いな事に、とても優秀な弟君がいて安心して嫁いでこられるらしい。結婚式は兄上が王位を継承する時に行うそうだ。

経緯はわからないが、2人は政略結婚でもなく運命的な出会いをして恋に落ちたと…。

折を見て詳しく…それは詳しく…聞きたい!!


………………………………………………



優秀な側近のおかげで、あの男爵令嬢を上手くかわしつつスクールライフを楽しく過ごせている。

私の執事や侍女も何処ででも完璧だ。

だが、やはり慣れた屋敷に帰ってくるとホッとする。


久しぶりに中庭でルーカスと剣の稽古してみる。


学園でも剣技の授業があるが、物足りない。勿論、本気など出してしまったら大変な事になるので仕方ない。

小さな頃から全てを程良くこなして、三男として平穏に暮らすスタンスは崩さない。前世の記憶は無かったが…前世で頑張り過ぎていた、その反動なのか?


ルーカスは正直強い。側近というより騎士団や近衛にスカウトされてもおかしくない腕前だ。だが、私は自分の命を差し出して守る近衛になってほしくなかった。友として、一緒に戦う…私はそうでありたかった。優秀なので、側近として手放したくないのもあるのだが…。


程良く汗をかき、気持ちの良い疲労を感じる。


木々が揺れ爽やかな風を感じていると、ふと思い付く。


「確か、最奥の間に女神様の写絵が飾られてるって―」

言ったよね、あの時?と、チラリとルーカスを見る。

「―――!それはっ…!」

しまった!という表情が垣間見えた。


ふふふ…ニヤリとし

「…見たいなぁ…見てみたいなぁ〜…。どうしてルーカスは知ってるのかなぁ?王の許可無くして入れない場所だよねぇ〜?」

おねだりしてみた。


―最奥の間―

それは、本来なら王、もしくは王に許可された者しか入れない場所だ。魔法陣が張り巡らされていて、入りたくても簡単には入れないはず。

どうしてなのか、わからない。秘密の部屋?

風の噂では、王だけに伝わる口伝があるらしい。

王にならない私は知るはずもない。

何故ルーカスが中に入らないと分からない物を知っているのか。何か理由があり許可されたのか。


暫く考え込んでいたルーカスが、意を決したのか

「―最奥の間に行きましょう。」

と、言った。


夜会の事も考え、湯浴みを済ませて正装したまま向かう。


謁見の間とは反対の廊下を抜け、王家の者だけが知っている抜け道を通り、突き当たりにある扉の前にやってきた。


重厚感のある扉――最奥の間だ。





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