ルーカス視点②
―異世界からの転生―
俄かには信じ難い話だ。
だが、シャルル様が私に嘘をつく事はない。
友情とか信じているからとかではない。
騙す、嘘をつく、そんな事は私に対してだけは意味が無いのだ。
バカ正直なので、嘘をつこうとすると魔力が波打つ。
それを見逃さない私と、自覚ある主人は無駄なやり取りはしない。
愛すべき残念なお方なのだ。
それにしても…。
出来事を振り返る。
光を放ち、呆然とたたずむ姿…美しい…息が出来ない程に。
眼を離すことが出来ない。
いつも、邪魔だから!と肩上に切り揃えられた髪が腰まで伸び、女性らしい曲線に、美しい顔立ちに不安そうな瞳。
ほんのり赤い唇は震えている。
あまりにも見過ぎてしまい、バツが悪く眼を伏せ考える。
シャルル様なんだが…どう考えても、あの女神の肖像画の風貌だ。
確信は無かったが、魔力の押さえ込みを提案してみた。
魔力の扱い方に関して、尋常じゃない能力を持っている方だ。
案の定、成功したようだ。
声をかけると、安心した様にそのまま倒れてきた―――。
そっと抱えて部屋へ運び込む。
慌てた侍女達に、体が本調子で無かったことを伝えて休ませるよう指示し、学園にある王都最大である図書館に向かった。