表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/39

魔王

魔王は、視線を敵に戻しサッと手を翳す。反逆者と呼ばれたカミラに向かって、蒼黒の鎖が飛び出した。グルグル巻きにされたカミラはゴロンと床に転がる。

…一瞬の出来事だった。 

そのままドンっ!と蒼黒の魔力の塊を魔物や死霊の上に落とし、消し飛ばす。


そして、門を抑え込んでいるこちらに向かい…ゆっくりと歩いてきた。

(………!)

背後から手を回し、一緒に剣を握らせる。

「シャルル、行くよ。」

耳元で囁いた。

次の瞬間、捕われたカミラの肉体から()()()()()が離れ実態を見せ、勢いよく襲い掛かってくる。

―――――!

魔王の剣に二人の魔力を注ぎ、魔を司る者に向かい撃ち放つ。

絡み合う七色の光と蒼黒の魔力―!


―全てを飲み込んだ。―


「これで本当にさよならだ、神への反逆者…前魔王(ちちうえ)


反逆者は塵となり、魔界への門が閉じた…。


(…全部思い出した…)


約700年前、魔界の前王は全ての世界を手に入れようと、女神を討ち人間界を恐怖と闇で支配しようとした。

創造者の神は怒り、新しい魔王を誕生させた。魔王は魔界を、女神は人間界を守るため、二人は出逢った。そしていつしか、恋に落ち愛し合った。

そして、神に反逆した前王を倒すため共に戦ったが、まだ二人は未熟だったのだ。完全には倒せず封印はできたが、魔王も致命傷を負った。反逆者として、いつか復活する為の呪いが残った事を知り、魔王自身の魂を魔剣に封じ長い眠りについた。

いずれ反逆者の封印が解かれる時、女神と共に戦う為に復活すると誓った。


女神は何度生まれ変わってもまた出逢えるよう、自分の光の魔力を魔王の蒼黒の魔力で染めたのだ。

だから、女神は生まれ変わっても湖のような水色の魔力を持つ。

魔王は女神を見つけるため、魔力の流れを視る力を継承する。

そんな目印の魔法をかけた。


――魔王。


嘗て、女神(わたし)が愛した魔王(ひと)…。

女神としての記憶にある、大切な人。女神(わたし)が心の奥底から求めている唯一の魔王(ひと)…。

 

魔王は心底嬉しそうに…私を見る。

「永い時を経て、やっとまた逢えた。」


深い闇の色の瞳で見つめ、自分の首にかかっていたチェーンから指輪を取り外す。  

そして、私の左手を取り薬指にはめた。


わかっている。

――わかっているけど――!

(今の女神の中身が…私…おばちゃんなんです…。記憶はあるのに、感情がついて行けてない…。ああぁぁ、どうしよう…。)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ