視線
授業は特に問題無かった。
ミアはやたらベタベタしてきたが、適当に躱しておいた。
魔力は下級貴族にしては確かに多い方だと思ったが、ただそれだけだった。
態と魔力のバランスを崩したり、手の込んだドジっ子アピールはあったものの…。
っ!
…視線!!
前にもあった、あの視線を感じた。やはり、周りを見ても不自然な者は居ない…。ねっとりと絡み付くとても嫌な感じだ。
しまった…ルーカスが、近くに居ない。
周りを探っていると、急にのんびりとした声がかかった。
「シャルル君の魔術は見惚れるねー。今日の実習も素晴らしかったよ。」
後ろから担任が話しかけてきた。
「特級魔術師のフェルゼン先生に褒めて頂き、光栄です。」
「いやいや、本当にシャルル君の魔術の扱いは凄いよ。今度、私の研究室に来てみないか?」
軽く曖昧な笑顔を返しておく。本当の魔力量がバレたら面倒くさい。
………。
いつの間にかあの視線は消えていた。
(確か以前も、先生に話しかけられる前だったな…。)
ミアは関係あるのだろうか?
教室で、悟られない様にミアの様子を観察する。
どうやら取巻きが居るみたいだ。あれは、平民のカミラといったか。
華があるミアと違い、大人しそうで上手く使われている。
友という感じはしない。なんだか裏がありそうだ。
ハラッと、ちょうどカミラが何か落としたので拾ってあげた。
小さく畳んだ紙?
「これ君のかな?落としたよ。」
声をかけると真っ赤になった。
「あ、あ、ありがとう…ございます…!」
慌ててミアの背後へ隠れた。
「カミラちゃんたらドジね。シャルル様ありがとうございますっ。カミラちゃん平民だからって気後れしちゃうんですぅ。」
私に見えないと思ったのか、背後を向きミアは彼女を蔑むように睨んだ。窓にしっかり映っている…。カミラは俯いた。
(……やっぱり、ね。)
「この学園では皆平等だから気にしないでね。それでは、また明日。」
ニコッと、さっきのやり取りを見ないフリをして、その場を後にした。
………………………………………
部屋に戻り、ふぅ〜と息をつく。
いつもの紅茶で癒されながら、今日の出来事をルーカスと話す。
ミアは上手く男に取り入る小悪魔タイプなだけだった。
〔身分なんてよくわかりません〕的に上位には取り入り、自分より下は蔑む。そんな考えの、魅力もない人間だった。
ルーカスが魔力を視たところ、脅威になる程の魔力はなく中級貴族程度だった。
一方でカミラは平民で有りながら少しだけ癒しが使えるレアな魔力の持ち主だった。
どうりでミアが自分の側に置き、目立たせないようにする訳だ。
癒しが使えるカミラは貴族達に好意を寄せられるであろう存在だ。
側にミアが居なければ…。




