接触
侍女には下がってもらい、三人で話しをした。
大凡考えていた通りだった。
トルソーに、ミランダの日記については伝え無い事にした。知ったら、グレイ男爵の真実を見抜けなかった自身を責め、何をするかわからない。
うまく誤魔化しつつ、話を聞いた。ひとつ分かった事は、ミアは養女であった。遠い親戚で、平民でありながら魔力の強いミアを養女として引き取ったそうだ。
上の貴族に嫁がせ繋がりを得る為だろうか?普通の男爵なら考えそうだが…。
あの日記を読んだ今、とてもそれだけとは思えない。
明日から、学園でミアとの接触を試みるつもりだ。
もの凄く…もの凄く面倒な事になりそうだ。
はあぁ…。
王族を支えている裏の者との繋がりあるルーカスは、学園には味方が居ると言っていた…。
(…そんな者は居ただろうか?誰だろう?)
……………………………………………
いつもなら、あまりミアと接触しない為にギリギリに教室にはいるのだが、今日から早めに学園に向かう事にした。
随分と早かったのか、教室にあまり人が居ない。
軽く挨拶を済ませて自席へ着く。
不自然にならない様にルーカスと会話をしながら周りを窺う。
ミアはまだ来ていない様だ。
「シャルル様、今日は随分と早い到着ですね!」
明るい声でそう話しかけるのは、クラス委員長のミハイルだ。朝から爽やかさ全開だ。
「今朝はちょっと早起きしたから、散歩してきたんだよ。朝の空気は気持ちが良いね!」
などと、笑顔で返事しておく。
チラホラと生徒が集まり、ミアもやって来た。
早速こちらを見つけて寄ってくる。はぁ……。
「シャルル様お早いですねっ。今日の魔術の授業は一緒の班なんです!火の魔術が苦手なんですぅ。私、ドジなので…」
「色々教えて下さい…フフ」と、軽く私の腕を摘み甘い声で囁いてくる。
背中がゾワゾワしてくる…。無理…。
絶対、第三皇子としての私の気を引きたいのだろう。女の子慣れしてない男子なら速攻で落ちるな…。
でも、せっかく近づくチャンスなので!
「それは楽しみだね。」
ニコリと口角を上げて、意味深に微笑んであげよう。
ついでに、腕に触れていたミアの手をそっと握って下ろしてあげた。
ミアの顔がほんのりと赤くなった。
「「「きゃぁ〜〜」」」と、また何処からか聞こえてきた。
『……………やり過ぎです!!』
ルーカスの視線が怖かった…すみません。




