涙
なんて強い女性なんだろう…。
ミランダは、たとえルーカスを産んでなくても、母親だ!
同じ母として共感する。
ルーカスは何も喋らない…。
日記を見つめ、零れ落ちる涙にさえ気がついていない。
「…とても愛されていたのね…。」
そう声をかけると、ルーカスは首を振る。
「…私のせいで――母は…。いえ、この女性は…。」
苦しそうに顔を歪める。
「この人はルーカスのお母さんよ。」
じっと、見詰める。
「いいえっ!この人は…!私と出会わなければ死なずに済んだ…他人ですっ…!!」
真っ白になる程握り締めている手は、震えている。
ああ、自分を責めてしまってる…。ミランダはそんな事望んでないのに…。
子供の様に小さく震えるルーカスをそっと抱きしめる。
ビクッと身体を強張らせる。
「違うわ。ミランダは母親だったのよ。命がけで貴方を救い、息子として育て、生きていく未来を望んだの。母親はねぇ、子供の為なら何だってできるのよ。どんなに苦しくても、貴方を手放さなかった。それが、事実でしょう?」
優しく問い掛ける。
「ですが!血も繋がっていないのにっ!」
ルーカスは大人びていてもまだ15歳なんだ…。
「そんな事どうでもいいのよ。」
「……………」
「血の繋がりが何だというの?それは些細なことよ。ミランダが貴方を息子として繋いだ命なの。貴方の纏っている魔力はミランダの想いそのものでしょっ。
しっかりしなさい。ルーカスは愛されて育ったのだから。」
抱きしめている手に力をいれる。
……腕の中でコクリと小さく頷いた。
(親はいつかは先に逝くものなの。子供にはそれを乗り越えて強く生きて欲しい…そうよね?ミランダ…。)
――懐かしい娘の顔を思い出した――
ルーカスは一頻り涙を流して、少し落ち着いたのか顔をあげる。
いつものルーカスに戻ったようだ。
「…あの…取り乱して、すみませんでした。」
見る見るうちに茹で蛸みたいに赤くなる。
あれ?
あ、抱きしめたままだった。




