クセになりそう
ルーカスの反応が面白すぎた。
いつも、余り感情を面に出さない。端正な顔立ちのせいか、冷たい印象すら相手に与えてしまう。
もしかして…男の私にずっと仕えていたから、女性に対しての免疫が無いのだろうか?
ちょっと、心配になってきた。
これでは、パーティーとかで女性とダンスできないのでは…?
よし!決めた!
女神になる回数を増やして、克服させよう!!心の中で拳を突き上げる。
(決して面白いからでは無い…からねっ。)
そんな事を考えているうちに、通常モードになったルーカスが話しかけてきた。
「…教会の場所に何か感じましたか?」
あっ、そうだった!
再度、地図に手を翳し魔力を流してみる。
小さい反応だが、一箇所に何か感じた。
王都からだいぶ離れた場所だ。地理的に農村地帯だと推測できる。
じっと待つだけは性に合わない。
教会には余り近づかないと約束し、次の休日に行ってみる事にした。
―すっかり、不穏な視線の事は忘れていた。
……………………………………………
このまま普通に向かってしまうと、第三皇子であると気付かれてしまう。
だから―――ふふ…念願の女装をして行く事にした。実際には女神の姿だから、女装でもないのだが。
魔力の光も隠蔽出来るようになったので問題ない。
トルソーは知っているが、侍女達には女神の件は知らせて無い。
ただのお忍び視察という名目で、平民の女性物の服や化粧品を用意して貰った。
手伝うと引かない侍女達をどうにか言い包め、自分で支度する。
髪も目立たない様に染めて、軽く編む。
化粧もする。普通とは逆に、華やかな顔立ちを目立たなくしていく。
久しぶりのメイクは楽しくてしょうがない!
女性であったことへの未練は無いが、ヘアメイクは大好きだったのだ。サロンワークでは使わないが、特殊メイクの講習会だって何度も通ったし!
(ああぁ〜クセになりそう…。)
部屋から出ると、皆の驚愕の顔が…。
「…シャルル様でいらっしゃいますか?」と、メアリ。
「凄いですぅ!平民の普通のキレイな女性に見えます!」と、マーサ。
そうでしょう!と、満面笑みを向ける。
ナチュラルメイクとは手抜きメイクではない!ナチュラルに見えるように計算してきちんと手を入れるのだっ!
トルソーとルーカスは複雑そうな顔だが、気にしないでおこう。
同じく平民の服に着替えたルーカスと共に出発した。
内容は色気無いが、ルーカスには女性に慣れるためデートを経験してもらおう。
本人が聞いたら、余計なお世話だと思うだろうが…。




