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ルーカスの過去と口伝

ルーカスはゆっくりと話し出した…。


執事トルソーの妹はミランダという、気立ての良い明るく朗らかな女性だった。

そんな彼女が突然居なくなり、家族も、ミランダの婚約者も、皆探したが見つからなかった。

婚約も破談となり、数年が経ったある日…。

小さな男の子を連れて帰って来た。

何があったのか聞いても、彼女は首を振るだけだった。

ただ、

「名はルーカス…この子は、()()()()()()()()()()()()

王家へ連れていくように、と。

とても衰弱していたミランダは、兄のトルソーに息子を託し―逝ってしまった。


王家に仕えるトルソーは、()()()()の存在は知っていた。

王国の抱える最高峰の魔術師達でさえも、滅多にその能力を持つ者は居ない。


当時、現王直属の執事だったトルソーは内密に王と謁見させた。


視れる者が現れた時、その者は王家に仕えなければならない。残念ながら、現在王国には居なかった。

三男のシャルルが生まれた時に纏う色を視た魔術師は高齢であった為、その数年後には他界した。


王だけに伝わる口伝…()()()()は、水色の魔力を纏う者の傍に置かなければならないらしい。


そこまでは理解した。

「……それで、その口伝とやらは教えてもらったの?」


核心へ進む―。


「はい。―そのまま最奥の間に連れて行かれました。」


最奥の間を開けるための鍵は、あの指輪―。

―本来、王が所持して後世に伝え渡していく物。


中にはあの女神の写絵が…。

その前で、口伝による()()()()()()()()()()の役割を聞かされた。


数百年という大昔…


人の住む世界に、魔を司る者が現れた。

次々に禍々しい呪いを発動し、憎しみで溢れた人々は殺し合い、戦争となった。

そして、魔王を呼び出し更なる恐怖で世界を支配しようとした。しかし、魔を司る者の失敗は魔王の本質を見抜けなかった事だ。

同時期に、王家の姫の中に七色に輝く女神が顕現した。

魔王と女神はお互いを知らずに出会い、愛しあった。

女神は魔王の死と引き換えに、水の様に輝く青き魔力と聖剣を手に入れて魔を司る物と呪いを封じ込めた。

ただ一つ、後発の呪いが残ってしまった。

―人々の悪意が満ちた時、魔を司る者が復活する。―

それを知った女神も、その時が来たら自分達も復活するという、命をかけた聖なる魔法を使った。

復活の時、女神は王家の姫の中に顕現する。

青き水色の魔力を纏いて魔王と共に現れ、世界を守ると。

自分の父である王に指輪を託し消えていった。

そして、その場に湖ができた。


【水色の魔力を纏う女の子が生まれた時、魔王の能力の一つ()()()()()()()()()()を傍に置くように。】


王は悪意ある者に気付かせぬよう、王家だけの口伝とし、指輪と共に残した。


そして当時の王は、国の魔術師達を集めて自分の娘…何年経っても変わらない、()()()()()()()()()()を描かせ、最奥の間を造った。



「………ですが、何百年と水色の魔力を纏う女児は生まれ無かったんです。シャルル様は男の子でしたので、王は安心しておいででした。ただ、念のため…。」


―ルーカスはシャルルに仕える事となった。―


なるほど…水色の魔力の私と特殊な能力者のルーカスが一緒に居る必要があったのね。


(うぅ〜ん…。何だか壮大なファンタジーだなぁ…。

頭の中がパンパンになってきた…はぁ〜。)


「…でっ!」

「………。」

「男の私は女神になる筈が無かったのに、女の転生者であることが何か作用した―――。って考えると辻褄が合う…ね。」

「…そうなのかもしれません。あの時――シャルル様が記憶を蘇らせた時、七色の魔力に包まれたのです。」

思い出す様に、長い睫毛を伏せ目を瞑る。


「その魔力の変化について、王にお伝えし指輪を渡されました。何かあれば、シャルル様を最奥の間にお連れしろ…と。


そして、この湖でシャルル様が女神の姿になられた事も、王はご存知です。王は、来るべき時がくると。」


(ああ、それでアッサリ連れて行ってもらえたのか。)




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