表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/120

満点の星空の下で

ドワーフの街を出て、西へと移動しています。途中、夜を越したので日付は変わって今は早朝です。

まだ、皆はぐっすり眠っています。私は眠りが浅かったのか早目に目が覚めてしまいました。


(ほろ)の隙間から漏れる光が柔らかくこちらを照らしています。


病弱だった前世の私。私が死んだ日もこんな穏やかな日でした。昏睡状態に陥り、何もかもが、自分が苦しいのすらもわからなくなって、でも発作が起きる前の、病室に差し込んだ日の光が暖かかった事だけは覚えています。 

あれから半年ちょっと。全てを忘れてしまうにはまだ早すぎます。


何にも出来なかった前世の私。時折今の私と比べてしまう。

みんなと一緒に旅をして、怒ったり笑ったり、時には泣いたりでこんなにも幸せです。もう、何も出来ない私は居ません。やろうと思えばなんだって出来そうな気がします。


ファルシや、マリーメリーの我が家で出会ったこども達。私もいつか、遠くない将来に本当にお母さんになる日が来るんでしょうか。私は隣で眠っているソフィアス様を見て、そんな事を思ってしまいました。


ソフィアス様も、私の腕を掴んだまま眠っているアミュールさんも温かいです。


「ん・・・。リリーシュカ、おはようなのだ」

「リリーシュカちゃん、おはよう」

「あら?もう朝?嫌だ、お肌の手入れをしなくちゃ」

「・・・おはよう」

「おはようッス!!」「おはようございます!」

「ピャァ!!(おはよう)」


皆一斉に起きました。


「皆さん、おはようございます!」


今日も、忙しい一日が始まります!


「あ、街が見えて来たよ!」

「本当ですね!御者さん、もう少し頑張れますか?」


御者さんが前を向いたまま後ろに向かって親指を立ててOKサインを出しました。街に着いたら美味しいものでも食べてもらって、その後ゆっくり休んでもらいましょう。

ヒールで疲労は回復できますが、精神的にもリフレッシュしてもらわないとです。



【星々が煌めく街/プラネティ】

プラネティに着きました。ここは国で一番星が綺麗に見える所だそうです。

星や惑星をモチーフにした街灯や看板などが素敵です。

建物も、他の街とは違って近未来っぽい造りになっており、泥臭い冒険とはかけ離れたイメージです。地面もレンガだし、異世界感が皆無です。


「街は八時になったら全ての灯りが消えるから、そしたらあそこの丘に登って星を見ようね」

「へぇぇ、街の灯りが消える・・・ロマンティックですね!!」

「それまで、アタシ達ものんびりしましょう」

「私達は宿の予約を取りに行ってきますね。行きますよ、ソフィアス様」

「小鳥ちゃんも泊まれる所だといいのだ」

「私も行く〜!!」

「俺は、ぶらぶらしてる」

「アッシはギルバートと日光浴してるッス」


皆それぞれ自由行動です。束の間の休息ですが、今日一日はここで過ごす事にしました。

考えたらもうずっと休みという休みが無かったですもんね。


おもいおもいの時間を過ごして、早めに宿に戻り夕飯とお風呂を済ませて私達一行は丘にやってきました。私達の他にも、観光で来ている方とかが居ます。今でも充分星が綺麗に見えますが・・・。


八時まで後数分。


後30秒


後10秒


八時です!街の灯りが本当に一斉に消えて、星空がより一層明るく見える様になりました。


「う・・・うわぁぁぁぁ!!!凄い、綺麗です!!」


街のレンガもところどころ淡く光っていて幻想できです。


「アミュールさん、レンガは何で光ってるんですか?」

「あぁ、あれは暗くなると光る苔を材料にした塗料が塗ってあるんだよ」

「なるほど!上も下もとても素敵ですね!」

「ねぇ、坊や。この星空をバックにアタシ達を複写してくれないかしら?」

「勿論なのだ」


私達は並んでソフィアス様に向かい合いました。


「いくのだ!むむっ集中〜!!」


ソフィアス様が手にした紙に何かが映し出されましたが、暗いので後で見ることにしましょう。


「ありがと〜!さ、坊やとリリー並んで並んで!」

「何するのだ?」

「坊やはアタシが見ている坊やとリリーを複写するのよ。坊やに触れていればいいのよね?」

「ジェシー!ありがとうなのだ!!その手は思いつかなかったのだ!」


よく、アミュールさんが「私も〜!」と来ないなと思っていたら、リジットさんがアミュールさんをガッシリ捕まえていました。

満点の星空の下で、私とソフィアス様は手を繋いで寄り添ってツーショット複写を取りました。なんか、久々に夫婦らしい雰囲気です。へへ、ちょっぴり恥ずかしいですけど嬉しいです。


もし、私が虹の子になったらいつか魔王と戦う時がくるかもしれません。

現に四天王が私達を襲って来ましたし、可能性は高い気がします。

私はこの星空と、皆を守る事が出来るでしょうか・・・?

ううん、絶対に守らなくてはなりません。

ソフィアス様の手をぎゅっと握ると、ソフィアス様も握り返してくれました。


私は、この先何があってもこの愛すべき人々を守ると固く心に決めました。


この燦然(さんぜん)たる満点の星々に誓って。

今回もお読みくださり、ありがとうございました┏○ ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ