表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/120

風の精霊シルフ

神殿の中の礼拝堂のステンドグラスが日の光でキラキラとしてとても美しいです。


「(ボソッ)わ、わぁぁ・・・初めて入った・・・」


後ろから何か聞こえてきました。初めてって・・・森の番人の名前はお飾りじゃないですか。あ、“自称森の番人”ですね。わかります。


「がおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「ウワアワアワアワアワアワア!?」

「アミュールさん、大人気ないですよー」

「だってぇ、オドオドビクビクしてて、からかいたくなるじゃん」


アミュールさんがくるりと振り返って、雄叫びを上げると悲鳴をあげてその場にへたり込むファルシ。葉っぱの仮面もズレています。


「う、ウワァァァァァァァン!!こわいよーー!!」

「あぁ、ほら泣いちゃったじゃないですか!」


ファルシはきっと神殿が気にはなっていたが、怖くて一人では入れなかったんですね。いや、なんだろ。ニーヴェン様と同じ位なのにこの子のこのこどもっぽさは。なんか早口言葉みたいになってしまいましたね。いや、ニーヴェン様がしっかりしていて大人びているだけで、本来はこの子の方が年相応といったとこでしょうか。

長男はヘタレ、次男は俺様な男尊女卑野郎だからニーヴェン様は自分がしっかりしなくちゃって無理してるのかもしれないですね。ホロリ。


とりあえず泣いているファルシを放っておく訳にはいきませんので、チャーチチェアに座らせて、尋問・・・いや、質問をしてみました。


「ファルシ、あなたの家族は何をしてらっしゃるのですか?」

「ぐすっ。・・・・・・居ない」

「えっ?居ないってどういう事?」


こどもの涙には弱いおばさんジェシーが食いつきました。


「オレは小さい時にここに捨てられたんだ。オオカミのノーラがオレの母ちゃんだ。でも母ちゃんも病気で死んじゃった・・・う、ウワァァァァァン!」

「そ、そうなの?おーいおいおいおい」


ジェシーも一緒に号泣しています。しかし、こんなに豊かだと思える世界でもこどもを捨てるとかそんな事があるのですね。

これは、この旅が終わったらすぐにでも何とかしなくてはいけない案件です。


「ファルシって名前は母ちゃんがつけてくれたんだ。人間の言葉も母ちゃんが教えてくれた」

「と言う事はファルシは動物の声スキルを持っているんですね」

「うん」


あらやだ。この子話せば素直じゃないですか。ファルシって確か詰め物って意味じゃ無かったでしたっけ?トマトとかの中身をくり抜いてひき肉とか詰めたりする食べ物・・・ですよね?・・・こ、これはファルシには黙っていましょう!うん。

アミュールさんとリジットさんも神妙な顔をしています。やはり、こどもの涙に弱いのでしょうか?

それにしても、ファルシが“人間風情が”って言ってるのはオオカミ()の影響でしたか。



「ねぇ、ファルシ。お友達の居るとこに行きたくない?」

「と、友達?」


アミュールさんがファルシの前にしゃがんでファルシの目線で話をしています。面倒見がいいんですね。


「そう、ファルシくらいのお友達が沢山居るよー。ファルシがそこに住んだらそのお友達は家族になっちゃうんだよー。凄くない?」

「すっ!凄い!!い・・・行ってみたい!」

「ファルシは・・・森を離れるのは嫌じゃないのか?」


ふぉぉ!!珍しくリジットさんが喋ってますよ!!


「母ちゃんや動物の友達は沢山居るけど・・・皆オレに人間に戻れっていうんだ。皆にとってオレは邪魔なんだ。けど、一人で森を出て行くのは怖くて・・・。だから連れてってくれるならオレ、行きたい!」

「ロバギル・・・ちょっと。頼まれてくれますか?」

「なんスか?アニキ」

「お師匠様、どうしました?」

「ちょっと・・・ごにょごにょ」

「わかったッス!!」「了解しました!」


ドタバタと神殿を出て行くロバギル。頼みましたよ!


「そっか。じゃぁ、一緒に行こう。リリーシュカちゃん、この子の事は私とリジットが責任を持って守るから、連れて行ってもいいかな?」

「勿論ですよ。その、お友達が沢山居るところってのがお二人の寄りたいとこなんですよね?」

「何そのリリーの、言いたいことは全てわかってますよ!みたいな無駄なドヤ顔は・・・」

「ありがとう!そうなんだ!ここから南下した所の、バッカン洞窟の間にある街、スシクィーネに寄って欲しいんだよ。あ、もちろんここ寄った後も最後までお供するからね!」


なんか・・・お寿司が食べたくなりました。


「リリーシュカちゃん?」

「あ、あぁ。スシ食いねェ!・・・じゃなかった、スシクィーネですね!行きましょう」

「ちょっ・・・。リリー、あんた年齢サバ読んでんじゃないの?」


なんとなく私の気持ちに共感しているであろうジェシー。


ふわっと優しい風が神殿の中に吹きました。ロバギルめ!扉を閉めて行かなかったですね!!あれ、閉まってる。何故・・・風が・・・?


『心優しき人間達よ。小さき森の民を保護してくれてありがとう。お礼に私の力をお使いください』


私の前に緑色の光を放つ精霊が現れました。シャイニーやティンカー○ルみたいに人の形をしています。なんでイフリートだけ猫ニャンなの?


「あなたが、シルフですか?」

『如何にも。さぁ。エンゲージをしましょう』

「わ、わかりました!汝シルフよ、我リリーシュカ・・・なんでしたっけ?えっと・・・精神の繋がりを契約という名の元に誓う?」


やべー、長すぎて忘れちゃいました!


『クスクス。我シルフ。汝リリーシュカを主と認め、仕える事を誓う』


あ、いいんだ。一言一句合っていなくても。指輪から木の枝が伸び、シルフの首に巻き付いて、首輪に変わり、ガシャコンとハマりました。あぁ、また身体がポカポカします。


『マスター、これから宜しくお願いします』


ステータス画面で確認すると、風の子スキルが付与されていました。

ここまでは順調です。

さぁ、スシクィーネを目指すとしましょうか。

今回もお読みくださり、ありがとうございました┏○ ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ