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ヘーナの森の番人

お兄さんにお礼を言って、おじぃさんにも挨拶をしてお元気そうなのを確認して私達は酒場で休みながら小鳥ちゃんとロバギルを待っていました。


「凄いセンスだったねぇ!」


アミュールさんが、肉まんを食べながら私の杖について語り始めました。見た目は女の子でもさすが男性です。アミュールさんは良く食べ、良く飲みます。

リジットさんはお菓子や甘い物が主食と言っていい程甘い物好きです。見かねたアミュールさんが、付け合せの野菜をよく食べさせていますが、多分アミュールさんあの野菜嫌いです。策士です。


「この杖を見る度装備値プラスアルファの力が使える様な気がします」

「でも、ようやく人並みの力が出せる様になったわね」

「数値三桁ですけどね。限界突破出来た時の事を考えたら笑いが止まりませんけど。ふふっ」

「アニキッ!ただいまッス!今戻りましたッス」

「おかえり、ロバート。食事は済ませましたか?」

「俺達はギルバートの所でご馳走になって、小鳥ちゃんはその辺の虫を捕まえて食べてたッス!」

「あぁ、そうですか・・・。また臭くなってますね・・・」

「じゃぁ、ヘーナの森の神殿に居るという風の精霊とやらに会いに行きましょうか」

「「「「おーーーー!!!」」」」


私達はサラマッティまで来た道を少し戻り、ヘーナの森の奥地を目指しました。途中からやはり荷馬車は入っていけないので、私達は荷馬車を置いて歩く事になりました。荷馬車が襲われても困りますので、御者(ぎょしゃ)の方と馬車にバリアをかけておきました。


ヘーナの森の奥地までの道は、ヴァルツィアの森の神殿までの道とは違い、人が一人分だけ通れる道は綺麗に整備されていました。景観保護法があるので、道路やレンガなどは敷けませんが、定期的に人が通っている印象です。


先へ先へと進む事30分ほど。途中出現するモンスターは木のお化けみたいなのが、出てきましたがそんなのは炎の魔法が使える様になった私の敵ではありません!!


・・・と言いたいとこですが、如何せんまだまだ数値が低いので多少のダメージを与えられる様にはなりましたが、一撃では倒せません。


少し開けた場所に着きました。その先に建物がありました。きっとあれが神殿でしょう。

私達が神殿に近付くと、後ろから声が聞こえてきました。


「神殿に、何の用だ!?」


後ろからのパティーンはもはやありきたりですよ。たまには脇からとかでもいいんじゃないでしょうか。

お約束ですが、後ろを振り向くと、褐色の肌の少年が仁王立ちしてました。

上半身裸で、葉っぱのコシミノ、ほっぺには赤と白の線が入っており、原住民のような格好をしています。


「私達は風の精霊に会いに来ました」

「人間風情が風の精霊に会うなどと言う事が叶う訳が無いだろう!!」


いや、人間風情て・・・。アンタも人間じゃないんですかね?


「オレはこの森の番人、ファルシだ!お前らみたいな人間から神殿を守る戦士だ!!」


うわぁぁ。また濃いキャラが出て来ましたよ。こちらも負ける訳にはいきません。濃いキャラには濃いキャラで対応せねば。


「ロバギル。この戦士に説明したんさい」

「はっ!アニキ。コホン。控えー控えー!!控えおろーーー!!!」

「この御方をどなたと心得るーーー!!!」


私の両脇にザッと並んだロバギル。


「な、なんだ・・・?」


ふふ、怯んでる怯んでる。


「この御方こそ、光の子であり、炎の子リリーシュカ様であらせらるぇっ!りゅじょっ!!」


あっ、噛みましたね!!ツメが甘い!!


「ロバートさん!ドンマイです!」

「なんだ・・・と?そのちんちくりんが光の子・・・そして炎の子・・・。オレですら何の子でもないのに・・・」


それは言わば凡人て事ですよね。


「うっ・・・。うわぁぁぁぁぁん!お前なんか風の精霊にたべられちゃえぇぇぇっ!!」


えっ!?ファルシと名乗った子は泣きながら走り去ってしまいました。何か彼のプライドが傷ついたのでしょう。しかし、森の・・・番人なんですよね?メンタル弱すぎです・・・。


「さ、先急ぎましょうか?」

「そうね・・・。あの子何だったのかしら・・・?」

「あはは、めっちゃ泣いてたねー」


神殿の扉に手をかけた時、またしても誰かの声が聞こえてきました。いや、聞き覚えあるんですけどね。ついさっき。


「うはははは!私が風の精霊だ!!人間風情が何の用だ!!」


・・・・・・人間風情って四文字熟語流行ってるんですか?

うんざりしながら後ろを振り向くと、目と口の部分に穴を空けた大きな葉っぱの仮面?をつけたファルシが立っていました。


「いや、ファルシですよね?」

「な、何故バレ・・・っ!?いや、勇敢な戦士ファルシは今避けられない名誉をかけた戦いの地に赴いているから全くの別人である!!」


何その設定。


「私がここに居るからな。その神殿には最早何も無い。そして私は忙しい。だから早くここから立ち去れぇっ!!」

「・・・・・・いえ、せっかくここまで来たんですから礼拝して帰ります」

「まっ、待てっ!そのドアを開けたら呪われるぞぉっ!!」


ガチャッ


「あーーーっ!開けたー!あ~けちゃったあけちゃった〜!!しーらないからなー!」


私は風の精霊を(かた)っているアナタの方が心配ですよ。

神殿の中へと進むと、ファルシも後ろから付いてきています。何なんでしょう、この子・・・。


とりあえず、訳はわかりませんが、害は無さそうなので放っておく事にしました。

今回もお読みくださり、ありがとうございましたm(__)m

11/5誤字を修正しました。すみませんでした!

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