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ヘーナの森について

身支度を整えて、朝食を食べ終えたら再び出発です。忙しないです。ですが、私以外の人にこの気候は暑すぎるので早々にこの街を離れます。


「ソフィアス様、小鳥ちゃんの寝藁しまってください」

「了解なのだ」


小鳥ちゃんもいまやロバギルにすっかり懐いており、安心して子守を任せる事が出来ます。

ジョセフィーヌやら、マシューやらとの再会は驚きましたが、もう野良タマタンとは無縁の生活を過ごしたいとこです。


「アニキ、ジョセフィーヌから村長に伝言預かったんでアニキ達がサラマッティに滞在している間にパルパル山に行って来てもいいッスかね?」

「あ・・・。そういやジョセフィーヌは村長の娘だったっけね。いいですけどロバートは人間に味方した裏切り者なんじゃないですか?」

「大丈夫ッッス。そこら辺もジョセフィーヌが口添えしてくれるッス。ジョセフィーヌが一方的にアッシとの婚約破棄をしたのだから、不問にするのが妥当だろうと。それに、ギルバートのやつ3年前にカラスに攫われてからずっと行方不明だったッスからご両親もさぞかし喜ぶだろうし、その騒ぎでウヤムヤにもなりそうッス!」


ジョセフィーヌ・・・。案外いいやつなんじゃない。・・・って、えっ!?タマタンがカラスに攫われるなんて事あるの!?そして全国の山に繁殖とか・・・?ごくり・・・。


「で、小鳥ちゃんはどうするッスか?」

「ピャァ♪」

「アッシらと一緒に行くって言ってるッスけど・・・」

「小鳥ちゃんを食べないって約束するなら連れて行ってもいいですけど。小鳥ちゃんに何かあったら命は無いと思え?お前らの里焼き払うからな?・・・ですよ(ニコッ)」

「りょ、了解ッス!!ガタガタガタガタガタ」

「朝から卑猥なもん見せんなぁぁぁっ!!!小鳥ちゃんの教育に悪いでしょうがぁっ!!」


本当にタマタンってやつは本当にけしからんとですよ!小鳥ちゃんたまにあのガタガタを真似している時ありますもん!


さて、これから向かうヘーナの森はここから東へ進んだ所に位置する大きな森です。南下するとサラマッティとパルパル山があります。

ヘーナの森には、国で一番大きなチュルィ湖があります。この湖がパルパル山とサラマッティに隣接しています。湖はボートの底が付いてしまうほど地面がせり出していて浅い箇所がところどころあるので、ボートでの横断も不可能です。王都からサラマッティに行く際、パルパル山を越えないルートはヒート・ロピカル方面からパルパル山とチュルィ湖をぐるーっと回り道をするしかないのでかえって遠回りになってしまうのです。敵も少し強いのでCランク以上の冒険者向けルートです。

尚、景観保護法によって湖に橋をかけるのも禁じられています。

サラマッティはそんな不便な所にある街なので、カジノを作って集客をしているんですね。 


とまぁ、これは昨夜アミュールさんに聞いたんですけどね。セルドジルワールの地形や歴史を勉強するのも楽しそうです。


馬車に揺られて数時間。なんて広い森なんでしょう。よくこの森を自然そのままに残していると思います。地上げをして、リゾート施設にしようとかいう悪徳不動産屋が居ないんでしょうね。


「ん?森に済んでる精霊やモンスターとかがデモおこしたからだよ」


アミュールさんがお土産に買った甘栗を食べながら答えてくれました。赤い袋に黄色い文字で、溶岩で炒った甘栗と書いてあります。


「は?デモですか?」

「過去に森を切り崩してちょっとした商業施設を建てようとした業者が居たんだけど、森で暮らしている精霊とモンスターと動物達がデモを起こして城まで来たもんだから、王様立会いの元、森側と業者の和解と『景観保護法』が制定されたんだよ。揉めるくらいならいっそ森を国の保護区域にして、森を傷付ける人は違反者とするってね」

「あぁ・・・。もう面倒くさかったんですね。おっさん。景観保護法とかいうなら、森に隣接しているサラマッティのカジノのハデハデなネオンとか大問題じゃないですかね」

「まぁ、この森広いから一部明るい場所があっても大目に見てくれてるんじゃない?」


森さえ傷付けなければ周囲がどんなでも気にしないんですね。寛大なのかなんなのか。


しかし、森の住人達の行動力に恐れ入りますね。でも、確かにここの森は広くて深いですが、神秘的で穏やかな印象です。

この森に入ってから小鳥ちゃんの羽毛のツヤが良くなり、ロバギルの顔つきがほんのりイケメンになりました。きもいっ。きっとマイナスイオンかなんかが出ているのでしょう。


再び馬車に、揺られて1時間ほどした所でハデハデネオンが見えてきました。

手前のパルパル山の入り口にロバギルと小鳥ちゃんを降ろしました。


「小鳥ちゃん、いい子にしてるんですよ。ロバギルの言う事は正しいと思う事だけ聞けばいいですからね」

「ピャァ♪」

「初めてのお使いみたいでワクワクするって言ってるッス」

「ねぇ、本当にピャァの一言でそんなに言ってる訳?」


それは私も疑問に思っていました。よくぞツッコみました、ジェシー。


「小鳥ちゃん、生麦生米生卵って言ってみてください」

「ピャァ♪」

「ちゃんと言ってるッスよ」

「まじで!?」

「計り知れないわねぇ」


小鳥ちゃんの言葉、ピャァ。なんて便利なのでしょう。

私達は小鳥ちゃんとロバギルを見送ってからサラマッティに向かいました。

今回もお読みくださり、ありがとうございましたm(__)m

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