ぶらり荷馬車の旅
「リリーシュカ!朝なのだ!起きるのだ」
「うう・・・ん、後5分・・・」
「さっきっからそれでもう30分経っているのだ。朝ごはん食べる時間がなくなってしまうのだ」
「はっ?朝ごはんは大事です!!」
ソフィアススヌーズ機能で起床して準備を開始します。なかなか便利ですよ。急いで身支度をしていそいそとテーブルについて待っていると、モリー達始め、メイドの方々が部屋まで食事を運んできてくれました。
本来、おっさんとかと一緒に食事をしなくてはならないのですが、私が断固拒否をしたため毎食事はこのスタイルです。ソフィアス様に至っては、“新婚だから二人きりで食事をしたい”って言ったら納得してくれました。チョロイです。
「ソフィアス様、荷馬車の手配は出来てますか?」
「出来てるのだ!」
「後は、まぁ現地調達で良いですよね」
「愛があれば大丈夫なのだ♪」
「小鳥ちゃん、さぁ、お口拭いて行きましょうね」
「ピャァ♪」
「つれないところも最高なのだ・・・っ」
私達はソフィアス様が手配してくれた荷馬車に乗って、ギルドに向かいました。なんか、凄い私の座る場所だけクッションが重ねてあって特別仕様車になっていましたが、皆が座る場所に分けておきました。
ギルドに着くと既に皆集まっており、いよいよ出発です。やっぱり旅の始まりはいつもドキドキしますね。
「リリーシュカちゃん、この荷馬車広いね!初めてこんなの乗ったよ」
今日も身支度バッチリなアミュールさん。リジットさんも・・・って!リジットさん、髪の毛短くなってる!!
「リジットさん、髪の毛どうしました!?」
「あぁ、これねー、モサモサしてるから私が切ったんだよー」
「凄い上手ですね!ふわぁぁぁ!リジットさん短いのも素敵です」
「・・・そうか」
「えへへー、良かったねぇリジット。褒めてもらえて」
「・・・別に」
うぉぉ!塩対応ですが、ほんのり頬を赤く染めて照れてます。
リジットさんも、格好いいなぁ。
「リッ、リリーシュカ!私の分のクッションも使うのだ!」
「ちょっと黙っててください!!」
「ショボン」
ソフィアス様とリジットさん。二人並べて眺めるととっても良い感じですね・・・。眼福です。そしてその脇にカワイコちゃんのアミュールさんを並べて・・・!
っかーーー!!!こりゃたまらんですわ。
「最初は、ポッポ山の神殿ですよね?」
「うん、ここから半日って所だね。手前のヒート・ロピカルで宿泊かなぁ。火山に、近づくに連れて暑くなるから熱中症とかに気をつけてね。水分補給ゼッタイ!」
「なるほど。小鳥ちゃん暑いの平気ですかね?」
「ピャァ」
「ダメだったら言うって言ってるッス」
「ねぇ、その、さ。めっちゃ気になってたんだけどその鳥とそのキノコ?は一体・・・?」
「あ、小鳥ちゃんはメルルーニィという鳥で、私の家族です。キノコは、タマタンって種類で、私の下僕・・・子分です」
「アニキッ!アニキッ!この、美人さんは誰ッスか!?」
「こちらが、アミュールさんで、こちらがリジットさんです」
「ケッ!こちとらヤローには興味ねッス!」
「喋るキノコ・・・ゾォーッ」
「あれ?見た事無いですか?タマタン。雨の日クエストのターゲットですが」
「いや、こんなの初めて見たよ」
え?やっぱりこいつらレアなの?私なんて村にまで行ったんですけど・・・。
「ほらほら、ロバート。アミュールさんが引いてるから大人しくしててください」
「フフフ。賑やかねぇ。いつの間にかこんなに仲間が増えて、アタシ達も冒険者が板についてきたかしらね」
本当に皆でワイワイ賑やかな旅は楽しくて、馬車酔いになる暇なんて無いです。私は、遠足や修学旅行にも行けなかったのでこうして、大勢での移動も新鮮に感じます。
「あ、ヒート・ロピカルには熱耐性の装備とかアイテムが売ってるから色々と見て回ろうよっ」
「それは大事ですね!火属性に効くアイテムとかありますかね?」
「属性が関係ない武器とか、後はオプションかなぁ。リリーシュカちゃんは武器持たないの?」
「私はご存知の通り、武器を持ったところでどうにもならないので」
「属性付の武器は持っているだけでも違うと思うけど。攻撃力が高い武器ならリリーシュカちゃんでも多少は・・・えーっと、・・・こどもの防犯対策位までなら補正できるんじゃ無いかな」
「そ、それでも無いよりはマシですよねっ」
アミュールさんに気を使わせてしまいました。そうか、武器か・・・私は何が良いですかね。やっぱり杖ですか?あー、でもそれならヒート・ロピカルで作るならお兄さんに頼んだ方がいい気がしますね・・・。
「あの、火山の次は森ですよね?地図で見ると、サラマッティが近いですよね。すみませんがその時にサラマッティによっても良いですか?」
「リリーシュカどうしたのだ?」
「お兄さんに武器を頼もうと思いまして。今から頼んでおけば間に合うかなって思って」
「それはいい案なのだ♪」
「じゃぁ、お兄さんに通信しときます」
オートバリアが効かない敵の場合とか、間合いを開けるのにいいかもしれませんね。今まで丸腰で居た事が奇跡ですよ。
装飾はお兄さんにお任せして、属性付与もしてもらいましょう。わぁぁ!楽しみになってきました!
今回もお読み下さり、ありがとうございました┏○))ペコッ