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リジット&アミュール(1)

注文に行っていたお姉さんが料理を持って戻ってきたタイミングで私は二人に声をかけてみました。


「あの、すみません。Sランク冒険者と伺ったので、少しお話を聞かせてもらいたいのですが宜しいでしょうか?」


お姉さんが、キョトンとした反応の後に笑顔で


「いいよ~!じゃぁ、席くっつけちゃおうか!」


と言ってくださったので、私達3人(小鳥ちゃんはロバ&ギルとお留守番)はテーブルを隣にくっつけました。

お兄さんの隣をゲットしたかったのですが、何かを察したソフィアス様が私とお兄さんの間に座りました。こういう時のシックスセンスは凄いなと思います。向かってお姉さんとジェシーが座っています。


「あ、せっかくなので食べながら聞いて頂ければと思います」

「ありがとー☆はふはふっ!あちち!はぁぁ、でも久々の熱い食べ物~!!」


お姉さんはどんぶりに入った茶碗蒸しを熱そうに、でも、幸せそうに食べています。お兄さんは・・・ソフィアス様(障害物)で良く見えませんがドカッと沢山のフルーツとアイスが盛られたパフェを食している様です。


「えぇと、まずは。私はリリーシュカと申します。こちらはジェシー。で、こちらは、あの、驚かないでくださいね。この国の第一王子のソフィアス様です」

「えっ!王子様なの!?こんなイケメンで王子様とか完璧じゃない?」

「いやぁ、照れるのだ♪」


お姉さん・・・。外見に騙されてはいけませんよ。そんな顔でしょっちゅう鼻血出すんですから。


「私はアミュール、でこっちはリジット。昨日までここからちょっと離れた渓谷にあるドラゴンの巣窟に半年ほど篭ってドラゴン退治してて、今戻ってきたとこなんだよー」

「えぇ!篭ってって!一旦引こうとかは思わなかったんですか?」

「それが、1匹倒したら入り口を塞がれちゃって出られなくなっちゃったの。ドラゴンともなると知能も発達しているからね。岩をどかしている間に仲間を呼ばれたらひとたまりもないし、隠れる場所を転々としながら1匹ずつ確実に仕留めていったんだよ」

「それで半年も!凄いです!でも、なんだかお二人とも半年振りにしては、こういっては失礼ですが、こぎれいな感じがします」

「あははっ。流石に人前で汚い姿をさらすのは私の流儀に反するもん。とにかく身なりだけは整えてから来たよ!!」


 そうですよね。カワイコちゃんが服ボロボロで汚いのってちょっと、ですもんね。アミュールさんは美意識が高い方なんですね。私とは大違いです。


「あ、話は逸れましたが、私達は訳があって各国の神殿を探しています。Sランク冒険者のリジットさん達なら色んな国へ行った事があるのではないかと思いまして」

「そうだなぁ。私達も生活に必死で色々回ったよ。あの頃の私達は親元を離れたばかりで貧乏で。無茶なクエストやっては大怪我して・・・。それを繰り返していたらいつの間にかSランクになってたんだよね、リジット」

「あぁ」


Sランクっていつの間にかでなれるものでは無いと思いますが・・・。しかし、場数を踏むのも大事ですよね。私達には無いものです。


「神殿の類は、主要都市部にあるものや、火山の近く、森の中や洞窟の中なんてのもあるし、滝の中だってあるよ」

「ちょっと待ってください!それ全部教えてもらえませんか?」


なんかさらっと私達の行きたいとこ闇以外ほぼ全部言いませんでした?


「え?うん。いいけど。えっとねぇちょっと待ってて。ズゾゾゾゾゾゾゾ・・・。ゴックン。プハー!あー美味しかった!あ、ごめんごめん。地図に直接書いていい?」

「あ、はい。構いません」


アミュールさんは豪快に茶碗蒸しをかき込んだ後、アイテムボックスからマジックを取り出しました。


「とりあえず全部回るなら、最初はルクルーンて都市のクルケ神殿・・・」

「あ、火山と森と洞窟と滝だけ教えてもらえれば大丈夫です」

「そう?、じゃあ、ここから一番近いのはここを出て北に向かった所のポッポ火山かな。あったかいとこでね、近くにヒート・ロピカルって街があるよ。断然水属性が有利だよね」

「ソフィアス様が使えない所ですね」

「リリーシュカ!?うっ!ニーヴェンみたいに私にも水と風の魔道師のジョブ適正があれば・・・」

「まさかニーヴェン様を連れて行くわけにもいきませんしねぇ・・・」

「で、ここから東へ行くとヘーナの森とチュルィ湖があって・・・んで、こっから南にぐるーっと行ったとこにバッカン洞窟が合って、あ、ここにはドワーフ達が住んでるよ。で、今度は西に向かって行ったところにセールジの滝がある。大丈夫かな?」


えぇー・・・。なんか物凄い距離の旅になりそうですね。


「なんで、神殿を探してるの?訳って聞いたらダメな事?」

「いえ、そんな事は無いですが・・・」


別に隠す事でも無いですし、私は二人に事情を話す事にしました。


「へぇー!あなた光の子なの!?初めて見たー!で、精霊を集めたら虹の子になれるかもしれないんでしょ?」

「まぁ、私次第みたいですけどね」

「ねぇ、その、提案なんだけどさ、私達もついていっても良いかな?勿論戦闘面では協力するからさ!」

「えっ?それは願ったり叶ったりですけど。私達のパーティーは穴だらけなんで」

「おい、アミュール」

「いいじゃん、私も光の子が虹の子に進化するの見てみたいもん。こんなの一生の内に一度だって見れるかどうかわからないんだよ?」


いや、なんか(サナギ)から蝶に孵化するみたいな、ってか珍生物みたいな言われようですね。Sランクの方々が同行してくださるなら、こちらとしては心強いし願っても無い事ですが、リジットさんはあんまり乗り気では無いみたいですよ・・・。

今回もお読みくださり、ありがとうございました(^^)

10/26誤字と方角(東西逆に)修正しました。お城の裏手は海なので、北にあるポッポ火山から西は海になります。方向音痴っぷりがバレました!すみませんでした。リリーシュカ達は時計回りに旅をしています。

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