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王様との謁見

 騎士様に大きな扉を開けてもらってナイスミドルなおじ様と王座の前まで来ました。

謁見の間はとても広く、王様はレッドカーペットが敷かれた階段を上った王座に座っていました。

 偉い人となんとかは高いところが好きってよく言いますよね。


「よくぞ、参られた光の子、リリーシュカよ」


 王様が口を開きました。ぷぷ。RPGっぽいセリフ言っています(笑)風貌もありきたりなそこら辺に居そうな基本に忠実な王様です。

 んー、と。あ、そうです!トランプのキングみたいな感じです。


「光の子リリーシュカよ、我が王国に力を貸してくれないか?尽力してくれたあかつきには相応の褒美をやろう」

「嫌です」

「えっ!?・・・聞き間違いか。もう一度聞こう」

「い・や・で・す!」

「えぇっ!?まだ途中なのに・・・(小声)」

「で、では、王国からの庇護は無くてもいいのだな?」

「勿論です。私の心はお金や物では動かせません。見くびらないで頂きたいですね」

「貴様ァ、先程から聞いていれば王様に無礼な口をっ!!」


 ニヤリ。

王様の護衛の騎士様が鋭い片手件を振り上げ、私に斬りかかって来たではないですか。・・・作戦通りです。

どうやっても剣士になれないのだと思い知った今、最早この世に未練も一遍の悔いもございません。


 そう。もう一回 死 ね ば いいんですよ。やり直しです。リセットです。

そしてアニーに苦情を言いに行くんです。ふふふ・・・。


「貴様、何を笑っているっ・・・!(怖っ)」


 騎士様の剣先が私に触れそうになった瞬間、私の周りを光が包み込み、次の瞬間騎士様が弾け飛ばされていきました。


「うわぁぁぁぁぁぁ!?」


 え?何が起こったのでしょうか?飛ばされた騎士様も訳が分からなくて困惑しているようです。


「・・・死をも恐れぬその心意気・・・。気に入った!!」

「・・・は?」

「皆の者、今後この者には手出し無用!王の勅命じゃ!破ったものには厳罰を与える」


 えっ?何言っちゃってんですか?この人。


「いや、いっそ殺してください!殺してくださいよ〜!ねぇ~、ねぇ~!!」

「ひぃぃっ!怖いぃぃ!」


 私は近くに居た騎士様にすがりつきましたが、振り払われて逃げられてしまいました。


「ここに居る者、誰にもリリーちゃんを殺す事なんて出来ないよ~。リリーちゃんは攻撃されたら無意識に自動でバリアを張っているみたいだからね」

「えっ・・・?」


 王様、急に私の事ちゃん呼びしだしましたけど。キモッ。

っていうか、自動でバリアて。私死ねないんですか?


「ラドルフ!リリーちゃんのパスポートに王国の刻印を」

「はっ。リリーシュカ様、パスポートをお預かり致します」

「いや、いいです。大丈夫ですっ。間に合っています!」

「いやいや、そうは参りません。このままリリーシュカ様をお返ししてしまったら、このラドルフ後でどんな目にあわされるか・・・」

「えっ・・・あっ!!」


 ラドルフと呼ばれたナイスミドルが発した言葉に一瞬怯んだ隙にパスポートを奪われてしまいました。


「ワシ、リリーちゃん気に入っちゃったもんね。リリーちゃんが王国の為に動かなくてもワシがリリーちゃんの後見人になっちゃうもんね」

「や、結構ですよ!滅相もないです!」

「フフフ、遠慮せんでもよいよい。ワシのことはパパと呼んでもいいんじゃぞ?」

「ひぃっ(キモッ)」


 何でしょう、この王様何か変です!鳥肌がゾワッと立ちました。


「ね、ねぇ。あなた、こんな変な王様に仕えて幸せなの・・・?」


 思わずそのへんに居た騎士様に問いかけてしまいました。


「は、はぁ・・・(あなたも同類かと・・・)」


 ほら。騎士様も引いてます。


「リリーシュカ様、お待たせ致しました。こちらパスポートでございます。王国の刻印が入ったパスポートは全国どこでも上限無く使えて、ポイントも貯まる様になっています。あ、ポイントが貯まりましたら貴重な景品と交換出来るシステムでございます」

「えっ、タダでお買い物出来るのにポイントまで付くんですか?」

「左様でございます。こちらが、ポイントで交換出来る景品でございます」


 ラドルフに渡されたカタログを見ると、「王様と行く、王国一周ツアー」や「純金製王様人形」「王様柄プリントハンカチ」とかくっっっだらないものばかりでした。私はそっとカタログを閉じました。


「早くポイント貯めて、ワシと旅行行こうね〜♪」

「きもっ!」


 あ、声に出してしまいました。しかし、王は(もう様もつけたくない)にっこにっこして私を見ています。お買い物したら強制的に貯まり続けるポイント・・・。絶対にパスポートで買い物しないようにしよう・・・。そして、一刻も早くこの場から離れたいです・・・。


「そうじゃ、リリーちゃん。良かったらリリーちゃんの為に城の一室を提供したいのじゃが」

「ひっ、大丈夫です!あの、王様。私早く街を見て回りたいのですが」

「そうか・・・残念じゃ・・・。護衛とかは」

「結構ですってば!」

「しゅん・・・。あ、でも危ない事はしちゃダメじゃぞ?リリーちゃんに何かあったらワシ・・・国を滅ぼしちゃうかもしれないもんね☆」


 そう言って王はペロっと舌を出した。

おっさんのベロ出しほどキモいのは無いです。キモイのここに極まれりです。最早騎士様達はもとより、ラドルフすら呆気にとられていますよ。


 もうやだ。設定したキャラとは違うし、剣士になれないし、なんでか変な王に気に入られちゃうし。私の異世界生活に不安しかないです。

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