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リリーシュカ死す

「・・・確認したぞ。ふふふ・・・契約完了じゃ!!ソフィアスよ、喜べ!!無事生還した暁にはリリーちゃんとの結婚式が待ってるぞ」


は?何言ってんです、このおっさんは。

私から受け取ったサイン済の書類を握りしめて高らかに笑っています。

私は先程の書類の控えを見て愕然としました。パ、パスポート払いの金貨100枚コースのポイント特典の欄が・・・



ソ フ ィ ア ス 様 と 結 婚 す る ってなってましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!職権乱用ぉぉぉぉ!



ぎゃぁぁぁぁ!損して得を取るどころか、損して損を取ってしまったァァァ!!

みなさん、契約書の類は面倒臭くても隅から隅まで小さな文字までしっかり読みましょうね!!リリーシュカとのお約束だぞ☆


「私と・・・リリーシュカが・・・け、結婚・・・?」

「きぃーやぁぁ!アンタがもっと強めに自分が払うって言ってくれたら良かったですのに!!きぃぃぃ!」

「うん・・・もっと罵ってくれなのだ。もう何も言われてもへっちゃらなのだぁ・・・へへへ」


ゾゾゾーッ


わ、私の人生・・・お先真っ暗どすぇ。


「ふふふ。我が義娘リリーシュカよ。秘薬の説明をしようではないか」

「ひぃっ!義娘って言わないでください!!」

「まず、薬を飲んで魂が抜けるのを待つ。魂が抜けたらこの城の回復ポイントから、天界お客様相談室にかけて、『コード110、アネッサ・グリューンヴェルデの呼び出し』 と言うのじゃ」

「わかりました。では!」

「ちょっと待てぃ!話は最後まで聞きなさい。薬を飲む事によって、仮死状態になるが、もちろんタイムリミットは存在するんじゃ。その時間は30分」

「短っ!!」

「・・・プラス、仮死状態から死亡に切り替わってから、生き返る事が可能な時間は1時間じゃ」


あぁ、魔導書のホーリーレイズの項目にも書いてありましたね。


「ちゃ、ちゃんと遺体の保管宜しくですよ?」

「それは勿論じゃ。ソフィアスの身体に寄り添わせて手厚く保管するぞぃ」


ひぃぃ。死んでもホラーです。もうなんか狂気を感じます。ヤンデレ怖い!ソフィアス様に至りましては最早かける言葉も見つからない程浮かれています。

ふふ・・・私の気持ちとは正反対ですね(笑)


とにかくです。一時間半以内に戻ってくればオッケーって事ですね!


「それでは、小鳥ちゃん。すぐ戻ってきますからね。さ、行きますよ。ソフィアス様」

「わかったのだ〜♪ラララ~♪」

「ピャア!」


・・・とても今から死にますって感じの人じゃありませんね。


私とソフィアス様はおっさんから小瓶を受け取ると、小瓶に入った液体の秘薬を飲み干しました。


ドクンッ


すると、何ということでしょう!特に苦しむ事なくすぅっっと身体から魂が抜けたではないですか!

うわぁぁぁぁ!!!なんか久々の感覚ですね。あの時は確実に死亡していましたが。

外見が見えないんですが、私の魂はキリエなのかリリーシュカなのかが気になるところです。

ソフィアス様は魂になっても浮かれています。イラついて仕方がありません。

私もソフィアス様も、頭のてっぺんの紐みたいなのが本体と繋がっているのでまだ肉体と繋がっているのが確認できます。


「ピャァ♪ピャァ♪」


小鳥ちゃんがこちらを向いて鳴いています。小鳥ちゃんには“この世のものならざるもの”が見えるんですね!


「ソフィアス様、私の外見ってどんなです?」

「リリーシュカは肉体と変わらないのだ~」


という事はですね、魂の外観は肉体依存なのでしょうか。不思議がいっぱいですね。

さてと、回復ポイントでしたね。1秒だって無駄には出来ないですよ~。小鳥ちゃんに手を振って私達は謁見の間を後にしました。


ドアを開けなくても通り抜けが出来るってなんて便利なんでしょう!


回復ポイントでパスポートの裏に書いてある番号をプッシュして・・・天界お客様相談室にかけて・・・


プルルルルルルルッ  プルルルルルルルッ


「はい、こちら天界お客様相談室でございます」

「大至急コード110、アネッサ・グリューンヴェルデ様の呼び出しをお願いします」

「・・・かしこまりました。ただ今呼び出しを行っておりますので少々お待ちくださいませ」


以前と同じ様にブゥ・・・・・・・・・ンっと音がして、回復ポイントの周りにバリアみたいなのが張られました。


 数秒後にフッと周りの歪んだ景色が無機質な感じの空間に変わりました。


「やぁ、ソフィアスじゃないか。いつの間に死んでしまったんだい?」


この方がソフィアス様のお母様・・・。そしておっさんの奥様。

現れた女性は白衣を着ており、ワインレッドの癖のある長い髪を一つに束ねています。

お顔はどことなく3兄弟それぞれのどこかしらの面影があり、お洒落なチェーンがついたメガネをかけておられます。

でも、いわゆる王妃様ってイメージは全く無く、気さくな印象の方です。


「母上!お久しぶりです!今回は死んだ訳では無くて、母上に私の婚約者のリリーシュカの事で相談したく、仮死状態のまま魂のみで参りました」

「ほぉ、お前ももうそんな歳になったのか!なんだ?式の相談か?まぁ立ち話もなんだから、そこの赤いスイッチを押してこちらに来なさい」


ソフィアス様がアネッサ様の言うとおりに赤いボタンを押すと、無機質な空間からどこかの部屋の一室に変わりました。

今回もお読みくださり、ありがとうございました(^^)

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