パスポート払いでお願いします!
「・・・シュカ?リリーシュカ?」
「あ、は、はい。何でしょう?」
「大丈夫なのだ?ちょっと狭いのだ・・・」
私達は国境を越えた辺りまで徒歩で行き、ソフィアス様が通信で呼んだ馬車に無理やり小鳥ちゃんを押し込んだので現在身動き1つするのもやっとな程ぎゅうぎゅう状態です。むぎぎぃ。小鳥ちゃんを洗っておいて正解でしたよ。
「小鳥ちゃんがもふもふなのは良いんですけどね、ソフィアス様こそ大丈夫ですか?」
「わ、私は全然大丈夫なのだ!「(リリーシュカとこうして密着出来るからな!)」
私はステータス画面の鍵マークについて考えました。一体いつ、こんな事になってしまったのか。また、何が原因でこうなったのか・・・。
「リリーシュカ。あの、もし、母上に会えたらリリーシュカの事を私の恋人だと紹介していいかな?」
「ん、あぁ、はい」
私は考え事をしていて、ソフィアス様の問いかけに適当に返事をしてしまっていました。
「ほ、ほ、ほ、本当なのだ!?やったのだ!小鳥ちゃん!」
「ピャア・・・♪」
「苦しそうなのだ。小鳥ちゃん明日まで頑張るのだ」
「ピャアッ!!」
ソフィアス様のお母様に会ったら何か分かりますかね。でも、魔導書を書くくらい魔導に精通した方ですし、天界の人なのでこの世界の事もきっと詳しいと思うのです。
ゆらりゆられ、馬車の旅を終える頃にはすっかり疲れ果てたソフィアス様と小鳥ちゃんでした。
私は体力あるので何ともないですが、回復してあげられないのは辛いです。
【グリューンヴェルデ城 謁見の間】
「おお、よくぞ戻られた光の・・・
「それはいいです!王様ご機嫌麗しゅう!!で、本題ですが、天界の奥方との面会をお願いしたいのですが!!」
「お・・・おぉ、何やら取り急ぎの様じゃな。アネッサとの面会は無理じゃ」
「そんなっ!!私このままじゃ光の子ですら無くなってしまいます・・・っ!」
「待て待て、落ち着かれよ。儂にも事情を話してくれぬか?」
「実は・・・」
私とソフィアス様は、おっさ・・・、王様にヴェルツィアの状況、小鳥ちゃんの事、そして私が魔法を使えなくなった事を話しました。
「そういう事じゃったのか。確かにこの魔導書はアネッサの書いたもんじゃな。リリーちゃんよ。天界に行く方法が無い訳ではないのじゃが」
「方法あるんですか!教えて下さい!」
「少々危険な方法なんじゃが・・・」
おっさ・・・王様が目を伏せて困った様な顔をしています。いや、全然可愛くなんか無いですからね?
「ちっ、力が戻るなら何でもします!魔法が使えないなら死んだ方がマシです!!」
「リリーシュカァッ!?私はそんなのとても、耐えられない!!」
「ソフィアス様は黙っててください!!話がやはやこしくなるっ」
「ショボーン」
おっさ・・・王様はソフィアス様を憐れな人を見る目つきで見ています。これ、アンタの息子ぉ!!
「こ。コホン。リリーちゃん、先程死んだ方がマシと言っておったな?」
「は、はい」
「ではの、死んでもらうぞ」
「ち、父上ぇぇぇぇぇぇぇ!?いくら父上でもそれは許さないのだ!!」
「落ち着けソフィアス。天界は生きた肉体は行けぬ所故、天界に行くには魂だけになる必要があるのじゃよ」
なるほど。それは確かに危険な方法ですね。
「王家に伝わる秘薬・・・即ち仮死状態にする薬があるのじゃが・・・少しお高いんじゃけど・・・?」
「は・・・?お、おいくらで・・・?」
「金貨100枚」
「はぁーーーーー!?そんな、ボッタクリじゃないですか!?」
き、金貨100枚・・・。そんな大金は流石にサラマッティのおじいちゃんにもたかれないですっ・・・。
・・・という事は・・・。
「このお支払いにはパスポート払いがご利用になれちゃうょっ☆ハハッ☆」
やーっぱり!!そんなこったろうと思いましたよ!!
「いくら、リリーちゃんとはいえ、これはビジネスじゃからな(キリッ)・・・あっ、やめ、やめんか!!」
くっそ、キメ顔が苛つくなぁ。と思っていたら、状況がわからない小鳥ちゃんはおっさんの王冠をつついています。ナイスです。
・・・このままずっと魔法が使えないのと、おっさんと旅行行くのどっちが我慢できないか・・・。
って、そ ん な の 決 ま っ て る ! !
私は小鳥ちゃんの母親です!
小鳥ちゃんを私に託してくれた小鳥ちゃんの実の両親の為にも私は光の子であらねばならないのです!!
死んだ方がマシって言ったさっきの自分をぶん殴りたいです・・・ま、まぁ。さっきの自分はもう居ませんのでぶん殴りませんけど。
「秘薬をください!!パスポート払いで!!(ドヤッ)」
「商談成立・・・じゃなってアイタッ!もう何なのこのこ!?」
おっさんがドヤ顔決めそうになる度につついてる小鳥ちゃん・・・。小鳥ちゃんもおっさんのドヤ顔に苛ついてるんですかね。だとしたら確信犯です!小鳥ちゃん・・・恐ろしい子!!
「ではの、リリーちゃんこの書類にサインを」
「ま、待ってください父上!!私が、リリーシュカの分も私が支払いますから私にもその秘薬をください!!リリーシュカだけでは心配で心配で・・・。あぁ。リリーシュカが死んだら私、秘薬なんて要らないかもしれないですけども・・・ふふふ・・・」
そ、ソフィアス様・・・。病的で怖いですが、心配してくれてるんですよね?
「あぁ、よいよい。お前がそう言う事も折込済みで2個セットで金貨100枚じゃ」
「わかりました・・・。はい。これで良いでしょう?」
私は書類にサインをしました。ソフィアス様に借りは作りたくないですからね。まさか、私のこの決断が今後の私の人生を左右知る事になるとは思いもしませんでした。
本日二話目投稿です。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。