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適正ジョブ

 やたら興奮気味のお姉さんが鼻息を荒くして、私の能力について説明してくれました。


「体力と魔力が最大級なのに加え、バリアや回復魔法に特化しています。非っ常~~~に珍しいんですよ!光の加護を受けている魔導師は!私もお会いしたのは初めてです!!」

「え・・・私剣士になりたいんですけど・・・」

「あー、残念ながら剣士は向いてませんね。攻撃力が皆無なのは剣士として致命的です。力が極端に低いんですよねぇ。でも、光の魔導師ですと、引く手あまたですから重宝されると思いますよ。まず、パーティ選びに困りませんし。なにより・・・」

 

 剣士には向いてません


 剣士には向いてません


 剣士には向いてませんませんません・・・


 エコーがかかったお姉さんの声が私の心を貫きました。私は力が抜けてしまい、ドサッと窓口の机に倒れ込みました。


「ちょ、お客様ー!お客様ぁーー!?」

「あはは・・・異世界に転生したのにうまくいかない件・・・ブツブツ」


 あまりのショックに思わずタイトルコールしちゃいました。ん?タイトルコールって一体何の事でしょう??


「すみません、絶望のあまり取り乱しました」

「は、はぁ。とにかく適正ジョブは断然白魔導師ですのでっていうかそれ以外にあなたに向いているジョブは冒険者にはありませんよ」

「じゃぁ、それでお願いします(キリッ)」

「じゃぁ、パスポートに登録しちゃいますねっ。この後街に入りましたらお城に行って王様の謁見の申し込みを行ってください」

「王様・・・?謁見・・・?」

「あれ?さっきの話聞いてませんでした?光の魔導師は極めて珍しいので王国の庇護を受ける事が出来るんです。ちまちま冒険者をやらなくても王国の依頼をこなしているだけでランク関係無し、お金持ちになれる事間違い無しのエリートジョブなんですよ!」

「え~、そんなのつまらないじゃないですかぁ。私は冒険したいんです。楽してお金持ちになりたいんじゃないんですよ~」

「えー、なんと勿体無い。欲が無いんですねぇ」


 欲?欲ならありますとも。・・・ありましたが正しいですかね。剣士でチートで無双に憧れていました。お金があったって適正が無いんじゃどうしようもないですよねぇ。むしろお金で買えるもんなら買いたいくらいですよ!

 百歩譲って攻撃系ならまだしもよりにもよって、回復系のサポート魔法・・・これじゃぁ私無双出来ないじゃないですか!なんなら一人で冒険にすら行けないじゃないですか!!!!!


 何一つ私の希望が通ってないじゃないですかーーーーーーーーーー!!!


「お、お客様。ライセンスの登録が終わりましたのでパスポートをお返しします。こちらでの処理は以上になります。これより白魔導師としてのあなたの人生に幸あらん事を」

「お姉さん、戦えない最早生きている意味すら見出せなくなったこの私めの幸せを祈ってくれるんですかぁ?優しいですねぇ。うふふ」

「ひぃっ(この子怖い)ら、ランクが上がりましたらまたこちらまで来てくださいね」

「はい☆お姉さんに会いに是非また来ます♪」


 白魔導師というよりも黒魔導師っぽいオーラを出しながら私は職業相談所を後にしました。


 先程の門番にライセンスを見せました。


「おっ、無事にライセンス取れたのかって、おい!!じょ、嬢ちゃんアンタすげぇやつだったんだな!城はこっからずっと真っ直ぐ行けば着くぜ!」

「ありがとうございます」


 街の門番は私のライセンスに大層驚いていました。私は出来れば力の強そうなアナタと代わりたいですとは思いましたが、本人には言えませんでした。


 お城までの道程は本当に一本道でした。お城の兵士さんにパスポートを見せて、中に入って、王様との謁見受付にパスポートを見せて・・・パスポートの出番が多すぎていつか失くしちゃいそうです。

 何気なくパスポートをしまう際にパスポートの裏側を見ましたところ、「紛失や盗難はこちらまで」と電話番号みたいなのが記載してあるのに気付きました。

これって、どっからかけたらいいんでしょうかね?


 待合室に通された私は暇故にしげしげと待合室の調度品を眺める事にしました。

木目調のチェストは金の取っ手がついており、アンティークっぽい感じです。

お花が飾ってある花瓶も何だか高そうな気がします。壊したらいくら請求が来るんでしょうか。


 夢中になって鑑定団ごっこをしていたら、ふいにコンコンとドアをノックする音が聞こえました。


「はい」

「王様との謁見の準備が整いましたのでご案内致します」


 私が答えると、やり手の執事っぽい眼鏡をかけたナイスミドルが現れました。やり手うんぬんは、あくまでも私の主観ですけど。

 王様王様といいますけど、私まだこの世界について何にも知らないんですよね〜。誰か詳しく説明してくれる人が居ればいいのですが。


 そういえば死んでからここまで、説明という説明を受けないまま来ましたけど多分あのぽや~っとしたアニーがミスかなんかをしたんじゃないかと睨んでいます。そうじゃないとこの状況に納得が出来ませんからね。

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