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ヴォルフォズマ国までの道のり

とうとう隣国ヴォルフォズマ国へ旅立つ時が来ました。

王族の紋章が刺繍された赤色の旗を正面に掲げた馬車での移動です。


「ソフィアス様の旗の色は赤なんですね!ニーヴェン様は水色で・・・ファレル様は何色なんですか?」

「ファレルは緑なのだ」

「へぇ〜。子沢山だったら色分けが大変そうね」


一週間ぶりのジェシーです。黒服みたいな服装です。

通信でやり取りはしていましたが、何だか懐かしい気分です。


皆で王様に出発の挨拶をして、いざ出発です。


「リリーも、そういう格好をしていると本当に良家のお嬢様に見えるわねぇ」

「えへへ、本当ですか?」

「あぅ・・・アニキがアネキに見える・・・」

「ロバート、それ褒めているのよね?(てか、アニキって呼んでるアンタが異常なんだけど)」


今日は移動日という事で、軽装で行く事になりました。暫くトレジャーハンターの服装は封印です。

私はふわふわカールのウィッグを被り、薄いピンクの七部丈のパフスリーブで膝下までの長さのワンピースを着ています。

ソフィアス様も薄いピンクのシャツにグレーとブラックのストライプのベスト、グレーのジャケットに同じ色の細身のズボンという、やっぱり私とお揃いの服装です。

あ、よく見たらソフィアス様のベストのストライプ柄は、私の髪飾りと、ワンピースのアクセントのリボンと同じやつです!

うむむ、ばぁやさんはどこまで『お揃い』に拘るのでしょうか。

いくら婚約者といえども、こんなに逐一お揃いにしなくてもいいんじゃないでしょうかね。

・・・ていうか、ばぁやさんどんだけ衣装を用意してんですか!?

ロバートのモルゾーキグルミも完璧だし、いや、モルゾーはキモいんですけど手触りが凄いいいんですよ!凄いふわふわでモッフモフでこう、触ると厶ニーって沈んでパッと離すとボヨーンって元に戻るんです!一体何の生地なんでしょうね!

モルゾーのキモさの再現度も半端ないんですけどね。


「しかし、さすが王家の馬車ですね!前に乗ったやつとは全然違います!」

「そうね、安定してるというか、お尻のクッションも凄く良い仕事してるわね」


前回の悪夢の様な馬車酔いも起こらず、快適な馬車の旅が出来そうです。


「ヴォルフォズマの王都ヴェルツィァまではおよそ1日半位かかるのだ。国境を越えたあたりから出てくるモンスターも強くなるから気を付けるのだ」

「ここよりも強いモンスターが居るって事は、向こうの人達はより強い敵と戦って実績を積んでいる訳だから、戦力的には向こうの方が上じゃないですか?」

「いや、戦力的にはあまり大差が無いのだ。王都周りには地方から実績を積んだ者が集まってくるから、ラディプールもヴェルツィアも戦力は同等なのだ」

「へぇ、ソフィアス様も世界情勢とか一応わかっているんですね」

「い、一応じゃないのだ!私だって王家のはしくれなのだ!」

「長男がはしくれとか言ってどうするんですか(笑)」


そんな他愛もない事を話しながら馬車は進んでいき、途中の街で食事や休憩をしながら順調に進んでいきました。


長い旅路ですが、各街でそこの地方の名産品とか見てまわるのが楽しくて、ついつい目的を忘れそうになります。


国境近くに入ってから、ソフィアス様がソワソワし始めました。


「ソフィアス様?どうしました?」

「いや・・・、なんか嫌な予感がするのだー・・・」

「え?それはどういう・・・」

「なんか、わからないけど・・・うーん」


どうしたのでしょうか?なんか凄く顔が青いですね。

ソフィアス様の嫌な予感。何があるかわかりませんが、気をつけるに越したことは無さそうです。


国境近くの街で下車し、王家の別荘での宿泊です。

別荘を管理している執事さんが居て、別荘の庭もお部屋も綺麗に整って居ました。


ご飯はここに来る前に済ませてきましたので、ここはお風呂に入って寝るだけです。


「じゃぁ、明日起きたら国境を越えて隣国へ入るのだ。ゆっくり休むのだ〜」

「はい、それではおやすみなさい」

「あー、クッションは良かったけどやっぱり同じ体勢は腰に来るわねぇ。じゃぁ、明日ね〜!おやすみ」


ゲストルームにもシャワー完備なので、有り難いですね。

明日はいよいよ国境越えですね。ドキドキします。

シャワーを浴びて、ふかふかのベッドに入りましたが、なんだかなかなか眠れそうにありません。


ベッドから出て、バルコニーに行って外を眺める事にしました。

わぁ、星空が綺麗です。ここから、隣国も見えます。サラマッティ程ではないですが、随分と明るいとこなんですね。


「・・・リリーシュカ?」


声のした方に振り向くと、私の隣の部屋のバルコニーにソフィアス様が立っていました。


「あれ、ソフィアス様も眠れないんですか?」

「いや、私は夜風を浴びに。そしたら星が綺麗だったので見とれていたのだ」

「そうなんですか。確かに今夜は星が綺麗ですね」


・・・認めたくはないですが、月明かりの下で星を見上げるソフィアス様もとても綺麗です。

ふと、ソフィアス様の左手に青く光る指輪?が目につきました。

そうだ!すっかり忘れていましたが、ソフィアス様に指輪の事聞こうと思ってたんでしたっけ!


「ソフィアス様、その左手の指輪なんですが。それについて聞いても大丈夫でしょうか?」

「ん?あぁ、これか?これは王家に代々伝わる指輪で、母上から、私に大切だと思う人が出来たら、その方に贈りなさいと言われているのだ」

「そうなんですか?実は私達転生した4人がそれぞれ転生した時に握っていた指輪と同じ様なんですけど・・・」


私はアイテムボックスから全員の指輪を出してみました。

指輪はソフィアス様のと同じ様に淡く光っています。


「それは!!私のと同じ・・・?」

「多分、同じ物かなって思ったんですけど」

「他にも指輪があるとは知らなかったのだ」

「そうですか・・・」


ソフィアス様も細かい事については知らないみたいですね。


「リリーシュカ・・・。私は今、この燦然さんぜんと輝く月と星々の元でリリーシュカにこの指輪を受け取って欲しい」

「え・・・?それって・・・」

「この指輪はリリーシュカに持っていて欲しいのだ。リリーシュカの元に集まった指輪は偶然では無いと思うのだ。・・・何よりも私は本当にリリーシュカが大切で愛おしい・・・」

「ソフィアス様・・・」

「私は、心からリリーシュカを愛しているのだ」


いつもとは全く違う、熱を帯びたソフィアス様の瞳。

どうしましょう。私は何て答えればいいのでしょうか。ソフィアス様が真剣な以上、決していつもの様に茶化してはいけません。




月明かりの下、バルコニー越しの私達を夜風が優しく包みました。

今回もお読み下さり、ありがとうございました<(*_ _)>

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