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ソフィアス様とばぁや

今日は朝から雨でした。


お城での生活も終盤に近づき、隣国出発まで後2日となりました。

1番心配だったテーブルマナーもそこそこマシになりましたし、色々な知識を詰め込んだので頭がパンパンです・・・。

とりあえずの所、隣国へ行っても短期間ならボロが出ない所まできましたので、残りの日はゆったり過ごしても良い事になりました。

とは言ってもお城からは出られないのですけど。


ジェシーはジェシーで、私がレッスンだ何だとやっている間にお城の兵士の方に丸腰の時の戦い方や防御の仕方等教わっていたみたいです。

ロバートもばぁやさんに仕立ててもらったモルゾーのキグルミを着て、四つん這いでの動きをマスターしたとこです。

このキノコは一体どこを目指しているんでしょうね・・・。


コンコン


ドアをノックする音が聞こえてきました。


「はい」

「リリーシュカ、リリーシュカのドレスが仕上がったのだ。ばぁやが仕上げをしたいから来てほしいって言ってるのだ」

「あ、はい。今行きますね」


ドアを開けると、ソフィアス様が待っていました。


「ばぁやの部屋はこっちなのだ」


ソフィアス様の後をついていき、ばぁやさんの部屋を目指します。

ばぁやさんの部屋は1階の奥まった所にあり、ソフィアス様がドアをノックしてドアを開きました。


ばぁやさんの部屋にはたくさんのマネキンがあり、どれもこれもが素敵なドレスやタキシードや燕尾服等が着せられています。


「わぁぁ!凄いですね!」


私は見事な出来栄えの服に感嘆の声を上げました。


「まぁまぁ、リリーシュカ様ご機嫌よう。ばぁやでございます」


ばぁやさんは腰が曲がった白髪の髪の毛をお団子に纏めた丸い眼鏡をかけた優しそうなおばあさんでした。

ごくり・・・これが、あのばぁやさん・・・。見た所普通のお年寄りですが、仕事の出来はなかなか侮れないですよ。


「さぁさ、ぼっちゃまはこちらの部屋で着替えてくださいな。声をかけるまで出てきちゃ駄目ですよ」


ばぁやさんがそう言うと、ソフィアス様は素直にそれに従い隣の部屋へと入っていきました。


「リリーシュカ様、こちらのドレスに着替えましょうかね。さぁさ、ばぁやがお手伝いしますからね」


差し出されたドレスは、上半身はクリーム色の生地の短めのパフスリーブで、レースがあしらわれており、腰の下からはワインレッドの生地で全体的に金色の刺繍とスパンコールやガラスのビーズで細やかな装飾が施されているふんわりとしたプリンセスラインのそれはそれは見ただけでハッと息を呑む様な素晴らしいドレスでした。

え、これ私が着てもいいんですかね?凄く畏れ多いのですが・・・。

私が臆していると、ばぁやさんがにっこりと笑ってこう、言いました。


「これはプレタポルテ(既製品)ではなく、リリーシュカ様の為だけに作ったので、リリーシュカ様以外は着れません。ですので遠慮なく着てくださいまし」


私仕様という事なので、ばぁやさんに手伝ってもらい、渋々ドレスを来てみました。


「まぁぁ〜!まぁまぁまぁ!なんてお似合いなんでしょう!リリーシュカ様、鏡を見てご覧なさいませ」


ばぁやさんが私を全身が映る鏡の前に案内してくださいました。

鏡に映る私は、少し恥ずかしそうな表情をした立派な淑女でした。ドレス補正ハンパないです!!

全身がワインレッドだと大人っぽすぎますが、上半身をクリーム色にする事で、若々しく可愛らしい印象になっています。背中側の腰の辺りにあしらわれた大きなリボンもポイントですね。


「お直しするとこは特にございませんね。では、ぼっちゃまをお呼びしましょうか。ぼっちゃま〜!もうこちらへ来ても宜しいですよ」

「わかったのだ。こっちも着替えが終わったので、今ドアを開けるのだー」


ソフィアス様は、そう答えるとすぐにドアを開けてこちらにやってきました。


「・・・リリーシュカ!とても素敵なのだ!良く似合っているのだ〜!!」

「ぼっちゃまもよくお似合いで。お二人並ぶととても仲睦まじいご夫婦に見えますね・・・。ばぁやが生きている内にぼっちゃまがこんな素敵な方と出逢われて、ばぁやはとても幸せでございますよ」


ソフィアス様はワインレッドの上着とズボンにクリーム色のシャツ、スパンコールとガラスのビーズの装飾、という見事に私とお揃いの装いでした。


うわぁぁぁ!宮廷服補正もヤヴァいですね!

ソフィアス様が立派な紳士に見えます!!

ちゃんと王子様に見えます!!

・・・でも、なんかばぁやさんも私とソフィアス様の関係を固めに来てないですか?『ばぁやが生きている内に』とか言うのは反則ですよ・・・。

否定なんかしたら罪悪感が残るじゃないですかぁ。


「こちらで舞踏会は大丈夫だと思いますが、念の為ホワイトタイもお仕立しましたので、ご試着くださいましね」


いやはや、ばぁやさんの技術の凄さもさながら、たかが偽の婚約者役の為にここまでする国王に畏敬の念を感じざるを得ません。

普段はキモいおっさんなんですがね。


「あ、それとこちらは今回の夜会服のお人形用の衣装でございます」


あ、やっぱりそれも作ったんですね。いつもながらばぁやさんは、本当に抜け目なく、そしてソフィアス様に甘いのですね。

ばぁやさん、よくこんな細かい仕事出来るなぁと、人形用の服の刺繍や装飾を見て思いました。

今回もお読み下さり、ありがとうございましたm(__)m

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