煌!!淑女塾(きらめき!!おとめじゅく)
マナーレッスン後に案内された部屋で、メイド達による湯浴みや全身マッサージなどを受け、ようやく寝れます。
体力的には全然へっちゃらなんですけど、精神的に疲労困憊だったので、メイドのお姉さん達の手によるマッサージでだいぶ心が癒やされましたよ。ふふ。
もう、さっさと泥の様に眠りたい。眠って現実から意識を手放したいです。
天蓋付きのベッドにバフッと倒れる様に横になったら、身体が、沈む沈む。そして、反動でポヨヨーンと跳ね返されました。
うわぁぁぁぁ!気持ち良いです!手触りもいいです!
宿のベッドも嫌いではないですがこちらを知ってしまった以上、後々比べてしまうんだろうなぁ。
お城のベッドから窓の外が見えます。夜空に浮かぶ月をぼんやり眺めているとあの日皆が私に託してくれた指輪を思い出しました。
あっ!ソフィアス様に指輪の事聞き忘れていました!
あの日は置いてきたソフィアス様の存在をすっかり忘れていましたのでそのまま指輪の事も聞き忘れた次第でございます。
明日、時間があれば聞いてみましょうか。
そんな事を考えてたらウトウトしてきましたので皆様おやすみなさい。
「リリーシュカ様、おはようございます!!」
ガバッと跳ね起きて周りをキョロキョロする私。何事ですか?討ち入りですか!?
「今日は朝からソフィアス様と一緒に、お食事をして頂きますのでご準備を致します」
「へ?」
戸惑う私をヨソにメイド軍団が再びわらわらと私を取り囲み、髪の毛やらメイクやら何やらをあっという間に整えて、再び綺麗なドレスを着させられました。今日はウィッグも被せられました。
これ、メイドのお姉さん達が勝手にやってくださるので、なかなか楽ちんですね。
「さ、リリーシュカ様。昨日教えました事を丁寧にやれば大丈夫ですよ」
と、モリーは笑顔で私を朝食の場に送り出してくれました。くっ、飴と鞭の使い方のプロフェッショナルです!!
そ、そんなんじゃほだされないんだからねっ!と言いつつも浮足立っている私はしっかりほだされている訳で。
私の出来が悪いと教えたモリーの恥!こうなったら、やる気を出して立派な淑女を演じてみせますよ!
「お、おはようございます。ソフィアス様」
私はスッスッと流れる様な動作で先に来ていたソフィアス様に、挨拶をしました。
「リッ、リリーシュカ!?髪がっ!えっ!?ちょっと待ってくれ!!!何故だ!?何故こんなにも可愛いのだろう?あぁ、私のリリーシュカ・・・おはよう」
うざっ!えっ?挨拶が出てくるまで長っ。ドサクサ紛れに「私の」とか言ってんじゃねぇよ・・・ゲフン!つい、言葉が辛辣になってしまいましたわ!おほほ。
両鼻にティッシュで鼻栓をしたソフィアス様が私の席の椅子を引いてくださいました。・・・こいつ本番で鼻血出したりしないしないでしょうね!?
いや、気を取り直して・・・。えと、座るときはスッと流れる様に垂直に・・・。よし!スマートに座れましたかね?
部屋の隅に居るモリーを見ると、頷いているので合格の様です。
「リリーシュカ、立派な淑女なのだ!ハァハァ・・・」
「ソフィアス様。手に握っている紙の束は何ですか?」
「こんなにも可愛いリリーシュカを今複写しないでいつするのだ!?今でしょ!!なのだ!ハァハァ・・・」
「きもっ!モリー!これはテーブルマナーとかそんな次元じゃないですけどいいんですか!?」
私はモリーに抗議をしましたが、モリーは視線をずらしてソフィアス様の奇行を見ないふりしています。
あっ!ズルい!
やりたい放題のソフィアス様を誰も咎めません。
くそぅ!王家の犬め!(暴言)
イライラしてる間に朝食が運ばれてきました。
フルコースでは無いのでカトラリーの選択はありませんが、それ以外の昨日教わった所作で朝食を無事食べ終えました。でも、終始ソフィアス様の視線が気になり、なんだか食べた気がしませんでした。
「お食事が終わりましたら隣国についてのお勉強と、その後ダンスレッスンとなります。ダンスのお相手はソフィアス様が買って出てくださいましたので、ソフィアス様にお任せします」
「暇なの!?ソフィアス様は暇なんですか!?」
「いえ、決してそんな事は・・・」
モリー視線そらして言い淀んだよ?ソフィアス様城の人にも白い目で見られてんじゃん!
・・・何で私そんな人の婚約者役をやらされてるの?油断するとこの疑問ばかり浮かんできます。
食後は隣国について学びましたが、歴史はいまいち頭に入ってこないんですよね、これが。
あ、でも、隣国はパスタが美味しい国らしいです!イタリアみたいな国でしょうかね?
食べ物が美味しい所なら楽しみです。
「リリーシュカー♪私のリリーシュカー♪」
・・・こいつの婚約者役じゃなければもっと楽しいんでしょうけどね。
「なんで歌ってんですか?王子ってそんなにやる事ないんですか?そういやソフィアス様が剣をふるっている所全く見てませんけど、そんなんで大丈夫なんですかぁ?」
「リリーシュカが私の婚約者だって妄想したら、テンション上がってしょうがないのだ~。剣術は誰にも負けないから大丈夫なのだ!」
「妄想は妄想でしかありませんから、落ち着いてくださいよ。全く」
でも確かに剣術の練習している所を一度も見たことがありませんね。ここら辺のモンスターは雑魚だそうで、勝てて当然ですし。・・・私は雑魚ですら勝てませんが。
剣術を極めたってのも本人が言っているだけで・・・これは怪しいですよ?
今回もお読みくださり、ありがとうございました(^ё^)