表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/120

淑女の嗜み(しゅくじょのたしなみ)

ソフィアス王子の一喝で先程とは打って変わって黙ってしまった次男のファレル王子でしたが、ソフィアス様やニーヴェン様の見てないところで私を睨み付けてくる根性は大したものです。


「そういや、ファレル様のスキルに諜者(ちょうじゃ)っていうものがありますよね?あれは隣国の情報収集に対して使えないのですか?」

「ふん。あれは凄い体力を使うんだ。不確かな情報に使わずにここぞという時に使うもんなんだ」

「あ、そうなんですね」


へぇ。体力使うから滅多にスパイ活動はしないと・・・へっ!使えねぇな!!!


「おい、お前今俺の事使えねぇとか思っただろ?」

「とんでもございません」

「お前全部顔に出てるからな!」


いやぁ、勘は鋭いんですね。


「兄上とお前が隣国訪問して得た情報を元に俺がより綿密な情報を調べるんだ。兄上の足を引っ張ったりせず、しっかりやれよな!」


ファレル様はそう言い残してどすどすとお城の中へと消えていきました。

何しに来たんだろう・・・私を罵倒するためだけだったら嫌だなぁ。


「とりあえず、ジェシーは私の護衛係、ロバートは私の御付きの人って事にしときましょうかね」

「そうね!アタシSPの人みたいな服着たいわ!」


ジェシー、ノリノリである。


「アニキ、俺はどんな格好するんです?」

「えっ!(考えてなかった)うーん、モルゾーのきぐるみでも借りてきましょうか?(テキトー)」

「アニキ・・・」


あー・・・、やっぱダメですよねぇ。


「それ、いいアイディアですね!うかうかとこのままの姿をさらしていたら、見目麗しい幻のタマタンの存在が隣国に知れわたって人気物になってしまいますもんね!」

「あー・・・、うん。そうですね。じゃぁ、ロバートは私のペットって事で」


ここにも居ました。とんでもなくポジティブなやつ。


「リリーシュカ様、そろそろテーブルマナーの講習が始まりますので、ご案内致します」


えっ?と思い振り向くと、クラシカルなロングスカートのシンプルなメイド服を来たお姉様が立っていました。


「え?テーブルマナー?ですか?」

「はい、リリーシュカ様はソフィアス様のご婚約者という事ですのでテーブルマナーやダンスレッスンや立ち居振る舞い等習って頂きます」

「えっ?えっ?ちょっと・・・」

「あ、失礼しました。私はメイド長のモリーと申します。これから隣国へ旅立たれるまで1週間、リリーシュカ様の身の回りのお世話をさせて頂きますので宜しくお願い致します」


え、聞いてないですけど?ジェシーに口パクで助けを求めましたが、あいつ、親指立ててガ・ン・バ!って口パクしてウィンクしてます!


「そ、ソフィアス様っ!」

「リリーシュカ、後でドレスも慎重するのだ〜♪お揃いのやつにするのだ〜♪あ、ばぁやにソフィアス人形とリリーちゃんのドレスも頼んでこようっと♪」


駄目だ!こいつ完全に頭ん中お花畑です。こいつをアテにしようとした私がアンポンタンでした。

つまり、このお茶会は諸々の準備が終わるまでの時間稼ぎだったんですね。ソフィアス様(あいつ)(たばか)りましたね?


「さ、急いでくださいませ」

「はい・・・」


観念せざるを得ない私は、モリーに促されて中庭を離れてお城の一室に入りました。

その部屋の中は、待合室と同じく立派な調度品が誂えてあって高級感でいっぱいです。


「とりあえず・・・そうですね。その格好のままではいけませんね。お召変えを致しましょう」


モリーがそう言うや否や後方に控えていたメイドさん達が一斉に私を取り囲み、あれやこれやとサイズを測ったりして揉みくちゃにされました。

そして、パパっと着ているものをぬがされ〜の、高そうなドレスを着させられ〜の、薄くメイクも施され〜の、で、あっという間に見かけだけ淑女の出来上がりです。


「それじゃぁ、椅子に座るところから始めましょうか」

「はぁ・・・」


いや、私こんな事したこと無いし、多分一生縁もないでしょうしほんと、何故??って言葉しか浮かんできません。


「違います!もっとエレガントにスッと!」


いやぁ、まじで?テーブルマナーどころか、もうずっと椅子に座る練習しかしてないですけど・・・。ドレスで見えないのに、足の位置までチェックしてくるんです。めっちゃスパルタです。


「垂直ですよ!前屈みにならないでください!」

「は、はい」


やべぇ。どんどん神経が削られていきます・・・。


「もっとエレガントに、スマートに自然に座るのでございます」

「うす!」


もはや体育会系。モリーパイセンの機嫌を損ねぬ様に上手くやらねば!


「うーん、まぁ宜しいでしょう。さて、お次は椅子に座ってからのマナーですね」


椅子に座るだけのマナーのレッスンを続ける事1時間ほど。よ、ようやく次のステップにいけました。


その後は、ナプキンを広げて膝に乗せるタイミングや、カトラリーを使う順番、スープの飲み方やその他諸々を教わりとりあえずの所は解散となりました。


「ほほほ。こんなにも教えがいのある方は初めてです」

「恐縮です・・・」


私があまりにも出来が悪過ぎて、モリーからチクチク嫌味が出て来始めました。明日はダンスのレッスンも加わるそうで、もうちゃぶ台があったらひっくり返したいくらいの精神状況です・・・。


そして、恐ろしい事に、出発までお城に住み込みでみっちりレッスンの日々を送らなくてはならなくなったと聞き、私の気が遠くなったのは言うまでもありません。

それ、なんて強化合宿です・・・?

今回もお読みくださり、ありがとうございました(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ