3人揃いました
人だかりの中心にはダイスゲームのコーナーがあり、1人の女の人と4人の男の人が座っていました。
「見ろ!また姐さんが勝ったぞ!」
「神がかってるよな」
サイコロを転がして、出目を当てるんですかね?
それよりも・・・
「ジェシー、姐さんと呼ばれているあの方・・・」
「えぇ、間違いないわ。私のキャラよ!!」
やはり、姐さんと呼ばれている方はジェシーの本体で間違いないようです。
どうにかして接触を試みたいのですが、次から次へと姐さんにアタックする人が居てタイミングが掴めません。
「あ、あの」
私は意を決して姐さんに話しかけてみました。
「なんじゃ?ワシは今忙しいのじゃ」
ピーーーーーーーーーーン!!!
これは・・・おじいさんです。
「お・・・お前さんは!?」
推定おじいさんは私を見るなり、凄く驚いた顔をしました。
「おじいさんですか!?」
「はっ!?ち、ちょっと、タイムじゃ。ワシはこの子と話があるから、またの」
推定おじいさんは、その時勝負をしていた人達にそう言うと、私達を連れてダイスゲームのコーナーを後にしました。
そして、カジノの奥にあるVIPルームと書かれたお部屋にやって来ました。
中は、ラウンジって言うんですかね?お酒を飲む所とゆったりくつろげるスペースや談話する為の広いテーブルとかがあります。
外からは鏡にしか見えなかったですが、こちら側からはカジノが見える設計になっています。
ふわぁぁぁぁ、凄いです!VIPって凄いです!!
推定おじいさんは、私達を談話スペースに案内して皆が席についたタイミングで私達の向いの席に座りました。
「・・・して。お前達は一体何者じゃ?特にこの、かわゆい娘は誰じゃ?」
先に口を開いたのは推定おじいさんでした。かわゆい娘って私の事ですかね?って、このパーティーには娘は私しか居なかったですね。
妖艶な美人から放たれるアンバランスな言葉遣いがなんとも言えません。
「私は伊勢谷キリエです。惣右衛門おじいさんですよね?」
「ワシの名前・・・。・・・なんとっ!あの時のお嬢ちゃんか!そうかそうかー!元気そうで何よりじゃ」
推定おじいさんは確定おじいさんになりました。
「それで、あの。おじいさんのその姿は、ここに居るジェシー・・・ノブ代さんの本体なんです。お身体、返していただけませんか?」
「へぇぇ!アンタがノブ代ちゃんかい!じゃぁ、お嬢ちゃんがワシの身体返してくれるんだったら考えてもいいぞい」
「こっ、リリーシュカは、おじいさんの本体だったんですか!?」
それじゃぁ、私の本体にはお兄さんが入っていて・・・ジェシーの体はお兄さんの本体って事ですよね!
「あ、あのアニキ・・・これは一体どういう事です?」
「あ、ロバートには話してなかったですよね…実は・・・」
私はロバートに順を追って説明しました。
「ちょっとよくわからないですが、ジェシーがこのお姐さんの身体、このお姐さんがアニキの身体になればいいんですよね?じゃぁ、アニキは・・・?」
「私はとりあえずジェシーの身体に入ってましょうかね。そしたらおじいさんとノブ代さんは本来の姿に戻れますもん」
「リリー・・・アンタはそれでいいの?」
「はい。力持ちになれるんですよ!」
「・・・ダメなのだ」
「ん?ソフィアス様どうしました?」
「やっぱりダメなのだ!だって、リリーシュカ達は中身が違うから加護がついているのだ。中身が正しいのになったら加護が消えるのだっ!」
「あっ!」
「なんじゃと?加護ってもしかしてワシの幸運の事かいな?」
おじいさんは幸運を授かったんですね。
「えっと、じゃぁ、アタシとおじいちゃんが変わったら、私の力の加護もおじいちゃんの幸運の加護も消えるのね。で、キリエはこの身体に入っても、本体とは違う身体だから加護はそのままって事よね?合ってる?」
「えっ?それじゃぁ、ジェシーの身体に入ってもそのムキムキボディが活かされないし、そんな身なりで回復魔法しか使えないって事ですか・・・??力持ちに・・・なれない、だと!?・・・えぇー・・・・・・」
みんな黙り込んでしまいました。
そういや、確かにアニーはステータスについてはもう天界が関われない、とも言っていました。それってステータスは身体では無く、魂に付随しちゃってるって事ですか!?本体に戻ってもステは変わらないと言う事ですかい!?コンチクショウ!!!
本体に戻ったら加護が無くなる?見た目は理想でも、貧弱なヘナチョコ冒険者とか・・・さらに光の加護無しで、回復も出来無いくせに魔力高いとか・・・何よりも無双出来ないとか・・・私はこの世界に転生した時点で冒険者無双が出来ない運命だったとか・・・。そもそも本体がデメリットだなんて、なんてこったい。
「あの、私頭痛くなってきました」
「アタシも・・・」「ワシもじゃ」
「(ボソ)身体が変わったらライセンスも取り直しなのだ」
「「「それ!!!」」」
なんで、今日のソフィアス様はこんなに冴えてんですかね。
ハァァァァァァァァと深い溜息をつきながら、何気なくカジノホールを見ると、そこには正に私が恋い焦がれ、求めに求めた私の本体が歩いていました。
・・・傍らにツインテールの女の子を連れて。
今回もお読み下さり、ありがとうございました┏○ ペコリ