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実録!!タマタン村

 山道から横道(っつっても道という道ではない)にそれる事10分位。ぼんやりと灯りが灯る一角が見えてきました。


「アニキ!あそこです!」


タマタン村まで案内してくれたのは、先程熱き (おとこ) と (おとこ) の 戦 い(バトル) を経て、種族を越えて分かりあったタマタンのロバートです。

 私をアニキと呼んで慕ってくれています。まさか、キノコと分かり合える日が来るとは思ってもみませんでした。


「でも、どうするの?正面は見張りが居るんじゃないの?」

「そこはアッシにお任せください!先に行って上手くやりますんで、アッシが口笛吹いて合図したら、正面から入ってください。こっからも見えますが、村の中心に大きな木が・・・あの木です。恐らくその木の前の広場に金髪の兄ちゃんが居ると思います」

「わかりました。宜しく頼むです!!」

「任せてくだせぇ!」

「あ、ロバート!」

「なんです?アニキ?」

「気をつけて行くんですよ?」

「あ、アニキィ・・・。きっとアニキの役に立って見せますんで!」

「・・・・・・(え、何よ?この茶番)」



 タマタン村は見た感じそんなには大きくはなさそうです。ほのかな灯りに照らされて、キノコの形をした建物が数件建っているのがわかります。そして先程ロバートが言っていた様に、大きな木が村の真ん中に生えています。


「ちょっと、リリー。あのキノコ信用して大丈夫なの?口笛って・・・」

「大丈夫です!最初は人間の見下し方がえげつなかったですが、今や立派な私の弟分ですから!」

「あ、そ、そう・・・(ゴクリ)」


 タマタンの村は更生前のロバートみたいに傲慢なキノコばかりだと推測します。必要に駆られては教育的指導も必要かなって思っています。


 ロバートが村に戻ってから数分が経った頃、ピュ・・・ピュヒュィッ・・・ヒュピッ?ピ、ピヒュィィッ?・・・ピッ?ピュピィーーーッってなんか不安定な小さな口笛の様な音が聞こえてきました。


「やっぱりあのキノコ口笛吹けないんだわ!!途中「アレ?おかしいな?」みたいな音出してたわよ!!」

「あ、今のやっぱり合図ですかね?」


ロバートの微妙な合図が聞こえてきたので私達はタマタン村に正面から入りました。ロバートが上手くやったのでしょうか。村の入口と、入口付近にはキノコ1匹も見当たりませんでした。

そのままキノコ型の建物をよけて村の中心部の木を目指しました。


すると、木の前にキノコが沢山集って、焚き火を囲んでいました。

焚き火のすぐ近くに、木の柱に (はりつけ) にされてグッタリとしたソフィアス様がいました。

大勢のタマタンに気付かれるのは得策では無いので、私達は近くの建物の陰に隠れて様子を窺うことにしました。


「(ヒソ)じぇ、ジェシー!アレ!」

「(ヒソ)そ、そうね。何か大変な事になっているわね」

「(ヒソ)どうしましょう?」

「(ヒソ)だって、あの格好・・・アタシ達乙女には目の毒よ?」

「(ヒソ)一国の王子様があんな格好させられてるとか屈辱ですよね。アレはとても恥ずかしい」

「(ヒソ)しかし、さすが剣術を極めただけあるわ~。あんなに筋肉ついていたのね。坊や見かけに寄らず、脱いだら凄いタイプよ!」


ジェシー。なんだかんだ言って、しっかりガン見してるじゃないですか。

磔にされたソフィアス様は椰子の実を二つに割って作られたブラと、乾燥した葉っぱ?で作られた腰ミノのみという、かなり露出の多い、こっ恥ずかしい格好をさせられていました。1人だけハワイアンです!あのブラ、男性につけてる意味あるんですかね?


「(ヒソ)火で炙って汗を抽出させてるんですよ」

「えっ!そうなの?何の為に?ってぎゃぁ!!!」

「(ヒソ)ジェシー!?シーーーーーーーーッ!!」


「誰だ!!そこに居るのは!?」


大勢のタマタンがこちらを一斉に見ています。


「ほら!見つかっちゃったじゃないですか!」

「だって!急にロバートが隣から会話に入ってくるから!!」

「アッシさっきから居たじゃないですか!」


グッタリとして項垂れていたソフィアス様がこちらに気付きました。


「リッ!リリーシュカ!!わぁぁぁ!こんな姿の私を見ないでぇぇぇ!!」


やっぱり恥ずかしいですよね。その格好。


「お前達は何者だ!?どうやってこの村がわかった!?」


一際大きなキノコがこちらに向かってきます。


「ぬ、そこに居るのはロバート!貴様!人間に我々の情報を売ったのか!?」

「ちょ・・・長老様・・・ガタガタガタガタ・・・」


ロバートが小刻みに震えています。なんか卑猥に見えてしまうのは気のせいでしょうか?なんとなくモザイクをかけた方が良いんじゃないかって気がして忍びないです。


「ロバート、村の掟を破ったという事は、覚悟は出来ているんだろうな?」

「・・・ガタガタガタガタ!」

「おい、お前らロバートと人間どもを捕獲しろ」


な、なんかヤバい雰囲気です。キノコが一斉に向かってきます。


「ジェシー!とりあえず戦闘モード・オンです!!」

「わ、わかったわ!」

「オールバリア!そしてプロテイン!!」


私はジェシーとロバートにバリアをかけ、ジェシーに力倍増の魔法をかけました。


「ロバートは下がっててください!」

「あ、アニキッ!アッシもおよばずながら参戦します!」


ロバートはジェシーの後ろに回り、ジェシーを後方から援護するようです。

ジェシーは迫り来るキノコ達をガンガンちぎっては投げ、ちぎっては投げていきます。流石です。

私はその隙に守備が薄くなったソフィアス様の所までダッシュで向い、ナイフでソフィアス様のロープを切りました。


「リリーシュカぁぁ!こっ、怖かったのだぁぁ!わぁぁぁ!でもあんまり見ないでぇぇ!」

「あー、はい。ヨシヨシ。泣かないでください!男の子でしょ!!ヒール!」


弱ったソフィアス様を回復させ、逃げようとしたその時です。


「そうやすやすと逃がすわけにはいかないわよ!私達婦人部だってやれば出来るんだから!!」


という声が聞こえ、ソフィアス様が婦人部のキノコ達に囲まれてしまいました。

今回もお読みくださり、ありがとうございました( *´ω`* )

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