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パルパル山の怪

「っあ〜〜!!背中がバキバキします!」

「ずっと馬車に乗ってたものね。アタシもお尻が痛いわ」


山の山麓につきましたので、馬車を降りてこれから山登りです。

山道の入り口の看板に『パルパル山入口』と書かれています。


「5合目に山荘があるから、今日はそこで泊まって朝に頂上を目指してそのまま一気にサラエッティ方面に下山しましょ」

「はぃ、隊長!!」


気分は探検隊です。


「モンスターに気を付けて、注意しながら歩くわよ」

「「はーい」なのだ」


山道は小石が多く、ボコボコしてて足元が悪くて歩きづらいです。ここら辺は自然保護区になっていて、迂回路が無いので山登りは必須事項です。

私、山登りも前世を通して初めてなんです。

前世に悔いは無いので、病弱だった自分もちゃんと受け入れていますが、それはこうして前世の記憶を持ったまま転生出来たからそう思える訳で。器が変わっただけで、前の人生の延長みたいな感覚だから。一度しか無く、来世に記憶の残らない人生だったならば、やっぱりもうちょっとだけ健康だったら良かったなって思います。

 

「はぁ、はぁ。結構急ね、この山」

「大丈夫ですか?ジェシー」


4合目あたりまで来た所でジェシーに疲れが見え始め、よろよろと蛇行しながら歩いています。


「あんた・・・よく平気ね・・・」

「はいっ!なんてったって体力余りまくってますからね。おすそわけしたい位ですよ・・・あれ?」

「どうしたのよ?」

「今、なんか思いつきそうです・・・」


えっと、私は体力有り余っているから体力がごっそり減らない限りは回復しなくてもへっちゃらですが、ジェシーや他の体力がそこそこ以下の人は体力が減ったら回復をしないとキツクなる一方・・・。でも私もちょいちょい相手を回復していたら忙しないしそもそも私とはぐれたらポーションとか無い場合は行き倒れになっちゃいますよね。

要はちょいちょいヒールをかけ直さなくても自然に回復してくれたら良い訳で。

そうなるとアレとアレを組み合わせて・・・。


ピコーン!!


出来ました!!!ちょっとやってみましょうかね!


「リヒール!!」


私はジェシーに向かって叫びました。するとジェシーの身体を淡い水色の光が包みました。


「な、何これ?・・・あ、楽になってきたわ」

「リターン・ヒール!略してリヒールです♪体力が減ったら自然に回復します。ちょっとどんだけ持続するかが分からないので離れないようにしてくださいね」

「まぁ~~~!すっごく助かるわ~」

「次はソフィアス様・・・。あれ?ソフィアス様?」

「あら?どこ行っちゃったのかしら?おトイレかしら?」


さっきまでつかず離れずすぐ側に居た筈のソフィアス様が見当たりません。


「えーーー、いくらトイレでも、黙って行きますー?」

「そうよね・・・。リリーに魔法かけてもらったし、ちょっと引き返してみる?」

「んーーー。そうですねぇ。でも、暗くなってきましたよ?それに後ちょっとで5合目です・・・」

「どっちが早いかよねぇ。山小屋で待っているか引き返すか」


すみません、ソフィアス様。心配は心配ですが、灯りの無い薄暗い山道を探す勇気が出ないです。なんとなく何かが出そうな雰囲気でさっきから心の臓がバックンバックンと異常な動きを・・・。

い、今なら何が出てきても心臓麻痺で逝ける自信ありますよ!!


ボソボソボソボソボソ・・・


「ひっ!!じぇ、ジェシー!何か言いました!?」

「何にも言ってないわよ」

「えっ!?」


ボソボソボソボソボソ・・・


「ひぇっ!やっぱり何か聞こえますよぉっ!!」

「や、やめてよね!アタシまで怖くなってきたじゃない!」


ボソボソボソボソボソ・・・人間だ・・・


ボソボソ・・・ここにも人間が居る・・・


「ひぃぃぃっ!?」


ガサガサガサガサガサッ


「「ぎゃぁァァァァァァァァァァァァッ!!」」


突然すぐ脇の茂みからガサガサと大きな音がし始めました。何か出てきそうですっ!

ジェシーと手を握り合ったまま、恐怖で身動きが取れません!


「(キィーーンキーーンーーン・・・)み、耳が痛い、人間め!超音波攻撃か!?」

「ひぃぃ。何か出てきたぁ・・・」


ガサガサと参道脇の茂みからドラ○もん位の大きさの何かが出てきました。・・・ごく最近似た様なシルエットを見た気がします。


「ふぇぇ、ホーリーライトっ」


ポワッと辺りを照らした所、茂みから表れたものの正体がハッキリと見えました。

そのぽってりとしたフォルム、劇画チックなお顔・・・


「タンゴ・マ・タンゴやないかいっ!!!」

「あれ?そのキノコって雨の日にしか出ないんじゃなかったっけ?」

「あ?俺様の事をキノコって言うな!下等な人間め!胞子も出せない癖に」

「いや・・・胞子出す時点でキノコですよ・・・毒キノコですよ・・・」

「毒キノコって言い直すなぁっ!お前だってキノコみたいな頭してる癖に!」

「キィィィィィィィヤァァァァァァ!!キノコにキノコって言われたDEATH!!キエェェェェ!精神が保てないぃぃ!!」

「ちょっ!リリー落ち着いて!どうっどうっ!はい、深呼吸深呼吸!吸ってーー、吐いてーー」

「ふぅぅーっ、ふぅぅーっ!!すーーーーーーーーはーーーーーーーー」

「アンタ、瞬間湯沸かし器じゃないんだからもうちょっと落ち着きなさいな」


ジェシーのサポートによってなんとか精神に異常をきたす事無く平静を保つ事が出来ましたが・・・。

それにしてもコイツらって何でどいつもこいつもこんなに人間を見下してんですかね?

今回もお読みくださり、ありがとうございました(^^)

↑因みにこのコメント、毎回同じですが心を込めてちゃんと手入力しています。

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