雨の日限定クエスト
あの後通信ツールの使い方の説明を聞きまして、銀貨10枚で購入しました。懐が一気に軽くなっちゃいましたが、なかなか便利なものです。
何故か一番初めに通信ツール専門店の受付の猫耳お兄さんの連絡先の登録がされていて、それ以来お兄さんとメル友みたいにな関係になりましたが、それってまた私にもふもふされたいって思ってるって思ってもいいんですよね?ふふ、また罪も無い殿方を夢中にさせてしまいました。私って罪作りですね。
そうだ!このまま逆ハーレム目指すのもいいんじゃないでしょうか?
「・・・リリーシュカ。今、他の男の事を考えてないか?その男を刺し違えてでも葬りたいのだ・・・」
妄想の最中にぬぅっっと目の前にソフィアス様が現れました。口から血を流して。
「っぎゃぁぁぁ!!!口から血が出ていますよ!唇かみ締めすぎです!!ヒール!・・・ったくいちいち血みどろにならないでくださいよ。後、物騒な事も言わないでください!心臓に悪いったら」
「・・・構ってほしいのだ。リリーシュカ私に連絡先教えてくれない(ショボン)私の連絡先を教えても非通知ですら連絡くれないのだー!」
「あらやだ、アンタ坊やに教えてあげてないの?」
「だって教えたらイタ通(イタズラ通信)来そうなんですもん」
「あぁー・・・、否定は出来ないわねぇ。あ、じゃぁ教えるだけ教えたらブロックしちゃえばいいんじゃない?」
「違う通信ツール買いそうじゃないですか?」
「確かにそうねぇ。坊や、諦めなさいな。どうせ黒い人が居るんだから必要ないじゃない」
「うう・・・。リリーシュカからの連絡待ってるのだ・・・」
いやー、本当ついてくるならくるでいいですが、空気みたいにしててくれないですかねぇ。妄想くらい好きにさせてほしいもんです。この人が居る限り逆ハーレムも出来そうにないですもんねぇ・・・。はぁ。
「しかし、今日はよく雨降りますねぇ」
「そうねぇ。雨だとクエストもやりづらいし・・・」
ジェシーが頬杖をつきながらストローでカラカラとアイスモカをかき混ぜています。
「それなら、雨の日限定クエストでもやりませんか?」
ギルドの窓口のお姉さん(エリーシャちゃんていいます)がこちらに向かって声を掛けました。エリーシャちゃんの猫耳も是非もふってみたいのですが、女の人は皆さん隙が無いです。ショボン。
それはさておき。
「雨の日限定クエストですか?」
「はい。たった今クエストが依頼されたんですけど、雨の日限定で報酬も高いからとっても人気なクエストなんですよ!」
「どんなクエストなんですか?」
「雨の日にしか生えないキノコがありまして、そのキノコを3つ取ってくるだけなんですけど」
「えっ、キノコ取るだけなの?やるっ!やるわよ!ねぇ、リリー?」
「ただし、キノコは動きますので、捕まえるのは運次第になりますが」
「動くキノコ?えっ?」
皆目検討もつきません。
「場所は星が浜の洞窟の中になります」
「とりあえず、行ってみましょうよ」
「そうですね。動くキノコ・・・気持ち悪そうですが、ソフィアス様が取ってくれますよ。きっと」
「任せるのだ!リリーシュカにいいとこ見せるのだ」
「お願いしますね☆(まぁ、あんま期待してませんけど)」
「リリーシュカが私を頼っているのだー!俄然やる気が出たのだ!!ふぉぉぉっ!!」
ソフィアス様の身体からケン・シローみたいにフシュウウウッとオーラが吹き出してる様な感じがします。ソフィアス先輩チョロイっす。
星が浜はお城の裏に位置する浜辺の名称で、穏やかな海が広がっていて暑い日には水着を着て泳いでる人も居ます。あいにく今日は雨なので浜辺には人一人居ませんね。
「りっリリーシュカ、今日は暑いな・・・。その、みっ、水着を着ないのか?」
「雨降っててそんなに暑くないですし、水着持ってませんし、ソフィアス様の前でなんて絶対着ませんから」
「仕方がない。妄想で補完するのだ」
「きぃーやぁー!やめてやめてやめて!妄想するのもやめて!」
「何言ってるのだ。妄想では私達は既に夫婦なのだ。あんな事やこんな事も済んでるのだ」
「いやぁぁぁ、いっそ今すぐ妄想の私を殺してぇぇ!!い」
「はいはい、イチャついてるとこ悪いけど、洞窟前まで来たわよ」
「イチャついてないです!!あーん」
「泣かなくてもいいじゃない。ほら、入るわよ!」
洞窟の入り口から見える範囲では洞窟の中は暗く奥が見えない。
「ホーリーライト」
ホーリーライトは辺り一帯を明るくしてくれる魔法ですが、大きさの調整により棒の先や身体の一部分につけたりと、懐中電灯みたいにも出来ます。
今回は洞窟の生態系とかも考慮して小さな懐中電灯タイプで探検隊よろしく皆のおでこにくっつけて洞窟調査開始です。
「リリーの魔法、本当役に立つわぁ」
「ふふ。攻撃に関しては全くですけどね」
洞窟の至るところから雨水?が滴り落ちています。うぅ、今オバケとか出てきたら軽く死ねそうな気がします。
「そ、ソフィアス様1番前歩いてくださいよ!」
「わかったのだ!怯えるリリーシュカを後ろから眺めていたい気もするのだがリリーシュカの安全が第一なのだ」
あっ、やめて。この状況で比較的まともな事言うのは。吊橋効果とか起きたら嫌ですから。
カタッ
「ひっ!なんか音しませんでしたか?」
「ええ。聞こえたわよね」
カタッカタカタカタカタカタカタカタカタッ
「いやぁっ何?怖いっ」
岩陰の方から音が聞こえてきます。
「ヴヴぅぅゔぅヴヴヴ・・・た・・・す・・・け・・・ヴヴぅぅっ」
「ギャァァァァァァァァ!!!」
不可解なうめき声。これはアレです!除霊が必要なやつです!きっと!私は瞬時に洞窟の入り口に向かって走り出しました。
「あっ、リリーっ!!上!!」
ジェシーが叫ぶと同時に上からなんかもちっとした大きな物が顔の上に落ちてきました。
「ギャァァァァァッ!生暖かいっ!ま、前が見えないっ取って!取って!」
「リリーシュカッ!今取るのだ!!ってこれはっ!」
ソフィアス様が私から生暖かいモノをベリッと引き剥がしました。
「は?これ・・・は!!」
今回もお読み下さりありがとうございました☆