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白は白、黒は黒

「い〜や〜で〜す〜!!」

「いえ、お客様のジョブでしたらこちらが 是 非 オススメですので」

「もう、誰よ〜!白魔道師が白いローブ着なくちゃいけない風潮作った人はぁ〜!!でもって火とか水とか風とか地とかの攻撃魔法が使える黒魔道師は黒いローブとか安直すぎる!」

「白魔導師と黒魔導師位よね。ローブの色で自らのジョブ表現してるの。アタシ達からしてみれば分かりやすくていいけど」

「私は格好いい冒険者の服がいいです」

「いやいや、白魔導師は非っ常〜〜に珍しいので、是非こちらのローブを購入していただきたいです!なんなら、半額でもいいですよ!」

「おねぇさん、この白いローブ。もしかしてデッドストックになってるんじゃないですか?まさか売りつけるチャンスだとか思ってないですよね?」

「(ギクッ)い、いえ。品揃えNo.1を誇る、欠品?何それ?な当店でいつか来る時の為に白いローブを仕入れたはいいですが、仕入れてから今まで誰一人買う人が居なかったから若干後悔してるとか、なんだか最近白からクリーム色になってきたなぁ〜とか全然思ってませんから!」


 最早本音を隠そうともしないショップの店員のおねぇさんと押し問答する事数十分。

私はジェシーの見立ての冒険者の服を買い、本来の値段の80%オフで白いローブも買わされました。おねぇさん、最後は涙ぐんでバンザイしてました。【この店から白のローブが売れました!】ってなんか【ここから1等2000万が出ました】みたいな宝くじの販売所に貼ってある様なポップまで用意してましたけど。

 白いローブはクリーム色の部分がまだらに入っており、経年劣化感が半端ないです。ローブには魔法耐性が付いているみたいなので、何か別の使い方・・・リメイク出来ないか考えています。


「ジャジャーン♪トレジャーハンターっぽい感じがお気に入りのお洋服です!」

「まぁっ!可愛い冒険者さん」

「・・・あれ?ソフィアス様は?」


 いや、別にソフィアス様に褒めてもらいたい訳じゃないですけど。


「あ、あそこで黒い人と話してるわね」


 ジェシーが指を差した先の路地裏で、黒子みたいな全身黒ずくめの格好をした人とソフィアス様が話しています。

あ、怪しさMAXです。もしかしたら、ソフィアス様世間知らずっぽいから変な人に絡まれているんじゃないでしょうか?


「ソフィアス様?誰と話してるんですか?」

「り、リリーシュカ!何でもない!何でもないのだ!!」

「えっ?だって・・・あれ?居ない!」


 確かに、今まで黒い人が居たと思ったんですが。えぇー?

なんか色々変なことばかり起きるからついに幻覚でも見出したんですかね。


お わ か り い た だ け た だ ろ う か ?


って心霊特番の類とかじゃないならいいですけど。いや、一度自分自身が魂にまでなってる身ですが、私どうしても心霊とかそういうのはダメで・・・。長い入院生活で多々、そういう現象に遭遇する事がありまして。

だって、やつら決まって血みどろで驚かしにかかってくるんですよ?あれ、絶対誰がどんだけ人を驚かす事が出来たか賭けてるんですよ。きっと。だって肺炎で亡くなったおじさんですら、何故か頭から血を流してきやがるんですから!


「いやいや!ジェシーも見たわよね?黒い人!」

「え・・・リリーってば、何を言っているの?黒い人なんて見ていないわよ」

「っキャァァァァォァァ!!!」

「やだ、ちょっと!リリー!冗談よ冗談・・・って、ダメね。泡吹いて気絶してる」

「リリーシュカ!?リリーシュカーーー!!」




「ふふ・・・。キリエは甘えん坊さんね」

「だってキリエ、ママだーい好きなんだもん♪」

「キリエ、パパの所にもおいで」

「いや〜!だってパパお口臭いんだもん」

「ふぁっ!!?」


ごめんね・・・。パパ。あの時多少・・・いやかなりパパの口臭を我慢してパパにも甘えておけば良かった。あの後パパ、歯茎から血が吹き出すほど歯を磨きまくってたよね。私、怖すぎて謝ってなかった・・・。


「ごめんね、パパー!!」


あれ?ここどこだ?

ガバッと起きたらジェシーの顔のドアップが目前にありました。


「キィヤァァァァァ!!」

「イヤァァァァァァ!?」


カオス。二人でひとしきり叫んだとこで正気に戻りました。


「ジェシー。その顔のアップはキツイです!」

「いやね!リリーこそ気が付くなり、いきなり叫びださないで頂戴よ!あぁ、ビックリした」


私は公園の木陰の芝生の上で寝かされていました。


「しかし、リリー。アナタ光の子じゃない?アンデッド系のモンスターに出くわす確率高いんじゃないの?そんなんで大丈夫?」

「あー・・・・・・・・・。目を瞑ってれば大丈夫です。こう、第三の目を開眼してっ、いたっ!」


ジェシーが私にチョップしたようです。


「何が第三の目よ。ちっとも開眼してないじゃないのよ」

「ふぇぇ〜。ちょっとその筋に弟子入りするしかないですね」

「その筋ってアンタ・・・」

「あれ?ソフィアス様また居ませんね」


居ないなら居ないにこしたことはないですが。


「あぁ、坊やなら倒れたアンタを抱き抱えてここに降ろしたあと慌てて何処かに言ったけど」

「ふーん」


はー、落ち着いたら喉が乾きました。何か飲み物買ってきましょうかね。


「リリーシュカ!目が覚めたのか?」

「あれ、ソフィアス様戻ってきたんですか?」

「勿論だ!私はリリーシュカから一生離れないからな!・・・ではなくてこれ・・・」


ひぃ。一生を私に託さないでください。

ソフィアス様から手渡されたものは冷たいフルーツジュースだった。ナイスタイミングです。たまには役に立ちますね。


「あ、ありがとうございます。あ、おいしい!」

「それは良かったのだ」


ドキッ。不覚にもソフィアス様の笑顔に見惚れてしまいました。

このジュース、中に惚れ薬でも入れてきたんじゃないですかね?

8/22 誤字脱字の修正、余分な字の削除等行いました。

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