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ソフィアスの誓い

 ふわぁ〜〜〜!宿代をちゃんと払って泊まった朝は、素敵な目覚めです。昨日はジェシーにピザをご馳走になって、今日の昼頃に冒険者ギルドで会う約束をして帰りました。

 すぐ戻るって言ったのになかなか帰ってこない私をセリエラさんが心配していました。申し訳ない事をしてしまいました。


 衣食住の食と住はなんとか確保出来そうなのでやっぱり衣も充実させたいですね!毎日同じ服は流石に嫌です。

 寝る時に服を洗って干してから寝ると、今日みたいに生乾きの時は本当に困りますもんね。

 そうだ!ジェシーと一緒にお買い物も楽しいかもしれません・・・。思えば私、友達とショッピングなるものを経験した事がありませんでした。いい人生でしたが、やった事がないものが多過ぎましたね。


「おはようございまーす」

「おはよう、リリー」

「おはよう」

「おはよう、今日もクエスト?」

「今日はパーティーを組んだ仲間と待ち合わせです〜♪」

「へぇ、良かったね」


 宿に泊まっている皆さん、気さくな方達で軽い挨拶を交わしながら朝食を頂きます。

 朝食はバイキングスタイルで、数種類の料理の中から選んで取ってくる形式です。


 前世の世界と大体同じ料理なので、抵抗無く頂けます。

スクランブルエッグとベーコンとサラダをワンプレートに載せて、焼き立てパンを別のお皿に乗せて席につきました。


「いっただきま〜す」


 ん〜〜〜!卵はとろとろ、ベーコンはカリッカリ。お野菜は新鮮だし、パンも外はカリッ、中はフワッもちっです。


「リリーちゃんは美味しそうに食べるねぇ」

「はいっ。美味しいです!はぐはぐ」

「ぷっ、なんか実家の犬思い出したよ。アンタみたいに夢中でご飯食べてたっけ」


 犬の話をしてくれたのは、リンダさん。商店で働いている、ショップ店員のライセンスのお姉さんです。

 ここに泊まっているお客さんの中では1番歳が近いです。


「さぁて、アタシ店の準備しなくちゃいけないから、このまま行くわ」

「いってらっしゃ〜い」


 私が食後のコーヒーを堪能していると、バタバタと騒がしい音が聞こえてきた。


「失礼する。リリーシュカに会いに来た」


 こ、この声は!昨日の王子!?確か、ソフ・・・ソフィ・・・ソフィなんとかです。


「あぁ、リリーシュカ。ここに居たのか」

「なんの御用でしょうか?」

「私は決めたよ!城を出て、リリーシュカの側に居ようと!!」


 私を見つけるや否や私の所まで歩いてきて王子が私の横で膝まずきました。そして両手で私の手を握りしめてきました。

椅子に座っている私をやや下から見つめるスタイルです。


「あ、あの。王子様?」

「ソフィアスだ」

「ソフィアス様。お気持ちは嬉しいのですが、お城を出るなんてそんな大変な事勝手に決めてはまずいのではないでしょうか?」

「大丈夫だ!父上には許可を頂いている。父上もリリーシュカの側に居なさいと仰ってくれた」


 っえー!?あのおっさん国王の資格ないんじゃないのー?ソフィアス様は長男だよ?ていうか、ソフィアス様の気持ち、重い。重いです。国を捨ててお前を選んだとか言われて嬉しいのは、相思相愛のパターンだけじゃないですかね。っていうか、考える時間短っ。昨夜は暫く考えさせて欲しいとか言ってませんでしたっけ?


「え、でも王子様。お城を出てどうやって暮らしていくつもりですか?」

「勿論リリーシュカと一緒に冒険に行って稼いだお金で暮らすのだよ」

「えぇー!!な、何故私と?」

「一目惚れだ!」


 王子は瞳を潤ませて私を見ています。顔だけ見ると本当にイケメンです。しかし、相手はあのおっさんの息子です。油断してはいけません。


「お前は冒険者として存分に冒険をしたいのだろう?私は剣士を極めた男。お前を守りたいのだ」

「あ、守りは間に合ってます。私回復魔法使えますし、オートバリアも発動しますし、ちょっとやそっとじゃ私にかすり傷1つつけられないみたいですよ」

「そ、そうか・・・。では、言い方を変えようか。お前の代わりにこの剣を奮おう。それに、私と一緒に居れば一生生活に困らないぞ」

「いやー・・・結構です。お気持ちはほんっとに有り難いのですが私ソフィアス様を恋愛対象には見れませんから」


 なぜなら、ソフィアス様に流れる血。あのおっさんとの繋がりが出来るのはまっぴらごめんですから。ここまで言えば、帰ってくれるでしょう。


「それに、私は誰かに養ってもらうとか考えていません。私は私が生きる意味を探している途中ですから、今は余計なこと考えてる暇はありません」

「・・・・・・・・・」


 ソフィアス様は顔を伏せて震えています。え・・・泣かせてしま・・・


「・・・さすがは父上が見込んだだけの事はある!この、全く脈の無い感じ・・・燃える、燃えるぞ!!」

「は?」

「この・・・付け入る隙の無い毅然とした態度・・・いいっ!!はぁはぁっ、リリーシュカっ!私はお前の様な女を探していたんだ!」


 ソフィアス様は恍惚の表情を浮かべて私の手をほっぺにスリスリしています。ちょっと怖いですっ。


「い、いやぁっ!」

「ふふ・・・。私に近づいてくる女達はみな、私の財産目当てだったがお前は違う。金にも私にも興味が無い。こんな女は初めてだ・・・ますます惚れたぞ」

「キモいですし、怖いです!手を離してくださいぃっ」


 誰か助けてください・・・って皆さん相手が王子なので遠巻きに見てるだけです。こんな王子でも邪険にしたら反逆罪とかになりますかね?


「私は何があってもお前の傍を離れぬ事を誓おう。この剣に賭けて」

「お断り・・・っんっ」

「しーっ、黙って」


 ソフィアス様は人差し指を私の口に当てて、私が喋るのを遮りました。

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