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いつか君が描いた未来へ

モルゾヴァを制するのに必要な魔力は相当なもので、タマタン部隊も後はロバートとギルバートと長老だけになってしまいました。


「ギルバート、行くっスよ!」「了解です、ロバートさん!」


二人手を繋いでジェシーに投げられてきます。


「ロバートっ!ギルバートぉぉ!!」

「アニキ!アッシはアニキと一緒に旅が出来て楽しかったっス!」

「お師匠様!短い間でしたが、お世話になりましたっ」


チュッ!チュッ!


二人は私の頬にキスをして、そう言い残すと、パァッと弾けて消えてしまいました。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ロバートとギルバート・・・。タマタンってなんて儚い生き物なんでしょう・・・。二人とも、ちょっとだけ待っていてくださいね。

さて、私もこの身を消滅させてでも光を射し続けねばなりませんからね。頑張りますよ!!


「ぐっうぅ・・・!いつまでもお前の思い通りにはさせんぞ!」


モルゾヴァも必死に私から離れようともがきます。


「私の・・・私の思い通りになった事なんて数えるほどしかないです!!!」


私だって負けません!世界の重みを思い知るがいいです!私は尚も力を入れました。温かいを通り越して熱いです。


チリ・・・ッ。くぅ・・・!もう意識を保つのもやっとです。もっと光を・・・もっと、もっと!!


「ぐぁぁぁぁ!!や、やめろ!やめろぉぉぉ!!」


おっさんが急に苦しみだしました。何が起きたのでしょう。


「リリーシュカよ!今の内だ!天界のゼウスの干渉が弱まったぞ!ワシも動ける様になったわい」


天界でゼウス様の身に何かあったのでしょうか?こうしちゃいられません!今がチャンスです!!


「ソフィアス様、皆!幸せになってくださいね!!」


私はモルゾヴァを抱き、空へと向かいました。高いところからこの世界を、世界中を光で包み込みます。

あ・・・、転生する時に乗ったジェットコースターの様に私今光と一体になっています。

私は願いました。モルゾヴァの居る世界の終焉を。そして新たな世界の構築を。


パキッパキンッペキペキ・・・


空が・・・割れていきます。私も、もう限界です・・・。どうか、この世界に祝福があらん事を・・・・


「リリーシュカァァァァァァァァァッ!!!!!!」


最後にもう、遠すぎて聞こえる筈の無いソフィアス様の叫び声が聞こえました。ソフィアス様、私あなたの妻になれて幸せでした。私の思い描いた世界の未来をあなたに託します。




パンパンパンパンッ


空に打ち上げられた空砲の音が響き渡る。リリーシュカが前世界と一緒に消えてから既に3年の月日が立っていた。

あの日、私の最愛の妻リリーシュカと父モルゾヴァの消滅とともに、一度グリーンアースは崩壊した。そしてみるみる内に再構築したのだ。


しかしその世界にはリリーシュカと父上の姿は無かった。



「ギルバート!今日はいよいよタマタンパークのオープン初日ッス!緊張するッスね!」

「ロバートさん、手の平にタって文字を3回書いて飲み込むといいですよ」

「タ、タ、タ・・・ゴクン・・・。フォーーーーー!!!キクーーーーー!!!」

「え、何かヤバいクスリでもキメたみたいになってますけど大丈夫ですか?」

「ほらほら二人とも、開場の挨拶そろそろ始まるんだから準備するのだ!」

「支配人!!・・・アニキにもアッシ達の晴れ舞台見てもらいたかったッスね・・・」

「・・・リリーシュカもきっと空から見守ってくれているのだ」


私はそっと空を仰いだ。どこまでも美しく澄んだ空の色にじんわりと心が切なくなる。リリーシュカ・・・。今のこの世界は、君が描いた世界になっているかい?


あれから私はリリーシュカの前世の世界で同郷だったジェシーに協力を仰ぎ、リリーシュカ基金を創設し、世界中の親も身寄りもないこども達の為にマリーメリーの我が家の様な施設を世界複数個所に設立して試験的に運営している所だ。

そして運営費の捻出の為、その先駆けとしてタマタンパークを運営し、収益金の一部を施設の運営費や職員の給料などに充てる事にした。


ありがたい事に、オーナーの役はラナリッテさんが買って出てくれた。ラナリッテさんはジェシーの本来の姿でリリーシュカの姿の産みの親の、元おじいさんだ。サラマッティのカジノで儲けたお金と、大金持ちの恋人(下僕?)からのお小遣い(お布施?)で土地を買ってくれ、様々な設備を整えてくれたのだ。

他にも、サラマッティの武器職人夫婦、非常~~~っに悔しいがリリーシュカの理想の男性の外見のシリウスさん(実はこんな名前だった)にはアドベンチャーエリアの監修を、妻のアミナさんには、その独特なセンスを活かしてもらうべく、ファンタジーエリアの監修をお願いした。

アミュールさんとリジットさんの兄弟はアクションのあるアトラクションの監修を、隣国のプリンセス姫様は、パーク内で1日2回行われるパレードを監修してくれ、小鳥ちゃん達メルルーニィもマスコットキャラクターとしてパーク内を散歩してくれるとの事だ。幻の鳥がここだけでしか見れないという付加価値がついて、これだけでも安定した収益がのぞめるだろう。

衣装はショップ店員のリンダさんに、パーク内の宿泊施設はリリーシュカが利用していた宿屋の女将のサリエラさんに、パーク内の放送設備等はリリーシュカのストーカー・・・じゃない、通信ツールの販売員のアッシュ(気に喰わないので呼び捨て)にそれぞれ協力をお願いした。


こうしてリリーシュカを慕うみんなで考えて、みんなで創りだす未来の為の第一歩、タマタンパークが本日開園となるのだ!!



何もかもが順調にうまくいっているが、ただ君がここに居ない事だけが、うまくいかない。

今回もお読みくださいまして、ありがとうございました(^^)

いよいよ次回が最終回となります。よろしければ最後までおつきあいくださいませ。

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