虹の道標
リディロン城の図書室で虹の子への手掛かりを調べに来ましたが、そういやシャイニーに聞けばいいのだと思い出しました。
最初は呼ばなくても出てきていたのに、最近は呼び出さないと出てきません。一体何をやっているのでしょうか。
「シャイニー、虹の子になる為の手掛かりとかわかりませんか?」
『グッドイブニングー。シャイニーだょぉー』
「うわぁ、とても迷惑そうです!」
『天界からの干渉が続いていてうんざりしてるんだよぉー』
「天界からって・・・私達と何か関係あったりしますか?」
『関係大アリだょー。君達がお城から逃げ出したから、モルゾーが激怒して天界からボク達に干渉しようと・・・おっと。これは言ったら消されちゃうやつだった。どうしよう』
「どうしておっさんが天界から干渉出来るのですか!?」
『ごめん、これ以上は言えないんだ。ただ、虹の子になるなら魔王の城へ向かうといいよ。魔王の城へはメルルーニィに乗って“レインボーロード”と言うといいよ』
「わかりました!」
『あぁ、でもリリーシュカ。キミ一人だけで行くんだ。他の皆は資格が無いから弾かれてしまう』
「私・・・一人で、ですか?」
『そうだよ。こうしてる今も魔王はこの世界を闇で埋め尽くす為に動いているよ』
天界と魔王、なんらかの繋がりがあるのかもしれません。しかし、魔王の城へ私一人で行くなんて事・・・。下手したら死ぬかもしれません。
『闇で埋め尽くされたらゲームオーバーだよ。この世界の人達は転生も出来ずに闇と一体化するんだ』
「な、なんて事!リリーが背負う使命じゃないわよ!」
「そうだよ!ハニィが何をしたっていうのさ!」
「リリーシュカさん・・・」
みんな・・・。
「坊やも黙っていないで何か言ってやりなさいよ」
「リリーシュカ、頼む。魔王の城へ行ってほしいのだ」
「は?アンタ何言ってんのよー?リリー一人だけ危ない所に行かせる気ー?」
「リリーシュカにしか出来ないのだ!!この世界を、皆を救って欲しいのだ」
「ソフィアス様!?見損なったよ!ハニィが一人で魔王の城に行くのよく我慢出来るね!」
違います・・・。そうじゃないです。ソフィアス様は王子としてするべき事をしているだけです。王から殺されそうになったとしても、私の夫以前に一国の王子として国を、世界を守る最善の案を口にしているのです。例え皆の憎まれ役になったとしても。
私が一瞬でも躊躇してしまったために、ソフィアス様が悪者になってしまう。
だから、ほら・・・。
「顔を上げてください、ソフィアス様」
「っ・・・!リリー、シュカぁ・・・」
ソフィアス様は涙でグシャグシャな顔で必死に唇を噛み締めていました。私はそっとソフィアス様を抱き締めました。
「みなさんに、嫌な思いをさせてすみません。私これから魔王の城を目指します」
「リリー!」
「ハニィ!!」
「ありがとうございます。私を信じてください。必ず虹の子になって帰ってきますから!・・・だから、見送りとかいいですから!そんな事されたら何かの死亡フラグが立ちそうで。・・・行ってきます!!」
ソフィアス様から離れ、私はダッシュで外に向かいました。
外では小鳥ちゃんとご両親が待機していました。
“光の子よ、いよいよですね”
「はい、小鳥ちゃんをお預かりします」
“ママ、ボクの背中に乗って!ママと一緒なら怖くないよ”
「小鳥ちゃん・・・。宜しくお願いします」
私は小鳥ちゃんにまたがり、深呼吸した後、ゆっくりと言葉を紡ぎました。
「レインボーロード」
すると、小鳥ちゃんが光りだし、空へと羽ばたきました。どんどん陸が遠ざかっていきます。歪に黒く染まっている所が数カ所見えます。多分あれが魔王が闇に染めている所でしょう。
小鳥ちゃんがは迷いもなく、どんどん進んでいきます。
「小鳥ちゃん場所わかるのですか?」
問いかけても返事がありません。集中しているのでしょうか?
手が、身体が震えます。闇に飲まれたら転生出来ないなんて・・・。それでも、なんとか出来る力が私にあるというのなら、お願い・・・。
本来なら“自分はどうなっても世界が救われるのなら”って思うのが英雄なのかもしれませんが、私は自分も世界も救いたい。欲張りなんです。
せっかくこの世界では長生きしようと思っていたのに、また同じ年で死ぬのだけは勘弁ですよ。
そもそも、これって全て天界のミスから始まってるじゃないですか!そんで、望んだわけでもないのに光の子スキルとかつけられて。あ〜、理不尽過ぎて腹が立ってきましたよ!
もはや誰をぶん殴ったらいいのでしょうか?まずおっさんは殴る。魔王も殴る。アニーは・・・何が苦手でしょうかね?一番嫌な方法で嫌がらせをしたいです。
私と小鳥ちゃんが向かう先に、黒くて大きなものが視界に入ってきました。
あれが・・・魔王の城。
天界がどう絡んでいるのかとか、魔王と虹の子の関係とかわからない事だらけですが、私今最高にイライラしていて肝が座った状態になっているので恐怖は感じません。
「小鳥ちゃん、突入しますよ!」
魔王の城の入り口へとラストスパートです。皆待っていてくださいね!
今回もお読み下さり、ありがとうございました┏○ ペコリ