表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/120

Feast of the end(終末の宴)

私が黙って死ぬか、私が世界を背負って虹の子を目指すか・・・失敗したら、世界崩壊という結末・・・。あれー?なんだこれ。


「父上!!他に方法は無いのですか!?」 

「無い。ソフィアスよ、お前はてんで使えぬ息子だと思っていたが、光の子を娶った事だけは褒めてやろう。おかげで監視がしやすくなったからの」


おっさん・・・。凄い悪い顔をしています。私の事なら何を言っても構いません。ですが、実の息子・・・ソフィアス様を悪く言うのは許せません・・・。


「リリーシュカ、虹の子になるのだ!リリーシュカが犠牲になる事はない!」


ソフィアス様が叫びました。


「悪いが、それはさせぬ。一か八かに賭けられる程この世界は軽くはない」


おっさんが手をかざすと、私とソフィアス様は床へ突っ伏しました。

何これ!見えない何かに身体を押さえつけられています。

同時に魔力も一瞬にしてゼロになってしまいました。こんな力がおっさんにあったなんて驚きです。


「父上っ!り、リリーシュカの命だって軽くなんて無いのだ!!」

「黙れ、ソフィアスよ。そんな物は世界の命の重さとは比べ物にならん。あぁ、そうじゃ。お主も愛しい妻と一緒に逝くがいい。夫婦でクーデターを企てた、と言う事にでもしておこうかの。なぁにワシにはまだ息子が二人居るからな。一番出来の悪いお前が居なくなったとてどうと言う事は無い」


くっ・・・。なんて、冷たい声なんでしょうか。


「・・・この者達を捉えろ。魔力ゼロだから、抵抗も出来ないだろう」


私とソフィアス様は控えていた騎士達に捉えられ、城の地下牢に入れられてしまった。

小鳥ちゃん・・・。小鳥ちゃんは無事でしょうか?

闇の洞窟に向かう前に、ロバートとギルバートに小鳥ちゃんを頼みましたが・・・。危険を感じたら逃げてくださいね!

ジェシーや、アミュールさん、リジットさんも私と一緒に居たという理由で何かされないといいのですが・・・。


「はぁ、ここは通信も出来ないです」

「リリーシュカ・・・」


私とソフィアス様は隣同士の牢に入れられています。お互いに壁越しに寄り添って座りました。あのおっさんめ。二択なのに、実質一択しか道が無い様です。私とソフィアス様が犠牲になるルートしか・・・。

最初から、私は国に害を為すものとしてマークされていた・・・。パスポートに刻まれたあの王国の刻印は監視をしやすくする為・・・。

魔王が動き出したって言ってましたよね。トリガーは精霊集め・・・?虹の子になる為の儀式を阻止する為?


アネッタ様は?光の子が粛清されている事を知っていたの?虹の子になるのを喜んでいた様に見えたけど。ラッキーステータス・・・限界突破。こうなる様に誘導されていた?

訳がわかりません。私は膝を抱えて俯きました。



“光の子は力を欲しました この世界を救う力を”


“光の子は願いました この世界の平和を”


“光の子は知ってしまいました この世界のカラクリを”


“光の子は力を欲しました この世界を終わらせる力を”


“光の子は願いました この世界の終焉を”


“光の子は心を閉ざしました この世界に絶望して”



ソフィアス様が一つ一つ呟きました。


「なんです?それは」

「教会の聖書の『終末の宴』の項に書かれている予言の言葉なのだ」

「あぁ、その言葉が記されているから光の子は危険なもの扱いなんですね。けど、なんで民間の人には浸透していないのです?光の子は珍しくて重宝するから引く手あまただって」

「予言の言葉が見られる聖書は城の教会にしか無いのだ。一般向けのとは違うのだ」

「つまり、聖書の中身は王族の判断で一般市民に隠している箇所があるという事ですね・・・」


ぼーっっとしながら、顔を上げ、手の届かない位置にある鉄格子の窓に目をやりました。もう夜なんですね。月の光が優しく差し込んできます。あの鉄格子、ジェシーなら余裕で壊せそうですね。

そうだ!!

私は小鳥ちゃんのご両親から頂いた笛を取り出し、吹いてみましたが音が鳴りませんでした。これも、使えなくなっているんですかね。

指輪もくすんだ色になっており、シャイニーとの対話も出来ません。


はぁ・・・。何度目かの溜め息をついた時に、鉄格子の向こうから声が聞こえてきました。


“どうしました、光の子よ”

「小鳥ちゃんのご両親!あのですね・・・ゴニョゴニョ・・・」


小鳥ちゃんのご両親が来てくれました!あの笛、壊れていた訳では無かったのですね!

私は鉄格子の近くに行き、ここに捕らわれている経緯を説明しました。


“そうですか・・・。光の子になんて事を・・・わかりました。我が子とタマタン2匹を見つけ次第保護します”

「宜しくお願いします。くれぐれもお気をつけてくださいね!」

“承知しました。光の子、あなたもご無事で”


これでよし、と。私がホッとしてその場に座り込むと、ペタペタという足音が聞こえてきました。

ひぃっ!暗い地下牢に、ペタペタという足音って・・・。もう怖い想像しか出来ません!全身真っ白な男の子とか出てきたらどうしましょう!

今回もお読み下さり、ありがとうございました┏○ ペコリ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ