愛の馬鹿力
「なっ!?この鼻血は一体何なの!?」
「知らないんですか?ソフィアス様のこの鼻血はソフィアス様がこの世で一番愛している人がキスした時にしか出ないんですよ」
ふふふ。ソフィアス様の鼻血を浴びるのはもう何回目になりますかねぇ。私は暴れるソフィアス様に負けじと抱きついたまま離されないように耐えています。
「うがっうわぁぁぁ!!」
ソフィアス様が私を振り払おうと抵抗しています。私の背中や腕がソフィアス様の手によって引っかかれたり殴られたりしますが、そんなのへっちゃらです。好きでもない女を好きだと無理やり言わされてるソフィアス様の心のがずっと痛い筈です。
「落ちっ着いてっ、ソフィアス様!ぐっ・・・もう大丈夫ですよ」
「うぐっ・・・がはっ・・・!」
「うっ・・・ソフィアス様、ソフィアス様が一番大切な人は、誰ですか?」
「ペルッセポネ・・・様っ・・・グッ・・・ちがっ・・・」
ソフィアス様の目から涙が溢れています。抵抗する力も収まってきました。
「な、何をやっているの!ソフィアス!早くその女をやっちゃいなさい・・・。あぁ、そうね。手伝いが必要かしら?」
ペルセポネは、そう言うと黒い小さなコウモリみたいな動物をけしかけてきました。50匹は居そうです。コウモリみたいなのは、一斉に私の頭や背中を爪で引っ掻いてきます。くっ・・・幸いなのは私だけを攻撃してくる所ですかね。ソフィアス様には攻撃しないので、まだ気持ち的に耐えられますよ。
「うっ・・・。ソフィ、アス様っ」
「ハニィ!!なんて、卑怯なんだ!」
「ほらっ、ほらっ!まだまだ出てくるわよー♪」
アミュールさんがムチでコウモリを追い払ってくれている様ですが、ペルセポネが次々とコウモリみたいなのを召喚してきます。
「リリー・・・!あぁ、見てられないわっ・・・」
「ジェシーさん、俺が気を引くから・・・ボソボソ」
「リジットちゃん!うん、うん。わかったわ!!」
バシュッバシュッ
この音は、リジットさんの銃の音ですかね?いてっ!いててっ!流石にHPも徐々に削られてきています。やべぇ。かも知らないです。
「いやぁあぁ!ちょっと何すんのよ!!は、離しなさいよ!」
「おとなしく観念しなさい!!アンタ虚しく無いの!?自分の事好きでもない相手に無理やり好きだと言わせてみたり」
「いいじゃない!好きだと言ってくれるなら。私の術は私が解くまで絶対に解けないんだから。その男は一生私を愛してるって言うのよ!アハハハハッ」
「ふーん、そう。じゃぁこのままアタシの腕に抱かれたまま、どうなるかを見てなさいよ」
ジェシーがペルセポネを拘束している様ですね。おかげさまでコウモリみたいなのの一斉攻撃が無くなりました。
「ソフィアス様、怪我は、無いですかね?」
「あ・・・、あ・・・あがっ・・・」
「無理しないでください、と言いたいとこですが、いい加減目を覚まさないと嫌いになっちゃいますよ?」
「ふぐっ・・・・・・!リ・・・リ・・・シュカ」
「!?そうですよ。貴方の大事なリリーシュカですよ・・・」
ソフィアス様の抵抗が無くなりました。今彼も戦っているのでしょう。口の端に血が滲んでいます。
「リリー・・・シュカ・・・うぅっ!リリ、シュ、カッ」
「はい、ここに居ますよ」
「ウガァァァァァッ!!」
「ソフィアス、愛してる。チュッ」
ブッシャァァァァァァァ!!
「ね、ねぇハニィ。それ、大丈夫かなぁ?ソフィアス様別の意味でヤバイんじゃない?ひぃ・・・」
私がソフィアス様にキスをしたら鼻血が止まらなくなりました。
そして、ソフィアス様に変化が現れました。私の背中をギュッと抱きしめてきました。
「リリーシュカ・・・、リリーシュカ!!」
「ソフィアス様、私の事、好き、ですか?」
「リリーシュカ・・・ハァハァ・・・」
「ぐすっ・・・。誓ったのに。皆の前で誓ったのに。ソフィアス様の私への愛はその程度だったんですかぁぁぁ!?うわぁぁぁぁぁぁぁん」
「リリー・・・シュカ。泣かない・・・で。グゥぅッ」
「泣かせているのは、ソフィアス様ですっ!ヒック」
「うぉぉぉぉっ!!リリーシュカァァァァァァッ!!!」
「ソフィアス様・・・!?」
「リリーシュカ!リリーシュカ!ごめん、ゴメンなのだ!こんなボロボロになって・・・」
ソフィアス様が、戻ってきました。私を強く、強く抱き締めています。ホッとしたら力が抜けてきました・・・。
「リリーシュカ!?」
「ソフィアス様、私を愛していますか?」
「愛しているに決まっているのだ!!」
「嬉しい・・・私も愛しています」
「なっ、何でよ!?なんで?私が解かないと術は解けない筈なのにっ!いやよ、いやぁぁっ!!」
「私はリリーシュカしか愛せないのだ。無理やりアンタを愛していると言わされて苦痛しか無いなのだ」
「知らないの?愛の馬鹿力ってやつを。つまり、人の恋路を邪魔するやつは馬にけられてなんとやら、よ」
「ひっ・・・!あぐっ・・・!!」
ドサッ
ジェシーがペルセポネの首を圧迫してオトしました。(良い子は真似をしないでね)
「ウンディーネ・・・、ヒールレイン・・・」
私は薄れゆく意識の中、とりあえずヒールをつぶやきました。
今回もお読み下さり、ありがとうございました┏○ ペコリ
昨日の更新に間に合わなくて、すみませんでした!