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リリーシュカVSソフィアス

『ソフィアスがパーティーから抜けました』


ステータス画面に表示されたメッセージです。これでは天界製防犯ブザーによるパーティー召集も不可です。


「えー、と何が起きたのでしょうか?」

「ちょっと、リリー!しっかりなさい!坊やが(さら)われたのよ!」

「ハニィ!何かの間違いだよね?ソフィアス様がハニィ以外の人を愛してるなんて!!」

「リリーシュカさん・・・」


あはは。皆何でそんなに焦っているんですか?ソフィアス様が好きなのは私ですよ?だって、結婚式の時に誓いましたもん。私を生涯愛するって。だから・・・。


「ハニィッ!!」


アミュールさんが私を抱き締めました。


「大丈夫、大丈夫だから・・・。きっと何か術をかけられてるんだよ。ね?泣いちゃダメだよ・・・」


私はいつの間にか涙が出ていた様です。

出逢ってからずっと、ずっと一緒だった。一国の王子(しかも長男)だというのに、私の冒険に付き合ってくれた。いつも、どこでも私を一番に考えて大切にしてくれたのに。


私はソフィアス様を大切にしてた?


いつも、本心を口に出すのが恥ずかしくてぞんざいに扱ってしまった。ソフィアス様なら許してくれる。そうやって甘えてばかりで。


私はソフィアス様に何をしてあげてた?


「まだ・・・、まだ何もしてあげられていないです。大切に出来ても居なかったです」

「・・・ハニィ?」

「だから・・・。取り返しに行くです!!」


私は服の袖でグイッと涙を拭いました。

光の魔法が使えず、向こうにはソフィアス様が捕らわれている。

圧倒的に不利な状況だけど、面白いじゃないですか。受けてたってみせますよ。私は虹の子になって、ごりっごりに凝り固まった思考で綺麗な夢の中に居るおっ様の目を覚まさせてやるんです。それにあのペルセポネって女性(ひと)ソフィアス様(私のもの)に手を出した落とし前はきっちりつけさせて頂きますよ!!


「・・・ねぇ。アミュールさん。さっきの女性ボンキュッボンでしたよね・・・」

「えっ?あ、うん」

「ツルッストンストンは・・・ダメですかね?」

「そっ、そんな事は無いよ!ね、ねぇリジット?」

「(こっちにふるなよの目)俺は、そういうのはわからん」

「リリーってば。何しょーもない事でクヨクヨしてんのよ。前に坊やは外見がリリーシュカでも中身が違ったらリリーシュカじゃないって言っていたじゃない。逆も同じよね。中身がアンタでも、身体が違えばアンタとは別物。坊やは魂と身体セットでアンタを愛してるんだから自信を持ちなさい!」

「ジェシー・・・」

「そうだよ!ハニィはもっと自信を持っていいんだよ!」

「アミュールさん・・・。よーし」


私はアイテムボックスからソフィアス様人形(ばぁやさん特製新郎Ver.)を取り出しました。

壁に向かわせると、赤い点と少し離れた所に青い点が表示されている地図が映りました。


「えっ、何これ?ソフィアス様ソックリ!」

「これはソフィアス様が持っているリリーちゃん人形と対になっていて、こうして片方がどこにいるかわかる様に探知機が搭載されているんです」

「へぇぇ。遠くには言ってないみたいだね」

「多分、ここ闇の神殿ですよね」

「そうね。とりあえず先に進まなくちゃダメね」

「はい。では、行きましょうか」


私達はソフィアス様人形の地図を頼りに闇の神殿へと向かいました。


先程の場所から少し歩いた場所で私は皆に新しい魔法、“癒やしの風”を数回重ねがけしました。癒やしの風は水と風の合体魔法で、オールヒールの半分の効果があります。


そして、更に歩く事数分。神殿らしきものが見つかりました。

神殿らしき建物に近づき、ドアを開けました。中は意外にも普通の神殿です。


「あら、もう来たの?やぁねぇ。野暮な人達ねぇ」

「ソフィアス様!」

「ソフィアス、私にキスをしなさい」

「はい、ペルセポネ様の意のままに」


ソフィアス様はなんの躊躇いも無くペルセポネにキスをしました。はっ!?何で・・・。


「ソフィアス様っ・・・!!」

「うふふ♪これでわかったでしょぉ?さっさとお家に帰りなさい」

「嫌です!ソファ様を返してください!」

「聞き分けの無いこどもねぇ。それじゃぁ、力尽くで奪ってごらんなさい。ソフィアス、お相手してあげなさい」

「了解しました」


ソフィアス様が私達に向かって剣を抜きました。


「ソフィアス様!」

「坊や!しっかりしなさい!!」


ソフィアス様が切りかかってきました。すかさずアミュールさんがムチでそれを弾き、なんとか避けました。くっ、何かないでしょうか。ソフィアス様に近付く方法・・・。

・・・一か八か。速度的には問題無いはず。


「皆さん、もしもの事があったら、フォローをお願いしますね」

「ハニィ?」

「リリー、何をする気!?」

「ちょっと、旦那様の目を覚まさせに行ってくるです」


ソフィアス様が、次の一撃を繰り出した瞬間、私はソフィアス様に向かって走りました。


「この、アホーッ!!他の女にくっつくなぁぁぁぁぁ!!!」


ソフィアス様が剣で攻撃をするより早く、私はソフィアス様に飛び付き、思い切りキスをしました。


「消毒だこのやろぉぉぉ!!目を覚ませええぇ!!グスッ」

「う・・・、うぅ・・・リリー・・・うわぁぁぁ!」


3、2、1


ブシャァァァァァァァッ


ソフィアス様からほとばしるおびただしい量の鼻血。

うん、良かった。ちゃんとソフィアス様は今も私だけを愛してくれています。

今回もお読みくださり、ありがとうございましたm(__)m

11/16誤字を修正しました!すみませんでした!

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