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おっ様

ソフィタンを見せながら、私はソフィタンがキノコだと言うことと、ソフィアス様の汗から産まれたことを説明しました。


「キッ・・・キノコなのだ?こ、こんな可愛い子がキノコ・・・」

「だぁぶぅ〜!リリシュカ♪」

「喋るの!?凄いね!」

「一週間くらいで大人になるそうですよ」

「な、名前は・・・どうするのだ?」

「ソフィアス様に似たタマタンで、ソフィタンはどうですか?」

「それは絶対に嫌なのだ!!」

「えー、可愛くないですか?」

「リリーシュカの名前も入れるのだ・・・リリ・・・リリアスが良いのだ!!」

「リリアス・・・。あー、じゃ、まいっかそれで」

「お前はリリアスなのだ」

「リリアシュ♪」

「小鳥ちゃんはお兄ちゃんですね」

「ピャァ♪(嬉しい)」


小鳥ちゃんとタマタン、今まで共存できたから大丈夫ですよね!


「ところで、調査の方はどうですか?」

「私はまだ見つけてないけど、リジットが何か見つけたみたいだよ」

「本当ですか?」

「これだが・・・」


古ぼけた若草色の表紙の本です。表紙には世界の神殿と書かれています。

興味深い一文が目に留まりました。なんでも、グリーンアースの神殿はゼウス様が祀られているのですが、唯一違う神が祀られているのが闇の神殿だそうです。その神の名前はハデス様。ギリシャ神話ではゼウス様のお兄さんだったと思いますが・・・。

闇の神殿の場所は・・・!!え・・・!?


「ソフィアス様!!これっ!!グリューンヴェルデ城の裏の浜辺、星が浜の洞の隠し通路から行けるって書いてありますけど、知ってましたか?」

「い、いや、知ってたら真っ先に言うのだ!」

「ですよねー・・・。おっさんは知っていたのでしょうか。いや、知らないはずがないんですよね」

「まさか・・・いくら父上でも知っていたら教えてくれるのだ」

「いえ、敢えて(・・・)教えてくれなかったのだとしたら・・・?」

「なんの為になのだ?」

「多分、私達を試しているのではないでしょうか?旅をして、アミュールさんとリジットさんに出会い、ファルシやマリーメリーの我が家の存在を知り、その問題をどう対処するかとか。おかしいと思ったんですよね。こんな大きな問題をおっさんが見ないふりをしてきた事を」

「見ないふり・・・」

「多分、ソフィアス様、ファレル様、ニーヴェン様のどなたかがこの問題を解決するようにわざと対処してこなかったのではないかと思うんですけど・・・。王座を継承した際に、完璧な世界をくれてやる気はないって事じゃないでしょうかね」

「ハハッ☆リリーちゃんはワシの事買い被り過ぎじゃ」

「お、おっ様!!」


やべっ。おっさんと言おうとして慌てて王様と言い直そうとしたらおっ様になってしまいました。


「ワシがマリーメリーの我が家の補助金を見送ったのはバランス調整の為じゃよ」

「バランス・・・ですか?」

「そうじゃ。教会では、“こどもは実の親か血縁の元に”っていう教えがある。孤児院に居るのはその教えを無視した愚かな親の血を引く子供じゃ」

「違います!!ご両親を亡くして仕方なく連れてこられた子だって居ます!」

「では、その子を連れてきたのは誰か?・・・その子の血縁者じゃよ。何故その子はマリーメリーの我が家に連れて来られたのか。そこに行けばこどもを捨てられると考えたからだろう。よって捨て子の温床になる施設への補助金支給には至らなかったという訳じゃ」

「この世界のルール・・・ですか?この世界は綺麗なものだけあればいいって事ですか?排除されてしまった人は汚い物扱いですか!?」

「そうじゃ」

「なっ!?何を・・・っ!」

「神はグリーンアースを綺麗なもので埋め尽くされた幸せな星にしたいのじゃ。捨てられたこどもの為に支援したとして、マリーメリーの我が家の規模が拡大する。そして少しずつマリーメリーの我が家が全国に増えていく。そうなった場合、マリーメリーの我が家にこどもを捨てに来る親が増えるであろう。それは教会の教えに背くものが増える、という事じゃ」


くっ。このおっさんの言うことも一利ある・・・一利あるけど、そんな完璧な世界なんて無いですよ!教会の教えが絶対的なルールって。


「リリーシュカちゃん!もういいよ。もう充分だから。私とリジットが今までみたいに稼げばいいんだし!」

「アミュールさん。でもこれじゃ根本的解決じゃぁ・・・」

「いいの。だからそんな事よりさっき見つけた資料の所に行こ」

「・・・わかりました。でも、“そんな事”じゃないですからね」

「ふぇ・・・!ふぇぇぇぇぇ・・・ん」

「こ、これは・・・まさかワシの孫か?」

「そうと言えばそうなのだ」

「とりあえず、おっ様。この子見ててください。私達は闇の神殿に行ってきます」


孤児院問題は一筋縄ではいかなそうですね。

私達は無言で星が浜を目指しました。ジェシーには通信で連絡したので現地集合です。今は一刻も早く力が欲しい。虹の子になれば何かが変わるかもしれません。


でも、どうしても教会の教えの通りに動く人しか居ない世界が“綺麗なもの”だとは思えませんでした。

今回もお読みくださり、ありがとうございました┏○))ペコッ

今日も更新が遅くなってすみませんでした。

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