ギルド登録
「すみません、今持ち合わせないので出直します」
「あらあら、何か事情があるの?そんなに高い金額ではないのだけども」
「えっと、あの~旅をしておりまして、こちらの国のお金がまだなくて」
「女の子一人で旅かい?」
「え~と、実は家が貧乏で!自立しなくちゃいけなくて」
「あらあら、それは大変ね…う~ん 女の子一人野宿させるのも気が引けるわね…」
そういってしばらく悩んだあと女将さんが
「そしたらそこのギルドで仕事を受けて来なさいな、その仕事を受けた紙を私に見せてくれたらツケにしてあげるわ」
「ほんとですか!ありがとうございます」
「宿代も安くしてあげるから、その代わり宿の仕事手伝ってくれるかい?」
「もちろんです!」
咄嗟とはいえ嘘をついたことに良心が痛む。
それからギルドに向かう途中。
「お前は何を気にしておる、お前は悪の幹部じゃぞ」
「ピィー!」
「まあ、そうなんですが」
「まだ小物よの~」
「まだ半人前だからしょうがないじゃないですか!」
「情けないの~それよりもお主さっきから一人で喋ってるから周りから白い目で見られてるぞ」
「え!?」
確かに周りの視線が痛いことに…
「すみません、この子と話てて…」
まるで電車の中でイヤホン設定にしわすれて大音量で戦隊ムービーを見たときみたいに冷や汗をかいてギルドへと逃げ込んだ。
「いらっしゃいませ」
ギルドの中につくとそこは銀行のような窓口が3つほどあり、女性職員さんがそれぞれの窓口で対応していた。
「すみません、あの仕事を受けたいのですが」
「はい、ではこちらの窓口へ」
スカイブルーの服に身を包んだショートカットの女性が手を振っている。
「宜しくお願いします」
「それではギルドカードの提示をお願いします」
「ギルドカード?あの初めてなんですが」
「そうなんですね、そしたら新規発行ですね」
「あの~すみません手数料とかは…」
「いえ、国に貢献して頂きますのでそういったものは掛りませんよ」
「良かった」
「ほんとに初めてなんですね」
「ええ、田舎から出てきたので」
「そうなんですね!私もなんですよ、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
「では、基本情報を登録しますのでこちらの筒に手をいれてくださいね」
「これですか?」
「はい、こちらで魔力の測定を行い個人認証致します」
「魔力ですか…あるのかしら」
「大丈夫ですよ、うまれた時から多かれ少なかれ魔力はありますから」
「そうですか…」
私ここ生まれじゃないけど大丈夫かしら?
そう思いながら筒に手を通すと筒が紫色に光出した。
「お!珍しい黒属性か…そう言えば珍しいモンスターが肩にいるとこみるとテイマーかしら?それなれ納得できるわね」
「黒属性?」
「えっと、もしかして属性とかわからなかったりします?」
「すみません、田舎者で」
「いえいえ、気にしたらダメですよ!そうなんですね、私よりも田舎で育ったんですね…大丈夫ですよ」
そういって何故か慰められる…若干心が痛いです。
「この世界には自然5種「青 赤 黄 緑 茶」 と 大気2種「白 黒」の7つの属性によって成り立っているの」
「そうなんですね」
「青は水、赤は火、黄は雷、緑は植物、茶は土この5つが自然を司る属性としてメジャーな方ね、それとは別に大気と言われる自然とは別の次元で存在するのが白で光、黒は闇を司っていて結構レアよ」
「そうなんですね、ご丁寧にありがとうございます」
「いいのよ、田舎者同士何かあれば何でも相談してね」
「助かります先輩」
「先輩なんてよしてよ、エヘヘ」
OLで鍛えた!能力を発揮!
「えっとこれで個人承認は出来たから、腕を抜いて頂戴」
「はい」
「初めはEランクからよ」
「ランクがあるんですね」
「ええ、E~Aランクそれ以上になるとマイスターという別クラスになるわ」
「そうなんですね」
「最後に名前教えてくれるかしら」
「えっとマオです」
「マオっと…珍しい名前ね…はい、じゃあこれギルドカードね」
そう言って渡されたのはブレスレットだった。
「これがギルドカードですか?」
「うんうん、そのリアクション久しぶりに見たわ」
「へ?」
「真ん中の水色のボタンを押してごらんなさい」
言われた通り押すと…
ブーン
ブレスレットの上にカード型の液晶みたいなものが現れた。
「すごい!」
「でしょでしょ、今じゃ当たり前になってるけど最先端技術なんだから」
「すごいです!」
そうだ、仕事も受けないといけないんだった。
「あと、すみませんお仕事も受けたいんですが」
「そうなのね、ちょっと待ってねEランクでも受けれるのは…Eランクは今なさそうね、今年は新人が多いから」
「そんな…何かありませんか」
「いや~あることはあるんだけど」
「何でも良いですから」
「ランクフリーのだけどコレはお勧めしないわ」
「仕事受けないと野宿なんです」
半ば強引に受けた仕事は街のゴロツキの掃討だった。
ギルドを出て宿に向かう途中。
「ゴロツキの討伐か~」
「なんじゃ、なんぞ問題でもあるのか?」
「総帥!いきなり喋り掛けないで下さい」
私は慌てて周りを見て誰も居ないことを確認する。
「なんじゃ、小心者じゃの~」
「白い目でみられるのが嫌なんです」
「はははは、それでゴロツキの討伐になんぞ問題があるのじゃ?」
「だって、ゴロツキなって事情があるとおもうんですよね、悪を悪だから討伐するってなんだかな~」
「まったく、そんなことを気にしてるようじゃまだまだ小物じゃ」
「どうせ小物ですよ~」
そんな話をしながら宿へ向かった。