表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

従業員が増えました

喫茶アンズ。猫好きが集まる素敵な喫茶店。

しかし全ての客が猫好きとは限らない。

人気がうなぎ登りのこの店を気に入らない厄介な輩が来ることも…。



「ああ!?肉も置いてねぇのかこの店は!」

「さ…魚ならあるニャ」

「はぁ!?猫どもが調子乗ってんじゃねぇぞ!?」

「うぅ…、イオリー!」


僕に助けを求めるアンズ。


その客は言動が荒いだけでアンズ個人に何かしようとしている訳では無い。

つまり猫の王の力は発動しない。

助けを求められてもどうしたものか。


というか、良く見るとその客も猫族ではなかろうか?

斑点模様の髪に猫のような耳、少し太めな尻尾。

手足にも斑点模様の毛皮があるようだ。


猫族と違うのはその大きさか、普通の人間よりやや大きい。

ただ大きいだけでは無くスラッとしたモデル体型、しかしそれでいて筋肉が付いている。

それで顔もイケメンなのだから羨ましい。

猫科獣人は基本的に美形なのか?


こっちは可愛いオス三毛だと言うのに…。

僕もどっちかといえば格好いい方が良かった。



「イ…イオリィ…」


あ、だめだ。アンズが限界だ。

役に立つかは分からないがとりあえず行くしか無い。


「はい、お客様、どうしました?」


近付いて分かった。この毛皮の模様には見覚えがある。

大阪のおばちゃんが好きなあの模様だ。


「どうしたじゃねぇんだよ、肉持ってこい!さっさとしねぇと猫ども食い荒らすぞ」


本気では無いだろう、猫の王の力が発動しない。


「同じ猫科の仲間でしょう?穏便にいきましょうよ」

「あ!?俺に指図する気か?…まぁ、でもどうしてもって言うんなら」

…ん?何故か少し譲歩した?



「おーにゃ!ふせにゃー!」


突然後ろから声が聞こえて身を伏せる。

すると僕を飛び越えて小柄で真っ黒な…猫…人?

何故か室内で雨合羽を着込んだ黒い猫人が豹の獣人へと飛び掛かる。


その手にはガラスの様に透き通った美しい剣が握られていた。

幅の広いその剣がキラキラと光を反射する。


大きく振り抜いたその剣はいともたやすくガードされる。

豹の獣人が机にあったフォークで驚くほどあっさりと防いでみせた。


しかし次の瞬間それこそが黒い猫人の狙いだと判明する。


ガラスの様な剣では無い、正にガラスだった。

砕け散ったガラスの剣は細かい破片となり豹の獣人へと降りかかる。


「んな!?いてぇ!あ、くそ、チクチクする!服の中が!うあ!毛にも絡んでやがる!」


動けば動く程に身悶える。

なるほど、それで雨合羽。自爆防止だったのか。


黒い猫人は柄だけになった剣を背中の鞘に納めると再び抜刀する。

その柄には新しいガラスの剣が装着されていた。

どうやら鞘の中に替刃があるようだ。



「テル!良くやった!後は俺に任せな!」


遅れてやってきたリザードマン、カブト。

僕はそのカブトを静止する。


「待って!荒事はここまで!」

「お、おお…。旦那がそう言うなら」


身動きの取れない豹男、こっちにはリザードマンがスタンバイ。

形勢は有利なのだから無茶をする必要はあるまい。


「ところでその猫人は?」

「ああ、今日からうちの売り子になったテルだ。どうせなら戦える奴が良いと思ってな」

それでも猫人を選ぶあたり流石はカブト。

「まぁ、実際に荒事は起きるみたいだし、それは納得」


「おーにゃ、にゃーからよろしゅーにゃ」

「え、えーと。よろしくね。あと人前ではイオリって呼んで」

「にゃーにゃったにゃ。いおにゃ」



で、だ。問題はこの豹男。

未だにガラスの破片と格闘中だ。


「猫嫌いみたいなのに何でわざわざうちに?」

「あ!?てめぇに関係ねぇんだよ!」

「テル、もう一発」

「待て!これまじでキツイ!」

「じゃあ教えて。なんでわざわざうちに?」

「…雇われただけだ。店の評判落としてこいってな」

「誰に?」

「ライバルになる飲食店なんてたくさんあんだろうが」

「どこの…って、まぁいいや。切りが無さそうだ」


「イオリ、そいつどうするニャ?」

「ん、ちょっと考えがあるんだ。豹って言っても猫の仲間なんだし、イケメンだし、うちでウェイターやってもらえないかなって」

「…イオリはバカなのかニャ?」

「辛辣なお言葉ありがとう…、でも女性客増えそうじゃない?」

「すでにイオリ目当ての女性客が…って、論点がちがうニャ!」


「そうだぜクソ三毛。頭涌いてんじゃねぇのかおまえ」


まぁ、豹男の言う事ももっともだろう。

普通はそう思うだろう、しかし僕には勝算があった。

さっき確信した。僕の命令権はこいつにも効いている。


「おすわり!」

「あ!?殺されてぇのか!」


悪態をつきつつもその場に行儀よく座る豹男。

廻りに居た全員が呆気に取られる。

しかし一番驚いていたのは豹男本人だろう。


「いてぇ!ガラスでいてぇのに体が勝手に!てめぇ、何しやがった」

「今後いっさい猫、猫人、猫族を害するな」

「てめぇ何言ってやがる!分かったぜ!」

「今後は猫、猫人、猫族が危険な目にあっていたら助けろ」

「ふっざけんな!任せろやぁ!」

「うちでウェイターとして働け」

「やるわけねぇだろ!何時から何時までだ!」


「ニャ?ニャ?どうなってるニャ?」

「猫への命令権だよ」

「ええええ!?そいつ猫じゃないニャ!」

「でも、猫の仲間だよ。ばっちり効いてるしね」

「イオリの命令権は異常過ぎるニャ…」

「こいつが依頼主裏切ってこっちに寝返った事が知れ渡ればうちにちょっかい出す輩も減ると思うんだよ、最初の奴が猫科で良かった」


「あ、そういえば豹男の名前知らないや。名前教えて」

「…シグレ。あと俺は豹じゃねぇ、ジャガーの獣人だ」

「いや、違いが分かんない」

「ジャガーの方がでけぇ、それにつえぇ」

「つまり大きい豹?」

「ちげぇ!」

「これからよろしくね」

「ざっけんな!よろしくしてやんよ!」



シグレの最初の仕事はガラスの破片掃除だった。



テルは昔から設定だけはありました、だから少しディテールの細かい装備をしております(笑)

剣の名前はグラスハート。まぁ、作中で名前出さないかもですが。

テルの名前はテルテル坊主から(笑)

ジャガーの方は雨の神とされることもあるため雨にちなんだ名前。

両方雨ですね(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ