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最後のあなたへと  作者: 虎ゐ津
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学生時代のぼくら


" 僕が家で本を読んでる毎日と、きみがどこかに出掛けて嬉しそうに帰ってくる毎日が、続けばいいのに。"

たまには文庫本以外も悪くないなと、ぼくがずっと小さい頃から書いている日記を読み返してみた。


僕が中学の時だった。

人並みより少し勉強ができた僕は、特に将来したいこともなかったから適当に公立の共学校に受験し見事受かった。僕の人生はこんな平凡でも幸せだったと思う。

そして、僕は高校生になった。

クラスでは列の後ろの方の席になった。もとから目が悪い僕は中学の時の眼鏡を外しコンタクトを付けて高校を過ごした。いわゆる、高校デビューである。顔もそこそこだったらしかったので、コンタクトを付けているとかなりの女子にモテた記憶がある。バレンタインには食べきれないほどのチョコレートやお菓子類を貰ってクラスの男子に冷やかされた。自分から人と接するのが得意じゃない僕だったけれど、周りが優しくしてくれたからこれでも幸せだった。だけど、ある日だった。

転校生が来た。すごく美人で目が楽しげで、髪の先からも彼女の楽しさが伝わってくるほどに元気な彼女が。

それから僕は彼女に夢中になった。他の女子にはちやほやされるのに、彼女だけは僕を友達としてしかみていない感じだった。なぜなら月に2回くらい買い物の荷物持ちをされたり、家がそこそこ近かったので彼女のゲームの相手をしたりだったからだ。でも僕はそれでよかった。彼女の友達として僕をそばにおいてくれて、僕の高校生活はそれから華が咲いているようだった。

「ねぇ〜慎太郎!!」

彼女が僕の名前を呼ぶ。

「ん、どうしたのさ」

「明日さ…暇?」

「別に暇だけど」

「じゃ、じゃあさ!!ちょっと買い物付き合ってよ…」

またいつもの荷物持ちだろうなと思って僕はその次の日、彼女に付き合った。


僕は待ち合わせ時間より15分早く着いた。僕は早く着いていつものベンチで本を読むのが好きだった。もちろん、彼女は待ち合わせ時間より遅く来るのが通常だ。あと15分は本を読めると思っていたら、その時彼女は現われた。

「よ!!!慎太郎!なんだよ、今日はせっかく早く来たのにぃ〜〜…」

「僕はいつもこのぐらいだよ、秦野が遅い!ま、今日は早かったみたいだけど〜?」

「いつも待たせてるから早く来てみただけだし!!ほら行くよ!立て!」

「はいはい、」

その後の僕は完全に荷物持ちになり、あっちやこっちやと連れまわされた。流石に荷物持ちでついていったとしても流石に何もしないのは悪い気がしたので、僕は彼女の好きな喫茶店のコーヒーを奢った。

「ほらよ、好きだったよな?ここ」

「うおおおおー!!まじでかぁ!ありがとーー!」

彼女にコーヒーを渡すなり、満面の笑みで喜んでくれた。なんかこの笑顔見ると心がポカァっていうかなんていうかあったまるんだよなぁ…、あ。僕はその時気づいた。彼女が転校してからなぜ僕の高校生活に華が咲き始めたのか。

僕は彼女が好きなのか…。

「なーに見てんのよ!口についてる?」

ついボーッとして彼女の顔を見てしまっていたみたいだ。

「あぁ、ごめん。何も」

「そ、ねぇ、最後に寄りたいとこあんだけど。付き合ってよ」

「今更なにを…。今まで付き合ってきただろが!!どこだよ」

「おお!ノリいいね、よし行こ!」

すごくウキウキしてるようで良かったけど、僕の両手には相変わらず大量の買い物がぶら下がっている。

「重いなぁ…」

「ん???なんか言ったかぁ?」

「いや、べ、べつに…」

やばい。聞こえてたみたいだ。


彼女が最後に付き合えといった場所はなんてことないただの河原だった。もう随分日は下がり、川はオレンジに染まっていた。

「こんなとこになにしに来たんだよ」

「んーとね…」

彼女は言葉を詰まらせる。なんだ?なんなんだ。

「…よし!言うよ…」

彼女は深呼吸する。

「私は…慎太郎が…」

ぼ、ぼくが…??

「好きです…!!」

…ん??

「え??」

「だから好きだって言ってんの!!!つ、付き合って下さい…!!」

ぼく今、心臓動いてるかな。

「ほ、ほんとうなの…?」

「何度も同じこと言わせないでよ…返事は?まぁ…今じゃなくてもいいけど」

ぼくの答えは一つだ。でも口にうまくできない。

「んと、う。うぇ?」

変な声まで出る!!!む、難しく考えずに…。

「ぼくも秦野のこと、好きだ、だから…ぼくからもお願いしたい!!」

「嘘でしょ…?」

「ぼくも秦野と付き合いたい」

「嘘みたい!!!もちろんよ!!!」

そう言って彼女はぼくに抱きつき、

「大好きだわ!!!」

それを聞いてぼくは

「ぼくも大好き」

と返してぎゅっと腕に力を込めた。


それからぼくたちは付き合い始め、ぼくの学生時代は終わる。

日記を閉じ、デスクの棚の脇にしまうとちょうど秦野が帰ってきた。

「ただいまぁ〜!!」

「おかえり、どうだった?」

「んも〜…楽しかったぁ!!あのね!あのね!!!あそこに〜……」

また今日もぼくは秦野の話を聞く。

あまり慣れないもので短い本文ですが、次から長くしていきます。

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