第5章 ファンレター
ファンレター
二学期が始まると、僕たち野球部はちょっとした人気者になっていた。
ガッツで行こうの放送が何度かあり、それを見ていた奴らの反響は多きかった。
教室では、B6ってどんな感じだとか、サインもらってとか、ひどい奴はギャラでるんか?とか、質問責めだった。
一方では、こいちゃんの事を真剣に応援してくれる奴もいた。
校長は全校集会で、ことのいきさつを話し理解を求め、応援を要望した。
昼休みに監督から集合がかかった。
「これがお前ら宛てに来た」
テーブルの上には山積みされた、手紙があった。
「何ですか?」
「ファンレターや」
みんなはどよめき、自分宛ての手紙をさがした。
100や200じゃない量だった。
やまちゃんは自分宛てのファンレターに大興奮していた。
それはみんなも同じだった。
テレビの威力は凄まじく、全国には色々趣味の奴がいるものだ。
前回放送の練習試合でスタメンに出ていた全員にファンレターはあった。
「お前ら調子のんなよ!主旨を忘れるな!」
監督の忠告している時に、僕はひとつの考えが浮かんだ。
「監督、僕に考えがあるんですが。」
全員が僕に注目した。
ファンレター全部に返事を出す。それもちゃんとしたものを、そして、こいちゃんの応援をしてくれるように書く。
そうやって、全国にこいちゃん応援を広げていく。
どうかなぁ?
「そんなに上手くいくか?」
やまちゃんが言った。
「かなりええ考えやぞ、宇梶!お前、策士やな」
僕の考えは通り、具体的にどうするか話し合った。
文面はマネージャーの河合さんが考え、宛名書きはみんなで分担する事にした。
僕たちはしれているが、こいちゃんの数はかなりあるのだから。
やれる事は何でもやる。ここまで来たらね。