第4章 夢見る熱気
夢みる熱気
B6との待ち合わせは甲子園の駅前だった。
僕たちは学校で集合してから、みんなで向かった。
決勝戦を見れる興奮と、テレビの撮影という緊張感で変な感じだった。
「俺たちに決勝戦見せてどないすんねん?」
れんちゃんの疑問に、斉藤が的確な答えを出した。
「こいちゃんと俺達が、目を輝かせて、興奮する姿が欲しいんやろ」
僕とれんちゃんは、なるほどとばかりに、大きく頷いた。
「決勝戦なんてなかなか見れないから、ええんちゃう。」
こいちゃんの言葉にも、二人で大きく頷いた。
待ち合わせ場所に着いた時には、すでにカメラは回っていた。
こいちゃんを中心に話しは進み、僕たちは甲子園のスタンドに座った。
夏の暑さと甲子園独特の熱気が、僕たちを興奮させた。
決勝戦は、古豪の広島、国領高校対、今大会のダークホースで世間に旋風を巻き起こしている。
佐賀、佐木北高校だった。
僕たちは、みんな普通に決勝戦を楽しんだ。
斉藤が言ったような、欲しい絵は何もしなくても撮れただろう。
劣勢だった、佐木北高校が土壇場で逆転した。
いやがおうでも、盛り上がる。
B6の二人と僕たちは、めちゃめちゃ興奮した。
佐木北高校の逆転優勝で、大会は幕を閉じた。
僕たちは、何が何でもここに来たいと思った。
緒方君が、みんながグランドで試合してる所が見たいと言ってくれた。
山本君は、4ー6ー3を決めよう。俺達も頑張る。と言ってくれた。
僕は、猛烈に感動した。
甲子園の近くで、最後に撮影をして、その日は終わった。
帰りの電車は、れんちゃんが興奮して喋りまくり、斉藤は、冷静に解説をし、僕は感動したと連呼した。
こいちゃんは、甲子園で試合がしたいと、叫んだ。
僕は、明日練習の前にこの感動をみんなに伝えて、勢いをつけようと思った。
練習試合
夏休みもあと一週間となったころに練習試合が組まれていた。
新チームになって初めての試合。
相手は、近くの同じ公立校の山塚高校。
当然、ガッツで行こうの撮影もあった。
「初試合や、思いきりやってこい」
監督から、スタメンが発表された。
僕は一番ショート、こいちゃんは、二番セカンドでスタメン出場だった。
撮影があるのを知ってか知らずか、ギャラリーが多かった。
先発の斉藤は調子もよく、すいすいと投げた。
打線は繋ぎに徹して、得点を取った。
B6の二人も興奮しながの応援だった。
こいちゃんは、打撃ではヒットを放ち、守備では危なげないプレーを見せた。
もちろん、僕とこいちゃんの生きの合ったプレーもあり、テレビでアピールできた気がした。
試合は4対1て勝った。
ガッツで行こうのディレクターさんが、いい絵が撮れたと喜んでいた。
僕たちは試合に勝った事と、うちの高校らしい試合ができた事に満足していた。
「ええ感じやったんちゃうか」
れんちゃんが満足げに言った。
「初試合にしては上出来やな」
斉藤も満足そうだった。
「楽しかったね」
こいちゃんは心から言った気がした。
「秋季大会に向けて頑張ろや」
僕が最後に意気込んだ。
夏休みも、もうすぐ終わり。今年も野球三昧だった。