第10章 暖かい気持ち
暖かい気持ち
クリスマスイブイブとイブは練習は休みになった。
イブイブはれんちゃんとあっくんとカラオケでストレス解消した。
寂しい三人が集まった訳じゃなく、せっかくの休みを楽しもうとしたら集まった三人なのだ。
街はクリスマスムード一色だったけど、それをものともせず三人で楽しんだ。
ただ、明日は三人で会うのはよそうと決めていた。
まぁ、僕はこいちゃんのボディガード的な買い物があるしね。
イブは午前10時に待ち合わせをした。
公開したてのアクション映画を見て、昼ご飯にお好み焼き屋に入った。
「うっちゃんはいつもモダン焼きやな」
「ボリュームあるし、そばもお好みも両方食べれるからね」
二人で映画の内容や色々な事を話しながら、お好み焼きを食べた。
はたから見れば彼氏と彼女に見えるかも?
しかしながら、当人達はまったくもってそんな感じはない。
こいちゃんの買い物は、やはり女の子と言う感じだった。
洋服に小物、迷いすぎだよと思いながらそれに付き合った。
意外と楽しめた。
「うっちゃん、お茶でも飲もか。買い物付き合ってくれたお礼におごるから」
僕達はスタバに入った。こいちゃんは抹茶ソイラテ、僕は本日のコーヒーを頼んだ。
何となくコーヒーをブラックで飲む事が大人っぽい感じがして、カッコイイ気もした。
「うっちゃんありがとうね。」
「どうせ暇だし、誘ってくれてよかったわ」
「違うよ!今日の事じゃなくて、ガッツで行こうの事」
こいちゃんは、僕に今回の色々を感謝し、今まで野球をやっててよかったと言った。
「僕はな、テレビや色んな所で言った事は本心やねん。こいちゃんとずっ〜と野球やってきて、ほんまに思う事や」
ついつい熱弁して恥ずかしくなってコーヒーをぐっと飲んだ。
熱さでびっくりして涙が出そうになった。
「うっちゃんの気持ちほんまにうれしい。目潤んで言うてくれるなんて」
いやいや、これは違うんだけど…
恋愛話しやったら大成功やけど、この場合は恥ずかしいだけや。
「これ、クリスマスプレゼント」
こいちゃんが紙袋を僕にくれた。
思いがけない出来事に戸惑った。
「え、ええの?」
中味はマフラーだった。
「手編みちゃうけどね」
手編みとかそうじゃないとか関係なかった。
おふろ以外から貰うクリスマスプレゼントにかなり興奮していた。
「僕、何にも用意してないは、ゴメン」
何て気の利かない男何だろうと、情けなくなった。
今日はクリスマスイブ。恋人同士だろうがなかろうが、この日に異性と会うのにプレゼントぐらい用意するのが常識だろう。
こいちゃんの笑顔を前に僕はかなりへこんだ。
来年も彼女はできないだろうと悟ったイブだった。