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改稿版 New Life  作者: basi
6/26

第六話

感想でも言われてますが……説明が多いなぁ……

どうやったら説明文なしでも成り立つのか……

 店に入って何か食べてもよかったんだけど、屋台の匂いにやられたぜ。串焼きに揚げ物、なぜかたこ焼きもあった。中身はタコ似た何からしいから正式には違うかもだけど。何にせよお腹いっぱいだ。

さて、道場はマップ表示されているのですぐ見つかった。しかし、この道場というやつは意味がない気がする。

 武器の扱い方を教わってアビリティを覚えたら『皆伝』となり、終わり。え? ちょっと待って。エルファは道場に行くのが基本――と言っていたよな。確か公式情報でも戦闘アビリティは道場でとあったはずだ。こんなにすぐ終わるんなら他の方法にすればいいのに


「キーヴ、今いいか? 俺も道場に行ったんだけど」

 先に道場に行ったであろうキーヴに連絡してみたところこっちの聞きたいことが直ぐにわかったらしい。

「ああ、あれか。俺もエルファに速攻で連絡したよ。そしたら怒られた。早すぎるってさ。俺たちって今成長ブーストかかってるからさ。必要ステータスを満たすのにエルファはあそこで一日潰したらしいぞ。俺は一時間だった。まぁそれはさておき、どうやら道場はほんとにアビリティ覚えるだけの場所らしい。習得条件は要求ステを満たすことと基礎の型を習得すること。でも俺らって別に武術とかしてない奴がほとんどだろ? となると基礎の型とか知らないし。だからそういった基本を覚えるのに必要なんだよ。剣は基本がそんなに難しくなかったから俺は早かったけど、薙刀の奴はブーストあっても半日必要だったらしい。武術習ってるやつはステさえ満たせば十分かからんらしいぞ。そんで使っていくと上位アビリティになってそのうちに《流派》に派生してくんだそうだ。」

 そうだったのか……成長ブーストって素晴らしいな。

「あ、そういえば何か遠距離ようの武器も取ったほうがいいってさ。気づいてない相手に攻撃成功するとアビリティ《奇襲》ってのが出来てかなりダメージ与えるらしい。《気殺》とかの系列で奇襲するのは前から有ったみたいだけどどうやら遠距離でも出来るらしいって。エルファの奴、これは最近出た情報らしいから親切な私が教えてあげるって得意げだったぜ。その後、魔法だとエフェクトとか付いて派手になるから奇襲にならないって愚痴ってたけど」

 へぇ。そんなこともあるのか。キーヴは《投擲》と《ダガー》のアビリティを取ったらしい。

 投擲か。投擲は筋力依存で飛距離と威力が変わるんだそうだ。速度重視だからとりあえずムキムキマッチョ系は目指してない。となると《弓》が妥当かな。そうだ、無手になっても大丈夫なように《体術》も取ろう。受け身とかも役立つだろうし。あ、せっかくだし二刀流も覚えよう。やっぱりロマンじゃん?


 だいたい街中を走り回って買い物とちょっとしたクエストを済ませた。『迷子のお届け』とかお手伝い系統が三つくらい終わった。お小遣いをもらった感じだ。

 今度は飯屋で軽くご飯を取って中央広場のベンチで休んでると、音楽が聞こえてきた。テンポが良く、俺好みの音楽だったので、気になって音の方へ行ってみた。

 ちょうど中央広場の俺がいたベンチの反対側辺に四人の女性がいた。

 二人はリュートを鳴らし、もう二人は踊っていた。特に人も集まっておらず、四人も気にせずに演舞を続けていたが、俺に気づいたのか演奏が止んだ。

「あの、何かご用ですか?」

 リュートを弾いていた女性が声をかけてきた。

「ああ、いえ。俺好みの曲が聞こえたもので。気になって聴きに来ました」

「気に入ってもらえて嬉しいです。実は私のオリジナルなんです。」

 もう一人の女性が話しかけてきた。

 最初に話しかけてきたのがアミさん、その後がメルーサさん。このゲームを始めてから知り合い以外で初めてプレイヤーとの会話だ。なんだか新鮮。

「踊りもオリジナルなんですか?」

「いえ、踊りはスキルなんですよ」

「私達は一応旅芸人ってことで」

 話に入ってきた二人はちょっと目のやりどころに困る衣装だ。踊り子の服っていうのかね? 胸だけ隠したへそ出しルックで超ミニのスカートみたいな物に透け透けのシーツみたいなものを羽織っているだけ。太ももがムチムチって。踊っている時にもついつい目が行ってしまった。露骨には目に入れないようにしていたのだが、相手が回り込んできた。

「そ……うですか。それって《ジョブ》なんですか?」

 男として反応した視線を無理やり外した。女性は結構視線に敏感だし。

「ジョブとしては踊り子と楽士。結構簡単になれるジョブなんだ」

 この子はミュウというらしい。小柄な割にメリハリボディさんです。谷間が……。

「高校の頃からこういうのに憧れてたんですけど、なかなかジョブとして存在するMMOがなくて」

 こっちの子はミリーさん。俺と同じくらいの身長でボンキュッボンではないが、スレンダーでスタイリッシュな女性だ。容姿は中々の美人さんで、無整形かどうか謎だがリアルであったら声をかけたくてもかけにくい女性たちだ。ゲームでよかった。

 俺は女性に自分からはあまり声をかけない。俺の見た目が女っぽいのも手伝って、よくナンパに誘われはする。でも俺が声をかけるわけではない。俺が声をかけても大体が「わたしノーマルだから……」とか言われる。なので俺は女性を安心させるための小道具として誘われる。ってそんな話じゃないな。

 どうやらみんな同級生でもう大学二年らしい。俺より年上だった。てことは小さいミュウ……ミュウさんも年上か。サイズは合法ロリってやつですね、そうですか。

「ダンスなら俺も少しやってたんだけど。そのアビリティって俺でも覚えれます?」

「簡単だよ。《ジャンプ》と《ステップ》を覚えて音楽に合わせてリズム取ると《リズム感》が取れるから。後は音楽に合わせて体を自由に動かすと結構すぐに覚えるよ」

 そう言うとミュウさんがジャンプしたりクルクル回ったり。そのたびに、腰のスカートがヒラヒラ、太股がチラチラっと。そしてたゆんたゆん、と揺れる。プルプルと揺れる。……揺れる。

 どうにか、視線をどうにかそらして、息子を全身全霊かけ静める。

(落ち着け、クールになれ、クールにだ。そう、これはゲームだ。生身じゃない。あの足も、胸もバーチャルだ。グラフィックだ。いくらプルプルでムチムチでも……ムチムチ…………。いやいや落ち着け俺)

 どうにか落ち着けかけたところでミュウさんが視界に回り込んできた。近い近い。

「ちゃんと見てた? 聞いてた?」

 見てました。しっかり見えてましたから。だから離れて! いい匂いするから! ゲームなのに匂いするから! リアル過ぎるんだよ運営。

「ねぇ?」

「見ました、聞きました! 近い! 俺、男だし!」

 やけくそ気味に叫んだ俺は、後ろに跳んで下がったら背中にむにゅっとした感覚が。振り向いたらアミさんいました。しかも

「「「「ええぇ!」」」」

 驚愕の顔で。

 なるほど男と思ってなかったのか。道理で無防備。いや、いつも通りで慣れているけどここまで無防備なのは久しぶりすぎた。力が抜けてへなへなと崩れ落ちた。おかげで息子もへなへな~。制御に成功しました。

《アビリティ《自制心》取得》

 さらに脱力した。このアビリティに関しては取得法……ちょっと嫌。

「ほんとに男性ですか?」

「ホント」

「……整形ですか?」

「天然物デス」

「確かめてもいい?」

「……何するの?」

「剥く」

「良いわけあるか! 変態かアンタ」


 俺を脱がそうとしていたミュウは流石にアミさんに取り押さえられたので、平穏を得ることができた。もうミュウは呼び捨てでいい。なんか敬語とか使いたくないわ。

「えと、それでアビリティはどうします? 取るなら協力しますよ」

「お願いします」

 メルーサさんの申し出で手伝ってもらうことにした。

 言われた通りに体を動かして《ジャンプ》《ステップ》をほどなく取得。そして曲に合わせ適当に踊っていると《リズム感》を取得した。そのままミアさんとメルーサさんに演奏を続けてもらい二曲ぐらい踊ると《踊り》を取得した。それと同時に初めてのジョブ《ダンサー》も取得できた。

 彼女たちが《踊り子》って言ってたから性別によって職も呼び方が違うみたいだ。

 それより今回のアビリティは全て敏捷の成長補正が付いていた。さらにジョブにも敏捷上昇ボーナスと敏捷上昇率に10%プラスの補正が付いていた。速度を重視する俺としては非常に嬉しい。


「それで、ユルさんのやってたダンスってどんなのなんですか?」

「ユルでいいです。年下ですし。無節操な部活でやってたので色々ですね。ちょっと手拍子ください」

 ミリーさんが聞いてきたのでちょっとやって見せることにした。

 ワルツもジャズもやったけど、ひと目でわかりやすいブレイクをすることにした。曲のジャンルもわからないし、リズムだけで踊りやすいし。

 ステップ踏んで割と得意なウィンドミルから入ってネックムーブ。フリーズから体制直してステップを踏みコークスクリューへ、そしてバク転からのバク宙。久しぶりだから体制崩れたけどこんなもんかな?

《アビリティ《アクロバット》を取得》

 あれ? 《アクロバット》? さっきのバク転とかかな? これにも敏捷の成長率補正が付いていた。ラッキーだ。

「ダンスってブレイクダンスしてたんですか」

「いやいや。話聞いてました? 無節操だったので一通りやってましたよ。タンゴとかロック系もやりました。でもたしかにブレイクダンスの頻度が多かったかな。ところで、踊りの効果ってなんですか?」

 取得したけどステータス値上昇させる以外でどんな効果があるのか。スキルがあるってことは何かしら効果があるはず。

「結構色々ありますよ。体力とか魔力の回復率上昇とか、攻撃力上昇とか。後方支援が主ですね」

「なるほど。支援系になるのか」

「あ、でも音楽が無いと効果ないよ? 楽士は音楽だけでも効果出るけど踊り子は単体だと意味ないねぇ」

「うわ、微妙……」

 取ったは良いけど成長させるには効果がないのをひたすら踊るのか。敏捷のためとはいえ結構きついかも。何より恥ずかしい。

「ちょっと成長はさせにくいかな。そう言えば踊り子と楽士ですよね? 戦闘とかどうするんですか?」

 他の人と組んで支援するのだろうか?

「戦闘は私とミリーの役目。見よ、この短剣さばき」

 ミュウがそう言って右手にいつの間にかダガーを握っていくつかのスキルで素振りを始めた。その動きはなめらかでスキルとスキルのつなぎが滑らかでスキが少ない。

「凄い……綺麗な動き。でもミュウがやってると何かむかつく」

「なんだとー!」

 キシャーと噛み付いてきたミュウを手で抑えてミリーに聞いてみる。

「ミリーさんもあんなふうに扱えるんですか?」

「扱えますよ。最初は無理でしたけどアビリティを覚えてからはできるようになりましたよ」

 おお、アビリティとな。

「いったいどんなアビリティですか?」

「踊りの派生系統? みたいなんです。それを使っていくと踊りのアビリティも成長していくんで結構便利ですよ」

正に今の俺が欲しているようなアビリティだ。

「俺にも覚えられますか?」

「もちろん覚えられますよ」

「ねえねえ、なんで私は呼び捨て?」

「教えてください」

 ミュウが何か言ってるが無視。あんな風に武器が扱えればスキが少なくきっと戦闘も有利になるはず。

「結構簡単ですよ。武器を持って《踊り》をするだけですから。あ、でも器用さと敏捷値が足りないと覚えないみたいですよ。もしかしたらジョブも関係するかも……」

 敏捷は育てている……つもりなので大丈夫かな? 器用値も高いし、ジョブも取った。うん。

「ちょっとやってみます」

 片手に刀を握りスキルで舞ってみる。敏捷は取得したアビリティで成長率も伸びたし器用は今のところ結構高いと思うけどどうだろう。

『アビリティ《殺陣》《剣刀舞》を取得しました』

「おお! 出来た」

 今度は舞わずに刀を振ってみる。すると若干隙が小さくなっている、様な気がする。そう言えばあの後また道場に行って《二刀術》と《体術》に《弓術》も覚えたからそれらも出来るのかな。

 ――結果《二刀舞》と《武踏》は覚えた。《弓》はちょっと変わった《神楽舞》になった。どうやら神事に使う舞らしく、スキルの奉納を使って笛などと合わせると場の清めなどが出来るらしい。《二刀舞》は《剣刀舞》とは違い回転が多いスキルを覚えた。と言ってもまだ二つずつしかスキルないけど。

「これは凄いかも……。教えてくれてありがとうございます」

「いえいえ。ところでなんでミュウだけが呼び捨てなんです?」

「尊敬できないからです」

「なにおう!」


 それからしばらく一緒に踊ってアビリティを少し鍛えてからフレ登録をして別れた。鍛えたといってもレベルが二つ上がっただけだけど。

 さてそろそろフィールドに出ようかとも思ったけど、時間は夕時だ。もうそろそろ寝るかな。そういえば《弓術》取ったけど道場でもらった練習弓しかないや。素材買って作ってみるか。

 最初は貸し工房を借りようかと思ったけど、扱いに慣れるための物にしようと思っているし、そんなに大層なものを作る予定じゃないので簡易製造キットで作ることにした。

 今回はマガボニーと呼ばれる木材と安かったウルフ革を使う。セルフ・ボウ(単弓)でもいいかと思ったけど、ちょっとでも強いほうがいいかと思ったので合成弓にしてみる。と言ってもコンジット・ボウは俺にはまだ難しいので革をまいて強化するラップド・ボウにすることにした。コンジット・ボウは複数の素材を張り合わせて作るため強度が増す。でも俺はまだそこら辺のバランスとか今一だから。下手なものを作るよりも今できる物で上位を目指す。

 てことでまずは木材を型に削る。丈夫さとしなりを残して削るのは難しく、買った木材を七割ほど無駄にした。削りだした型にきつくウルフ革を巻く。幅を広く巻いたり、狭めて巻いたりといろいろ繰り返して最適な巻きつけを見極めてどうにかできたのがこれ。


【ウルフラップド・ボウ:射程30~250、耐久D、命中補正+7%、ATP減衰率14~48% ATP補正:矢+命中部位】


 ちなみにマガボニーを削りだしただけの時はこちら。


【マガボニー・ボウ:射程10~140、耐久E、命中補正+5%、ATP減衰率23~67% ATP補正:矢+命中部位】


 製造クエストで知ったのだけど、このゲームは装備等の耐久値がないしさらに攻撃力もない。耐久品質があって壊れやすさと劣化度合いを示す。GからSまであって最低ランクだとかなり壊れやすい。壊れなくても性能が下がっていくので定期的なメンテナンスが必要だ。Sだとほぼ壊れないし性能も下がりにくいって話だ。でもイアンナさん達でさえ耐久Sランクはめったに出来ないそうで。しかも壊れそうかどうかの状態は使い手が使った感覚に頼るしかないという。

 攻撃力がないのもかなり不便だ。ただATPと言うものがあり、これは使用者のステータスや総合技術から換算される攻撃力だそうだがこれも詳細は不明。表示もされてないしね。ただ総合攻撃力と所持アビリティから換算するそうだという予測だそうだが、未だ検証中と。

 今分かっているのが遠距離武器は距離によるATPの減衰率があるということと、武器によって付いているAPT補正が武器の攻撃力だろうということ。補正が付いてないものも多いそうだ。と言うか武器によって情報が様々でわけわからんとさ。

 運営サポートに問い合わせた人が言うには『現実の武器に攻撃力などない』と言うことで現状の様になったと。そりゃそうだけどさ。あ、ちなみに防具にも防御力は存在しない。ただ、性能は武器よりも分かり易いとか。

と、以上エルファ情報でした。

 とにかくウルフラップド・ボウは耐久がDなので少しくらいなら乱暴に扱っても問題ない、と思う。とはいえ革を巻きつけただけなので強く引き過ぎると折れるかも知れないので注意がいるだろうな。でも初心者な俺が使う分には十分高性能だろう。筋力もそんなにないし。


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