二十二話
お待たせしております
続きよりも再改稿をメインにやっております
しかも途中で他の物を書いてしまったり…………なのであまり進んでなかったりします
さらには短いです
申し訳ないです
ご飯は意外とちゃんとしたもので量も結構あった。
久しぶりに見張りなしで朝までぐっすり。ただ、あまり時間をかけるのもあれなので、朝早くに村を出て西の森に入った。森の中ではエンカウント率警戒のために常に気配を探っていた。
常に小さな集団で動くのが山賊狼だろう。時々単体で居るのが大食らい(グラットン)と呼ばれる熊のはずだ。
幸いどちらもこちらには気づかずにいるので、こちらも常に避けるルートを通っている。
村人の話では森の中に小さな泉があるらしく、そこに群れで馬が集まるらしい。
「話だと結構奥の方ってことですよね」
「ああ。モンスターを警戒して常に動いてるはずだからね。確実性を取るなら少々危険でも泉を探し達はあまり森の奥に行かずに、数時間歩いて捕まえられなければ諦めるらしいが、俺たちは出来ればなるべく短期間で捕らえたい。
早く足を手に入れて色々冒険をしたいのだ。
「ん? マズイ、多分バンデット達だ。気付かれた。数は二十程度、進行方向右側から来るぞ。」
結構な速さで気配が近づいてくる。森の中だし弓の出番はなさそうだ。
「エルファ、森の中だから火は禁止だ」
「わかってるわよ」
「ティアと俺で削るからエリザはエルファを」
「もちろんです」
「来るぞ!」
二刀を構えこちらからも飛び込む。
お互いに正面から激突、右手を跳ね上げて斬り飛ばす。擦りあげるように斬ったため軽く浮いた個体の下に潜り込むように身を屈めて、低姿勢で左を斜め上に突き入れる。斬りあげた個体の上を跳びかかってこようとした様だが先程斬り飛ばした奴が浮いたために激突しているところを突いたのだ。錐揉みしながら転がる所に追撃をかけて確実に数を削る。
その隙に四頭が同時に飛び掛ってきたので手近な樹に跳び、三角飛びで四頭の頭上から独楽のように回転して斬り付ける。二頭は死んだが、残りのは浅い傷のみ。一頭はそのまま回転力を載せた膝蹴りで頭を砕いたがもう一頭が左手に食らいつく。痛みで刀を落とすが右の刀でそのまま腹を突き刺して殺す。左手はしばらくまともに使えそうにない。無闇に空中に躍り出るものじゃないな。
ティアは飛び込まずに飛刀で確実に傷を負わせて止めを刺しているが手数が俺より劣るので何度か囲まれるが、それをエルファの風の刃が襲う。確実に傷を付けてからティアが止めを刺してゆく。
俺が飛び出しているのでエリザに向かうのは少数で、盾で弾き、剣で確実に息の根を止める。
いつのまに仕掛けたのか何頭かが竹に串刺しになっている。よくも戦闘しながら罠を仕掛けれるものだ。流石レクレス(無謀)といったところだろうか。おそらくティアが言ってた戦闘時の攻撃力以外にも無謀な行為そのものにプラス補正が付くのだろう。
片手が満足に振れない俺はティアと合流。刀を薙ぐよりも突く方を多様して仕留めていく。
ふと気づくと二頭が樹の上から狙っていたので、申し訳ないと思いつつティアの肩を踏み台にして飛び上がる。それと同時に跳びかかって来た一頭を蹴って、緊急の足場にしてもう一頭に向かう。が、やはり勢いが足らずに落下。それを好機とみて頭上から飛びかかってくるがティアの飛刀に刺され、一緒に落下。
着地地点に一頭居たのでついでに踏み殺す。一緒に落ちてきた奴はエルファの風でズタズタの血の塊になっていた。
そいつが最後だったらしく、戦闘は終わった。
俺が突っ込んでいたので、当然俺に敵は集中した。今回は怪我も負ってしまったし、今度から集団戦闘のときはもう少し動きに気を付けないといけないな。
「怪我は?」
「あんただけよ。さっさと見せなさい」
そう言って腕を掴まれた。結構痛いんですけど。そう言うと、自業自得でしょ、と言われ反論はできない。
「はい、終わり」
「ありがとさん。って」
これは……
「戦闘終わってすぐで悪いけど、いそいだほうが良さそうだ」
「どうしました?」
「何かの群れと大食らい(グラットン)が戦ってる」
引っ掛かった気配は多数。多すぎて幾つかの大きな塊になっている。
「ちょっとした乱闘どころじゃないぞ」
全力で走っていきたいが、森の中だし敏捷の差でティアくらいしか付いて来れないからジリジリする。
「ユル、ティア。先に行って。もし馬の群れが襲われてるなら急がないと」
もちろん想定内、というかそれが最有力候補だろう。
エリザもティアも頷いている。となるとすることは一つ。
「全力で行く。ティア遅れるな!」
気を廻らせ脚を強化。一気に地面を蹴り、進む。勿論抜刀済みで邪魔な枝は全て切り落として進む。最近ステータスが上昇してからまだ全力疾走をしたことがないので制御が難しい。実のところ、戦闘も速度は抑え気味だ。気功の訓練ばかりで練習をサボったのは不味かった。
まだ慣れておらず、ほぼ直進しかできないので樹に激突しそうになるが、足を軸に身体を捻り最小限の円運動で何とか躱す。低い樹や藪は能力に任せて跳び越す。それでも時々避けきれず足を止めてしまう。
しかし、俺達二人が先行して群れに対抗するには、全力のこの動きになれなければかなりきついはずだ。
気配の群れが幾つか離れるような動きをし、それを別の群れが追う。おそらく逃げようとしているのが馬の群れだろう。正確な数は分からないが徐々に減っている。急がないと。
血の臭いと共に木々の向うに動く影が見える。先程も戦ったバンデットに大きな影、おそらくグラットンだろう。バンデットが囲んでいるのは……見えた。やっぱり馬だ。三つ巴かよ。
群れの左方向で光を反射する泉があった。どうやら泉で馬を見つけようとしていたのは俺達だけじゃなかったらしい。
グラットンはどれほど強いのか分からないが、馬もバンデットも見境なく狩っているので少なくともバンデットより格上。なら数を減らすためにもグラットンは無視だ。
「ティア!」
呼んでみたが返事がない。くそっ、まだ来てないか。だけど待っても居られない。目の前でバンデットに喉笛を噛みちぎられる馬。後方から飛び掛るバンデットを蹴り殺す馬。グラットンに吹っ飛ばされたバンデットに巻き込まれる馬。どんどん減っている。
ええい、もう制御も糞も無い。戦いながら慣れろだくそったれ!