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改稿版 New Life  作者: basi
19/26

第十九話

本日二話目

ちょっと急いだので誤字等いつもより多かったらすいません

あと区切りもおかしいかもですが……

 空から降りて来る影はかなりの大きさだ。

「アースバインド」

 エルファの魔法でエリザが大地に縫い止められる。

「何してんだ!? あれじゃ避けれないだろ」

「どのみちエリザの動きじゃ避けられないのよ! ウインドシールド」

 エリザの周りを風が包む。

 エリザが此方を見て安心させるように微笑むと、腰を落とし盾を掲げて吼えた。

 その叫びを聞いてか黒い影は一気にエリザに向かって突っ込んでいく。

 近づいた影は姿をはっきりさせた。

 茶色よりも黄色や金といえる羽。鋭い目と嘴。見た目は豪華な猛禽類だ。

 ガシャ! と音を立ててエリザとぶつかる。鳥は爪で掴み飛び去ろうとするがバインドが効き、エリザは後ろに弾き飛ばされただけですんだ。

 だが敵も諦めずに体制を建て直し、再びエリザに飛び掛かろうとしている。

 くそっ、今俺に出来ることは何か。

 飛び掛かって斬りつける? 空が飛べるわけじゃないから避けられるだけだ。なら弓か? でも弓で動きを止めるまでにエリザが殺られたら意味がない。せめて真正面からか動きを止めてからじゃないと。

 となると、俺に残された手段は後一つ。でも上手くいくのか……。


 エルファが回復をかけ、ティアは何やら離れたところでごそごそしている。その間にも奴は狙いを定めて飛び掛かろうしている。悩んでる暇はない。やるしかない。

 サイズがでかいのでしっかり気を練らないと効く気がしない。

 最初の襲撃に成功した鳥は、再度突撃するために高度を上げた。エリザは立ち合があろうとしてはまた倒れる。どうも足がふらついているようだ。

 そうこうしているうちに突撃体制を整えた鳥が大きく弧を描いて突入動作を始めた。焦るが突入コースをしっかり予測して、気功波を放つ。

 手負いの獲物、まあエリザのことだが、それめがけ突っ込んできたので狙いはつけやすい。俺の手から陽炎のような揺らぎが一直線に鳥に吸い込まれ、轟音とともに鳥がはじけ飛んだ。

 

 狙い通りに奴に気功波を炸裂させることが出来た。成功するかどうか、と言うか距離と威力が足りるか不安だったが何とかなって結果オーライだ。ただかなりの気を放出したので、身体強化が一気に落ちた。

 しかし、しっかりと練った気に奴は立て直しもできずに、土煙を巻き上げて地面に落ちた。この期を逃す訳にはいかない。

 直ぐさま弓を構えて矢を数本持ち連射。狙いは翼。傷付ければ上手くすれば飛べなくなるはず。せめて機動力だけは削げるはずだ。

 気功波が頭に当たったのか墜落の衝撃なのかはわからないが脳震盪を起こしているらしく、なかなかまともに起き上がれない鳥の翼に二本、三本と矢を射ていく。

 左の翼に七本ほど矢が刺さった時、奴が悲鳴を上げた。効いているのだろう。矢が刺さり、痛みでたためなくなった翼にもう二本ばかり射ち込んで弓から刀へ武器を変える。

 さぁ、終わりにしよう……なんて言いたいとこだけど、果たして俺にできるかな?


 鳥に斬りかかる俺を何やら罠らしきものを準備しているティアが口を開けて鳥を見ていた。

「ティア!」

 声をかけたらハッとしてこっちを見た。たぶん鳥はもう飛べないだろうから一応エルファを頼もうと思い、エルファの方へ視線をやってまたティアを見る。

 通じたかなっと思ったんだけど、おい。ティアが出て来ちゃった。

 ナイフを構えて鳥の後ろに回り込んでいく。伝わらなかったのかぁ。しかし、あのサイズを相手にあのナイフでどうにかなるのか? ステータス的には俺より高いから大丈夫なのかね。

 とにかく翼は傷付けたし刺さった矢が邪魔して飛べないとは思うけど、起き上がった鳥は足を踏み鳴らして、今にも暴れだしそうだ。ティアも攻勢に出て近づいて来たからかなり不安だ。どこまでできるかわからないが、少しでも行動を制限させないと何があるかわからない。

 俺は縮地で一気に距離を詰め、立ち上がって翼を広げた奴の脚を付け根から斬る。

 深傷を負わせれればと思ったのだが、なんと斬り落とすことが出来た。

 バランスを失い横倒しになったところを駆けてきたティアが斬りつける。

 またも驚いたことに、刃渡り30センチそこそこのナイフでなんと翼を半ば斬り落としたのだ。

 思ったより敵の防御が低いのかな。

 取り敢えず思わぬダメージが入ったようで、一気に動きが落ちた。早期決着をと思い渾身の突きを手ごろな位置にまで下がった頭にお見舞いしたら頭部貫通。それが決定打だった。

 終わったー。なんとも無事で良かった。

「はあ~、みんな無事に終わってよかった」

「色々聞きたいことはあるけど話は後よ。とっとと剥ぎ取るわよ」

 少しは余韻とか休憩とかも欲しいけども、剥ぎ取りのシステム考えると確かに急いだほうがいい。サクサクと剥ぎ取ってしまうかな。


 傷の少ない羽を毟りに毟って、大量の羽をゲット。アイテム名が『?の羽』とある。このゲームって情報も何もない敵の名前が謎なのは困る。情報はパーティで共有なので雑魚はエルファ達の御陰でわかるけど。

 残った肉と嘴や爪なども回収し終わり、漸く休憩をすることに。さっきお昼休みを取ったばかりなのにね。

「ユル君凄いね」

 ティアが褒めてくれるけど微妙な気もする。

「ティアに褒められてもね。よくあんなナイフで翼をあそこまで切り裂けたもんだ」

 多分同じ武器だと俺には無理かな。筋力も足りないし。

「ああ、あれは称号のおかげだよ」

「称号? 確かレクレスハンター、だっけ」

「ティアのあの称号は結構すごいわよ。レクレスって無謀って意味らしくてね。自分より総合ステータスの高い相手だと攻撃力があがるのよ」

「そそ。最低でも二倍、最高でなんと五倍まで上がるよ。その代わりにステータスの差も多くないと発動しないけどね。今の相手だと多分三倍位かな?」

 なるほど。攻撃力が三倍と言うとエリザよりずいぶん上になるはずだ。あんなナイフでザックリ行ける訳だ。

「でも、称号を手に入れるまではかなりキツイですよ? 最低でも十体は自分より格上を倒さないと得れないですから。後は自分とのステータス差で討伐数が変わりますけど」

 マジか……そいつはキツイ。ってかよく倒したなティアは。

「いやぁ、何度か死んでるけどね。トラップが無かったら多分無理。私は情報あったから取れたけど、最初に取った人と検証した人の方がすごいよね」

 そりゃそうだけども。でもすごいな。トラップを仕掛けると格上でも倒せるのか。

「そんなことより、私はユルの魔法について聞きたい。あれは何?」

 ティアとの会話に割り込んでエルファが聞いてくる。何と言われても困るが……

「あれは魔法じゃなくて気功だ」

「気功?」

「そそ。気功で使っていくとそのうち外気功と内気功って覚えるから。その外気功ってのは自分のエーテルを体外に放出するんだよ。ゲームとか漫画の気功波ってやつ」

「ユル君それマジ? 超かっけぇじゃん!」

「結構な威力でしたよ? 私にも使えますか?」

「習得にも威力をあげるにもかなり時間かかるけど使えるよ」

 成長ブーストも付いてないから結構な時間が掛かるはずだ。

「ただエーテルを教えるときも言ったけど、魔法をメインで考えるなら使わない方がいい」

 主にエルファを見ながら言うと、拗ねた様な顔をしている。

「……わかってるわよ」

 

 とりあえず休息を終え、再び進み出した俺たちは特に戦闘らしきものもなく順調に進むことができた。

「今日はそろそろ休まない?」

 エルファがそう言った時には周りに浮いている魔素の輝きも薄くなり、月の蒼白い光りの方が強くなり始めた頃だった。

「そうだね。戦闘自体は少なかったけど色々あったし。ご飯準備してここで野営しよう」

 俺より経験豊富な二人の意見に反対することもない。賛成してテントの準備をする。いや、しようとしたところで声をかけられた。

「ユル、あんた《調理》は?」

「ん、あるよ。まだレベルは低いけど」

 リアルの方でも自炊してたからレベル低くても味はちゃんとしている。味覚のアビリティ、正確には《料理人の舌》も修得している。

「じゃあユルとティアが料理担当で。私とエリザで野営の準備するわ」

「二人は料理しないの?」

「……私の料理を食べたいの?」

 エルファの手料理を何度か食べたことがある。中学の時の家庭科の授業で同じ班になった時だ。その時、同じ班のメンバーで共通の認識を得た。

 エルファに料理をさせてはいけない。

「こっちなら大丈夫と思ったんだけど」

 そう言ったエルファをティアは残念そうに見つめ、エリザは仲間意識をもって見つめている。

 つまり二人は同類ということだ。

「……遠慮させていただきます。こっちは任せてくれ」

「よろしく。……何でこっちでもみんな不評なのよ」

 エルファはブツブツ言いながらエリザと準備に向かう。

 エルファの料理、それを一言で言うと宝くじだ。当たりもあればハズレもある。厄介なのが見た目は同じ、という点だ。同じ料理を作っても当たりとハズレが存在する。何故か。それはエルファの味覚にあった。

 エルファは味覚音痴と言うほどでもないが、『美味い』の振れ幅が大きいのだ。他の人が『あまり美味しくない』と感じてもエルファには『美味い』、逆にエルファが『まぁまぁの味』と感じれば常人には『不味い』と感じ、エルファが『不味い』と言うものは食べ物として成り立たない気がする。

 他人の屋台料理を初めて食べて分かったのだが、このゲームの料理は調理レベルが上がっても味が良くなるのではなく、料理に付属する効果や鮮度持続時間が上昇するらしい。味はアビリティの味覚がモノをいうらしく、現実で味音痴だと《料理人の舌》が発生しないらしい。あと、このアビリティはプロの味覚とかでは無い。あくまで「料理が出来る人の舌」というものだ。プロレベルの味覚を持つとアビリティが派生ではなく昇華するらしい。

ちなみにこれと同じもので《絶対音感》なども在るらしいので、現実の能力とリンクする物が他にもありそうだ。


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